12種類の食品が高血圧にどれだけ効くのかの研究

世界で25歳以上の人の40%は高血圧ということで、2015年ではその人数は10億人にもなっているようです。高血圧は健康診断でも測定されることが多いので、血圧が高めだからなんとかして下げたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

しかし、「高血圧に効く」という謳い文句の商品だったりネットの情報だったりが多く出回っていて、実際にどれが効果があるのかが信用できないという人もいると思います。

そこで本稿では、12種類の食品グループがそれぞれ高血圧にどれかで効果があるのかを調べてくれたドイツの研究を参考に、血圧改善に本当に効果がある食品が何かを見ていきましょう。

効果のあった6つの食品グループ

まず最初に12の食品グループの中から効果のあった5つの食品を見ていきましょう。

①全粒穀物
玄米やオートミールなどの全粒穀物は血圧を下げる効果があることが確認されています。
どのくらい効果があるのかというと
 ・1日30gで10%の高血圧のリスク低下
 ・1日60gで13%の高血圧のリスク低下
 ・1日90gで15%の高血圧のリスク低下
と最大で90gまでの効果が確認されているということ。ちなみに、これ以上摂取した時の効果はデータ不足で不明ということです。

②フルーツ
フルーツは糖質も多く含まれるので敬遠する人もいるかもしれませんが、フルーツが健康にいいことは他のメタ分析でも確認されていて、この研究でも血圧の改善に効果があることが分かっています。
効果の程は、
 ・1日80gで4%の高血圧のリスク低下
 ・1日160gで7%の高血圧のリスク低下
 ・それ以上摂取しても7%のまま
ということ。フルーツは食べ過ぎると悪い効果があったという研究もあるみたいなので、1日で300g以下にすると良いということです。

③ナッツ
何かと健康に良いと言われるナッツですが、血圧にもいい効果があることが確認されています。
 ・1日28gで12%の高血圧のリスク低下
 ・1日40gで15%の高血圧のリスク低下
が確認されているということ。ナッツはカロリーが高いので、食べ過ぎないように注意しましょう。

④マメ
大豆やインゲンなどのマメも血圧にはいいということです。
その効果の程は
 ・1日100gで6%の高血圧のリスク低下
ということです。これ以上の摂取量の効果はデータ不足で確認がされていないということ。納豆なんかは定番の健康食品なので、嫌いでなければ積極的に食べると良さそうですね。

⑤乳製品
牛乳やヨーグルトなどの乳製品も血圧に良いということです。
 ・1日200gの乳製品で6%の高血圧のリスク低下
 ・1日400gの乳製品で10%の高血圧のリスク低下
 ・1日600gの乳製品で13%の高血圧のリスク低下
 ・1日800gの乳製品で15%の高血圧のリスク低下
と800gまでリスク低下の効果が伸びていくことが確認されています。

⑥卵
卵と血圧に関するデータは少なかったようですが、卵の摂取量が多い人の方が高血圧のリスクは低かったことが確認されています。ただし、どのくらいの量が良いのかなどはまだデータ不足で分かっていないようです。

血圧を悪化させてしまう4食品

続いて12食品のグループの中から高血圧のリスクを上げてしまう食品が4つ分かっています。

①魚
魚は良質な脂質を含むので健康に良い食品なのですが、血圧の観点でいうと高血圧のリスクを上げてしまうようです。
 ・1日に100gの魚で最大8%高血圧のリスクが上がった
ということが分かっていますが、これがリスクの上限で、100g以上食べたとしてもこれ以上リスクが増えることはないということです。他の病気のことも考えると健康のためには魚は捨て難いのが難点ですね。

②レッドミート
豚肉や牛肉などのレッドミートも血圧を悪化させてしまいます。
 ・1日85gで16%高血圧のリスクが上昇
 ・1日170gで35%高血圧のリスクが上昇
ということで、レッドミートは特にリスクの上昇幅も大きいので注意が必要です。

③加工肉
ソーセージやベーコンなどの加工肉も高血圧のリスクを高めてしまいます。
 ・1日30gで7%高血圧のリスクが上昇
ということで、少量の加工肉でも高血圧のリスクが上昇してしまうので、加工肉はできるだけ食べない方が良さそうですね。

④砂糖入りの飲み物
砂糖が加えられているジュースも高血圧を招いてしまいます。
 ・1日に250mlで6%の高血圧のリスク上昇
 ・1日に500mlで14%の高血圧のリスク上昇
ということ。ペットボトル1本で14%も高血圧のリスクが上がってしまうということですね。

血圧を上げも下げもしない2食品

最後に高血圧のリスクを上げることも下げることもしなかった3つ食品は

①野菜
意外なことに野菜には血圧を改善する効果は見られなかったということ。今回は野菜で一括りにしてしまっているので、個別の野菜によっては効果があったりするのかもしれませんね。

②精製された穀物
全粒穀物は高血圧を改善してくれたのに対して、白米やうどんのように生成された穀物は高血圧のリスクを上げることもなければ下げることもなかったということです。

まとめ

本稿では「12の食品グループと高血圧のリスク」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 高血圧に良い効果があるのは
    全粒穀物、フルーツ、ナッツ、マメ、乳製品、卵
  • 高血圧に悪い効果があるのは
    魚、レッドミート、加工肉、砂糖入りの飲み物
  • 高血圧に関係ないのは
    野菜、生成された穀物

ということです。

食品によっては食べ過ぎが逆効果になるものもあるので、質の良い食品をバランスよく食べるように心がけましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Food Groups and Risk of Hypertension: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Studies

Naoto

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