意識を変えれば行動も変わるは本当なのか?を調べた心理学の研究

最終更新日

Comments: 0

本稿のテーマは「意識と行動」です。

仕事の場面でも、生活の場面でも、「〇〇するように意識しよう」と考えることはよくありますよね。

例えば、
「効率よく仕事をこなすために、隙間時間を使うように意識しよう」とか
「ダイエットをするために、食べ過ぎに注意しよう」とか

しかしここで難しいのが。意識はしていてもなかなか行動が伴ってこないということがあり得ることです。私も年初には仕事の目標を掲げて「こうなりたい!」という意識を高めるのですが、三日坊主になってしまってたりでなかなか行動につながらないことがあります。

そこで、本稿では意識を変えることはどれだけ行動を変えてくれるのか?を調べてくれた心理学の研究(*1)を参考に、どうすれば効果的に行動を変えていけるのかを調べていきましょう!

意識と行動

意識とは?

意識と行動は心理学の世界では色々と研究されてきたみたいで、様々な理論があるようです。

それによると行動は単純にやりたいと思ったから発生するものではなくて、その人の意識の中では次のように様々なことが考えられているんですね。

  • その行動が良いと感じているか?悪いと感じているか?
  • その行動をとったときの周り目がどうか?
  • その行動を起こすための能力があるか?
  • 習慣的に無意識にやってる場合もある

ということで、本稿でいう意識とは

  • 自分の能力や周りの目なども考慮した上で、自分がその行動をやりたいと思っているかどうか

です。

意識は行動を引き起こしてくれるのか?

マンチェスター大学らの研究(*1)がこの意識が行動を起こしてくれるのかという問題について調べてくれています。

この研究は意識と行動の直接の因果関係を調べることを目的としていて、意識を高める介入行動が、(a)本当に意識を高めてくれるのか、(b)行動まで高めてくれるのかを調べてくれています。分析の手法はメタ分析で合計47の実験結果のデータをまとめ上げてくれています。つまり、タバコをやめるキャンペーンをやったときに、参加者の意識が高まって、行動まで変わるのか?のような実験結果をたくさん集めて、それらを総合したときに本当に効果があると言えるのかを調べてくれたんですね。

その結果からまず分かったことは、

  • 介入行動によって意識は高まっていた(効果量d=0.66)
  • 介入行動によって行動も変わった(効果量d=0.36)
  • 介入行動によって意識が大きく高まるほど、行動も大きく変わった

ということで、効果量的には意識はそこそこ変わって、行動は少し変わることが分かったんですね。

行動を効果的に変えるには?

行動は効果量的に少し変わる程度だということでしたが、これは全ての実験の平均的な値です。効果には実験によってばらつきがあるので、介入行動の方法などによっては行動を大きく高めることができたものもあります。そこで、次に効果的に行動を変えることができた実験の特徴を見てみましょう。

まず、介入行動の種類として効果の高かったものを上から10個を並べると次の表の通りです。

内容効果量
行動の変化や行動を続けることに報酬をつける0.58
周りの人のサポートや、周囲のプレッシャーをつける0.54
行動に関する知識や行動したときの成果に関する情報を与える0.32
特定の目標を決める0.31
質問をする0.30
説得するようなコミュニケーションをとる0.29
成功のモデルとなる他者を見せる0.28
環境を変える0.27
スキルを向上させる0.27
個人メッセージを送る0.26

特に上の2つは効果量が0.5を超えていて比較的高めとなっているので有効そうですね。他のものも効果量は少し下がりますが有効ではありますので、自分の好みのものを選んで使ってみると良いと思います。

さらに、もう一つこの研究からわかったのが

  • 意識を高めても時間が経つほど行動は減ってしまう

ということ。これは直感的にも分かるもので、最初は高かったモチベーションがだんだん薄れてしまうことはありますよね。なので、常に意識を高めて置けるように、こまめに上記のような介入行動を挟んであげると良いと思います。

まとめ

本稿では「意識を高めることで、本当に行動は変えられるのか」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 介入行動によって意識を高めることも行動を変えることもできる!
  • 介入行動の方法によって効果にも違いがあるので自分に合った方法を探そう!
  • 時間が経つと意識は薄れてしまうので、こまめに意識を高めよう!

ということですね。

意識を高めることで行動も変えられるということで、まずは自分の意識を高めてくれることを探してみるのもいいのかもしれませんね。例えば、私の場合は、筋トレのモチベーションが上がらないときに、Youtubeで筋トレの動画を見ると、なぜかモチベーションが湧いてきたりします(笑)。とまあ、そんなことも意外と大切だと思った次第です。

以上、本稿はここまで!


[参考文献]

*1: Does Changing Behavioral Intentions Engender Behavior Change? A Meta-Analysis of the Experimental Evidence

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする