組織を変化させる方法として有名な7つのモデルを見てみよう!

本稿のテーマは「組織を変える方法」についてです。

今は変化の激しい時代で、新しい技術や新しいビジネスモデルが次々と出てきます。なので、時代の変化に遅れないように組織を常に変化させていくことが、以前よりも重要になってきています。しかし、組織を変えるということはなかなか難しいもので、時間がかかる場合もあるので、個人が経験則的に組織を変える成功法を見つけることは至難の技です。

そこで、組織を変えるために有効だと考えられている7つのモデルをまとめてくれた論文(*1)を参考に、組織を変えるための成功法則とは何かを考えていきましょう!

組織を変えるための7つのモデル

①Lewin’s Three-Phase Process

Kurt Lewisの提唱する方法で次の3つのフェーズで組織の変化を実行します。

  1. 解凍
    変化のヴィジョンであったり具体的なプランを考えるフェーズ。
    今のシステムを離れて新しいシステムへ移る準備をする。
  2. 新しいステージへの移行
    組織の構造やシステムを実際に新しいものに変えることで、組織の変化を実行するフェーズ
  3. 再凍結
    他の組織やシステムとの整合をとって、新しいシステムを定着させるフェーズ

このモデルにおける変化は、今までと別の新しい組織が生まれるというよりは、これまでの組織の中に変化が埋め込まれるようなイメージですね。

②Beer’s Six-Step Change Management Model

ハーバードビジネススクールのMichael Beerが提案するもので、6つのステップで組織を変える方法です。

  1. 変化の必要性の強調
    変化しないことで問題となる状況を正確に分析して、変化することの重要性を強調し、変化へのコミットメントを高める。
  2. ビジョンの提示と役割の変更
    組織の目指す姿のビジョンを見せるとともに、組織の構成や役割、責任範囲を変えた新しい体制を考える
  3. コンセンサスを得る
    2で作成したビジョンと新しい体制を関係する人に説明してコンセンサスを得る。
  4. 変化を実行する
    コンセンサスが得られたらそれを実行に移す。
  5. 新しい体制を定着させる
    問題がなければ新しい体制を正式なものとして定める。
  6. 新体制のモニターと調整
    新しい体制がうまく機能しているのかをモニターして、問題があれば調整を行う

他のモデルにないこのモデルの特徴としては最後に新体制をモニタしていくステップということです。

③Appreciative Inquiry (AI)

CooperriderとSrivastvaが提唱する3つのステップによる組織の変化方法です。

  1. 発見(Discovery)
    今の組織の成功事例を考えて、具体的に組織のどんなことが良かったのかを考える
  2. 夢(Dream)とデザイン(Design)
    この組織がもっと良い”理想”の組織となった場合、どんな組織かを考えてもらう。
  3. 運命(Destiny)
    理想の組織になる方法を考えて実行する。

この手法は具体的にどのように理想の組織に到達するのかは言及されていないやや曖昧な手法ではありますが、組織の問題点ではなく良い面に注目してそれを理想の組織につなげるという面白い着眼点を持っています。

④Judson’s Five Steps

Arnold S. Judsonが提案する5つのステップでの組織改革方法。

  1. 必要な変化を分析して計画を立てる
  2. 必要な変化と計画についてコミュニケーションをとる
  3. 求められる変化(特に変えるべき行動)についての同意を得る
  4. 現状から新しい体制へと変化を起こす
  5. 新しい体制を定着させる

このモデルは他のモデルと代わり映えしませんが、分析→計画→同意→実行→定着というポイントをしっかりと押さえていますね。

⑤Kanter, Stein, and Jick’s Ten Commandments

Kanter, Stein, Jickの提案する10ステップの組織変化方法。

  1. 変化の必要性を分析する
  2. ビジョンを共有する
  3. 過去の体制を止めることを強調する
  4. 変化の重要性を強調する
  5. 強力なリーダーが変化の正当性をサポートする
  6. 政治的な面でも変化の基盤を固める
  7. 変化の計画を考える
  8. 組織の変化を実行しやすいようにパイロットテストを実施したり、研修や報酬を用意する
  9. 変化の最中に関係者同士でオープンなコミュニケーションを取れるようにする
  10. 新しい体制を日々の業務レベルまで浸透させる

このモデルでは変化の基盤をしっかりと作ってから実行に移すというのが特徴的ですね。

⑥Kotter’s Eight-Step Model

JohnKotterの提案する8ステップの組織変化方法。

  1. 変化の必要性と緊急性を強調する
  2. 変化をリードするチームを作る
  3. リードチームでビジョンを作成する
  4. ビジョンを全員に共有する
  5. リードチームを筆頭に変化を計画する
  6. 組織の変化を実行に移して、まずは短期的な小さな成功を重ねる
  7. 変化を継続しより大きなものにしていく
  8. 変化を組織の構造やシステムに定着させる

このモデルの特徴は、小さな変化から成功体験を積ませて、大きな組織変化へと拡大していく点ですね。

⑦Hiatt’s ADKAR Model

マネジメントコンサルタントとのJeff Hiattが提唱する方法。

  1. 気づき(Awareness)
    変化の必要性を信じさせる
  2. 望み(Desire)
    メンバーが積極的に変化に関わるように、メンバーの持っているビジョンを変える
  3. 知識(Knowledge)
    メンバーに対して変化に必要な知識やスキルを教育する
  4. 強化(Reinforcement)
    変化を強化して組織の中に定着させる

このモデルの特徴は、組織の各メンバーが主体的に変化を起こすことに注目していて、そのためにビジョンの共有や教育を行うということですね。

まとめ

本稿では「組織を変えるための7つのモデル」についてお話ししました。

これらのモデルはどれも特徴があるので、自分の組織にあったものを使ってみるのが良いと思います。

7つのモデルに共通する変化を成功させるポイントとしては

  • 変化の必要性や重要性を認識させて、ビジョンを共有すること
  • オープンなコミュニケーションをとって、変化について同意を得ること
  • 小さな成功体験を積ませる、リーダーがサポートする、教育するなど、変化の実行をしっかりとサポートすること
  • 変化は最終的には正式に仕事のプロセスや組織の構造に組み込んで定着させること

と言えそうですね。

以上、本稿はここまで


[参考文献]

*1:SUCCESSFUL ORGANIZATIONAL CHANGE: INTEGRATING THE MANAGEMENT PRACTICE AND SCHOLARLY LITERATURES

Naoto

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