筋トレは収縮に時間をかける方が筋肉の刺激が強くなるという研究

本稿のテーマは「筋トレは伸ばすときと縮めるときのどちらに時間をかけるのが良いか?」です。

筋トレでは、負荷をかけながら対象の筋肉の伸ばしたり縮ませたりすることで、筋肉に刺激を与えます。なので、筋トレの1回の動作の中には伸び/縮みの2種類の動作があって、この2つで筋肉の使われ方が若干違うんですね。この伸び/縮みの動作はコンセントリック/エキセントリックと言われることもあります。

コンセントリック(短縮性収縮)
力を発揮して筋肉を縮ませる動作のこと。ベンチプレスで言えばバーベルを押し上げる動作のことで、このときに胸筋は収縮して力を発揮しています。

エキセントリック(伸張性収縮)
力を発揮しつつ筋肉を伸ばす動作のこと。ベンチプレスで言えば、バーベルを胸まで下げる動作で、このときにバーベルを力を入れて支えつつも胸筋は引き伸ばされていきます。

それで、筋トレは伸びと縮みのどちらに時間をかけるのが良いかを調べたミナス・ジェライス連邦大学らの研究(*1)によると、

  • 筋トレはコンセントリック(短縮)に時間をかける方が筋肉が刺激される

という結果になっていたので、本稿ではその内容についてお話ししていきたいと思います。

コンセントリックとエキセントリック

この研究では17人のトレーニング経験者を集めて、1回の動作のコンセントリックとエキセントリックの時間の割合を変えて筋電図を測定しています。

時間の割合は

  • A : コンセントリック 2秒:エキセントリック 4秒
  • B : コンセントリック 3秒:エキセントリック 3秒
  • C : コンセントリック 4秒:エキセントリック 2秒

の3パターンで測定しています。どのパターンでも合わせると1回の動作が6秒になるように調整されています。ちなみに、種目はベンチプレスで、1RMの60%の重量で6回を3セットとなっています。イメージとしては中程度の重量を6秒かけてしっかりと効かせるような筋トレという感じですね。

結果:

結果として得られた大胸筋の筋電図の強さの推移が次のグラフとなっています。

このグラフは、
灰色の棒グラフが各セットの2回目の筋電図の強さ
黒色の棒グラフが各セットの5回目の筋電図の強さ
横軸がセット数で1セット目、2セット目、3セット目と並んでいます

これらのグラフから分かったのは、

  • 回数とセットを重ねるほど筋肉の刺激は強くなる
  • どのセットのどの回数でも、コンセントリックに長い時間をかけた方が筋肉の刺激は強い

ということです。

なので、筋肉により強い刺激を与えたい場合には、筋肉を伸ばす時間を短くして、筋肉を収縮する時間を長くした方が良いということですね。ベンチプレスで考えると、筋肉を縮めるときにはバーベルを押し上げなければいけないので、より強い力が必要になっているのかもれません。

回数とセットを重ねるほど筋電図も強くなっているので、コンセントリックに時間をかけるようにしつつ、セットと回数を増やして筋肉を追い込んでいくみたいなこともいいと思います。

まとめ

本稿では「筋トレは伸ばすときと縮めるときのどちらに時間をかけるべきか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 筋トレは伸ばす動作の時間を減らして、縮める動作の時間を増やした方が、筋肉の刺激が強くなる
  • 特にセットと回数を重ねるほど、刺激は強くなっていく

ということですね。

ただし、今回の研究結果は中重量での効果の比較になるので、高重量を扱ったときの効果はまた変わってくるかもしれないですね。例えばサイドレイズのように、種目によっては高重量をチーティングであげて、筋肉を伸ばしながら耐えて力を発揮するという方法もあります。

なので今回の研究結果も、筋トレのバリエーションの一つとして考えてもらって、中重量を扱うときは伸縮動作に時間をかけてしっかり効かせるように意識すれば良いと思います。

以上、それでは良い筋トレライフを!

[参考文献]

*1 : LONGER CONCENTRIC ACTION INCREASES MUSCLE ACTIVATION AND NEUROMUSCULAR FATIGUE RESPONSES IN PROTOCOLS EQUALIZED BY REPETITION DURATION

Naoto

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