認知戦略で筋トレのパフォーマンスは向上するのか?

筋トレの効果を上げるには、効率的なトレーニングや食事、休息など大切な要素がいくつも挙げられます。そしてこれらの要素の一つとして、メンタル面が筋トレに影響することも考えられます。

メンタル面というのは、やる気が起きないときに筋トレのパフォーマンスが低下してしまったり、集中力が落ちてパワーが落ちてしまったりとかいうことですね。スポーツでメンタルが大切なように、筋トレもメンタル次第でパフォーマンスが変わってしまうことは十分にあり得ます。

そうなると、目標設定であったり、セルフイメージ、セルフトークといった筋トレに向かうメンタル面を整える認知戦略が大切になります

そこで本稿では、リバプール・ジョン・ムーア大学の研究(*1)を参考に、

  • 認知戦略にはどんな種類があるのか?
  • 認知戦略は筋トレのパフォーマンスを向上するのか?

についてお話ししていきたいと思います。

5種類の認知戦略

こちらの研究(*1)では5つの認知戦略の筋トレへの効果を調べてくれていますので、まずはどんな認知戦略があるのかを順番に見ていきましょう。

①イメージ
イメージトレーニングのように、やる前に動作のイメージをしてもらう方法です。体操競技でもボクシングでも、これからどのように動くのかをイメージすることはほぼ全てのスポーツで行われる定番の方法ですね。

②目標設定
目標設定はモチベーションを向上させるテクニックの一つです。特に筋トレの場合は、「ベンチプレスで80kgが上がったから次は85kgを目指す」など、数値で目標を明確に立てやすく、それがモチベーションにもなりやすいです。やっぱり自分の最高重量を更新できたときの嬉しさは、筋トレの楽しみの一つですよね。

③セルフトーク
セルフトークは自分で自分に話しかけることで、実際に声に出してもいいですし、心の中で話すだけでも大丈夫です。話す内容によって2種類のセルフトークがあって、「全力を出せ!」みたいなモチベーション系のセルフトークと、「左手は添えるだけ」みたいな動作指示系のセルフトークがあります。

④覚醒行動
覚醒行動は集中力を上げたり、気合を入れるための準備行動になります。例えば、スポーツ選手が競技の前に行うルーティン動作も覚醒行動にあたると思います。

⑤自由選択
これは競技の前に好きな覚醒行動をとることです。他の人に決められた覚醒行動をとるのでなく、自分の好きな行動を取った方が自分の集中ゾーンに入りやすい可能性があるということですね。

認知戦略は筋トレのパフォーマンスを上げるのか?

それでこの研究では、これらの5つの戦略が実際に筋トレのパフォーマンスを向上してくれるのかについてまとめてくれています。

どんな風にまとめたのかというと、各認知戦略毎に

  • 筋トレにプラスの効果があった研究の件数
  • 特に効果がなかった研究の件数
  • 筋トレにマイナスの効果があった研究の件数

を算出して、その効果の確かさを分析してくれているんですね。

①イメージの効果

+効果効果なし−効果判定値
筋力2090+ (69%)
持久力650? (55%)
パワー1200 (67%)

イメージの効果としては、特に筋力の向上効果については多くの研究でプラスの効果がありとなっています。持久力とパワーについては、+効果ありと効果なしが半々くらいになって確かなことは言えませんが、特にマイナスの効果はないようなので、試しにやるだけやってみるがいいと思います。

②目標設定の効果

+効果効果なし−効果判定値
筋力300+ (100%)
持久力22140+ (61%)
パワー100+ (100%)

目標設定の効果は特に持久力で発揮されるようです。まだ研究の数は少ないですが、筋力とパワーについても良い効果もありそうです。

筋トレで使うなら、次のセットは10回やるという目標を決めれば、その目標への持久力が発揮されて、回数がより多くこなせるということがありそうですね。

③セルフトーク

+効果効果なし−効果判定値
筋力311+ (60%)
持久力220? (50%)
パワー630+ (60%)

セルフトークはパワーにも効くというのが特徴的です。モチベーション系のセルフトークで気合を高めることや、動作指示系のセルフトークで正しいフォームを意識することが、パワーの発揮につながっているのかもしれませんね。

④覚醒行動

+効果効果なし−効果割合
筋力650? (55%)
持久力400+ (100%)
パワー100+ (100%)

研究の数は少なめになっていますが、覚醒行動にも良い効果があるということですね。筋トレの前に気合を入れたり、集中力を高めるような行動やることで、筋トレのパフォーマンスが向上することが期待できますね。

⑤自由選択

+効果効果なし−効果割合
筋力530+ (63%)
持久力300+ (100%)
パワー100+ (100%)

自由選択も自由に覚醒行動をとるというものなので、覚醒行動の結果と似たようなものになっていますね。なので、筋トレの前に好きな集中方法を実践すれば良いということですね。

まとめ

本稿では「認知戦略は筋トレのパフォーマンスを向上するのか」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 認知戦略(イメージ、目標設定、セルフトーク、覚醒行動、自由選択)は筋トレのパフォーマンスを向上させる!
  • なので、筋トレの効果を上げるには、認知戦略も取り入れて、やる気や集中力といったメンタル面も作り上げるのが良い!

ということですね。

これらの戦略は組み合わせて行うこともできるので、「目標を決めて、覚醒行動で集中して、動作をイメージして、動作中もセルフトークで全力を出し切る」というようなスペシャルコンボもできますな。

以上、それでは良い筋トレライフを!

Naoto

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