筋トレやスポーツで筋肉の動きを意識することの効果とは

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筋トレをやるときのアドバイスとして、

「しっかりと使用する筋肉に意識を向けましょう!」

とよく言われます。使用する筋肉を意識して、その筋肉にしっかりと刺激を入れることで、筋トレ効果が高まるというわけですね。


一方で、スポーツの世界では

「100m走の決勝戦でうまく走ろうと意識しすぎて、逆にタイムが遅くなってしまった」

みたいなこともあります。この場合は意識することが逆効果となってパフォーマンスが低下してしまっているわけですね。


それでは意識はいいものなのか、悪いものなのか?

本稿では筋トレやスポーツのパフォーマンスを高めるためには意識をどのように使いこなせばいいのかをグリフィス大学の研究を参考にお話ししていきたいと思います。

2つの意識の使い方とは

意識の使い方には大きく2つの方法があります。

一つ目は体の内部に意識を向ける方法です。筋肉を意識するというのはまさに内部に意識を向けるタイプですね。筋肉以外にも走る動作を意識したり、テニスのサーブの動作を意識したりといったことが内部への意識にあたります。

もう一つの意識の向け方は体の外部に意識を向ける方法です。例えば、聴いている音楽に集中したり、観客の声に意識を向けるというものですね。一見すると外部に意識を向けると運動がおろそかになってパフォーマンスが下がってしまいそうです。しかし、外部を意識するということは内部の体の疲労感などを感じにくくさせてくれる効果などもあるので、実は運動のパフォーマンスを上げてくれる側面もあるんですね。

ということで、運動における意識の使い方には内部に向けるか、外部に向けるかの2種類があって、それらを場面に応じて使い分けることが望ましいわけですね。

2つの意識の効果の違いとは

それではどうやって2つの意識を使い分ければいいの?に答えるために、2つの意識の効果の違いをグリフィス大学の研究 (*1)を参考に見ていきましょう。

この研究では筋トレにおける意識の使い方の効果を調べた16件の研究を集めて、これらの研究から分かったことをまとめてくれています。

これらの16件の研究の特徴としては

  • 筋トレの種目はベンチプレス、アームカール、レッグプレスを採用しているものが多い
  • 実験の対象者は男女両方で、主に筋トレの経験者を集めている
  • サンプルサイズは11人〜29人ほど

ということです。

研究から分かったこととは

それではこれらの研究結果からどのようなことが分かったのかというと

  • 外部を意識するよりも内部を意識する方がEMGは高かった。つまり筋肉を意識する方が、筋肉の刺激は大きくなった
  • 一方で外部を意識した方が、最大トルクや疲れるまでの回数などの運動のパフォーマンスは高くなった

ということ。つまり、筋肉を意識するということは、より丁寧に強い負荷を筋肉にかけることができるわけですね。一方で、スポーツのように筋肉の刺激よりも運動全体のパフォーマンスが重要になる場合には、不必要に筋肉を意識して負荷を増やすことはしたくないわけですから、外部を意識してあげた方がいいということです。

筋トレで意識がより大切になるときとは?

さらにこの研究では外部への意識と内部への意識の効果の違いがより明確に出るパターンについても述べていて、

  • ゆっくりの動作の場合には意識による最大トルクの違いは大きかったが、速い動作では効果の違いは効果に差はなくなった
  • 軽い重量では筋肉を意識することでEMGは高くなったが、重い重量ではこの差は無くなった

ということなんですね。なので、軽い重量で丁寧にゆっくりと行う筋トレの場合には特に使用する筋肉を意識することが大切ということです。

まとめ

本稿では「筋トレやスポーツでの意識の使い方」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 内部を意識すると筋肉をより強く刺激することができる
    →筋トレのときは筋肉を意識しよう!
  • 外部を意識すると筋肉の刺激は減るが運動のパフォーマンスは上がる
    →スポーツなどでは筋肉や動作を意識しすぎずに外部へ意識を向けよう!

という使い分けが大切ということですね。

研究から分かったのは筋トレのときは使う筋肉を意識しようというアドバイスは本当に効果があったということです。意識の使い方だけで筋肉の活動が変わるというのはとても面白いですね。ただし重い重量ではこの効果は無くなったということなので、まずは軽い重量でしっかりと対象の筋肉に効かせるフォームを身につけてから重量を上げていくのが良さそうですね。

以上、それでは良い筋トレライフを!


[参考文献]

*1: A Systematic Review of Attentional Focus Strategies in Weightlifting

Naoto

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