幸せは常にいいものなのか?幸せのダークサイドに気をつけよう

最終更新日

Comments: 0

「幸せになること」はほぼ全ての人に共通する人生の目的ですよね。
もちろん、幸せの形は人それぞれ違うと思います。

しかし「過ぎたるは及ばざるが如し」というように、何事にも適切なレベルがあるように、幸せにも適切な量であったり適切な形というものがあるのかもしれません。幸せにも一歩間違えると逆に人生にとってマイナスになってしまう場面があるのかもしれないということですね。

本稿では、そんな「幸せのダークサイド」について解説してくれた面白い論文 (*1)があったので、その内容について紹介したいともいます。

幸せのダークサイド

幸せは多すぎてもいけない

まず最初に幸せの量について。実は幸せは多すぎてもマイナスな効果があるということなんですね。それではどのようなマイナス面が研究でわかっているのかというと、

  • ポジティブな感情が高いとクリエイティビティが上がるが、高すぎるとこの効果は得られない
  • 普通は幸せな人ほどメンタル面の健康も良いが、幸せが強すぎると逆に悪化してしまったりする
  • 幸せが強すぎるとリスキーな行動を深く考えずにとってしまいがち
    (過度の飲酒や暴飲暴食、薬物などに手を出しやすい)
  • 幸せが強すぎると目の前の脅威や危険を無視しがち

などなどがわかっているんですね。

気分が落ち込んでしまう状態のうつ状態の逆で、病的なくらい気分が高揚し続けてしまう心の病気もあります。なので、強い幸せを感じるというのは行きすぎると病的になってしまうので、適度な幸せで十分だと満足するようにしましょう。

幸せがマイナスに働いてしまうとき

怒りや不安などネガティブな感情はできれば避けたいところですが、これらの感情は場面によってはメリットをもたらしてくれるんですね。なのでこのようにネガティブな感情が有効な場面では、幸せのポジティブな感情は逆効果となってしまいます。

それでは具体的にどのようなことが研究でわかっているのかというと

  • 危険や脅威を素早く察知しないといけない時は、幸せよりも不安を感じている方が良い
  • 幸せな人ほど楽観的に経験則で物事を判断し、心配症でネガティブな人ほど論理的に冷静な判断ができる
  • 交渉のときにはネガティブな感情の怒りを見せた方がうまくいくことがある
  • 悲しみを見せることで他人からの同情や助けを得られやすくなることもある

ということ。

なので、本当に幸せになりたいのであれば、ネガティブな感情もしっかりと受け入れて活用することが大切ということですね。

幸せの追い求め方を間違えてはいけない

面白いことに幸せになろうと幸せを追い求めるほど、かえって幸せは遠ざかっていってしまうという現象が確認されています。

これがどういうことなのかというと

  • 幸せを追い求めると、もっと幸せになれるという期待が高まってしまう
    →期待すればするほど、実際の結果に対する満足感は低下してしまう
  • 幸せを大切だと思うほど、自分の不幸せな点が目につくようになる
    →幸せを重視する人ほど幸福感は低下してしまう

例えば、映画と見るときにも、これは絶対に面白いぞと期待してみるとそれほど面白くなかったという結果になりがちですが、何も期待していないと「あれっ意外と面白かったな」となることがあります。これと同じように、何も期待していなかった偶然的な出来事の方が人を幸せにしてくれることが多いんですね。

もちろん「幸せを求めること」自体は良いことで、もっと幸せじゃなきゃいけないと過度に幸せを追い求めると逆効果になってしまうということです。なので、幸せについて考えすぎるのでなく、これやったらもっと楽しいかもくらいの感覚で行動を増やすのが良いということです。

幸せの形を間違えてはいけない

人それぞれ何に幸せを感じるのかには違いがあります。例えば、美味しいものを食べるのが幸せだったり、絵を描くのに没頭するのが幸せだったり、家族のような人間関係を幸せを感じたり、仕事での達成感に幸せを感じたりと様々ですね。

しかし、人生にとってマイナスになってしまう幸せが2種類あるということ。

  1. 他人との関係を悪化させる幸せ
    例えば、他人より優れていることに優越感を感じるのが好きな人は、他人に嫌われやすくなってしまう
  2. 周りの文化に沿わない幸せ
    例えば、日本は集団主義的な文化で、アメリカは個人主義的な文化というふうに文化には違いがあります。このときに日本の文化の中で個人主義的に自由な行動をすると、周りの人とうまくいかずに落ち込んだりしてしまうこともあるということ。

2つ目の文化に沿わない幸せは難しいところで、周りの人に合わせて自分らしく生きれないのも嫌ですよね。なので周りに合わせろというわけではなく、自分らしくなれる環境を探したり、他人の目を気にして不幸にならないように気をつけるのが大切だと思います。

まとめ

本稿では幸せのダークサイドについてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 幸せは適度な量で満足しよう
  • 幸せよりもネガティブな感情(不安や怒り)を有効活用できる場面もある
  • 幸せは強く追い求めすぎてはいけない
  • 自己中心的な幸せは人生にとってマイナスになるかもしれないので注意

ということですね。

幸せは追い求めすぎてはいけないということで、今の自分に満足することも大切なのかもしませんね。振り返ってみると日常の中にも小さな幸せは色々と転がっているので、幸せの見方を変えるだけで大きく変わることもあると思います。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1: A Dark Side of Happiness? How, When, and Why Happiness Is Not Always Good

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする