生産性が高い人が他のチームメンバーの生産性も引き上げる波及効果

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仕事は一人で行うことは少なく、チームで協力して行うことがほとんどだとと思います。例えば、コンビニのバイトでも、一人が品出しをしている最中にもう一人がレジ打ちをしたり、混雑時にはみんなでレジ打ちをしてお客さんを待たせないようにしたりと、コンビニ全体の仕事を複数人で協力してこなしているわけです。

それで仕事の生産性を考える上で大切なのが

  • 個人の生産性
  • チーム全体の生産性

の2つの生産性があるということです。個人的に生産性が高い人がいても、他のメンバーの生産性を犠牲にしてしまっていてはチーム全体の生産性は落ちてしまいます。逆に個人の生産性が高い人が、他のメンバーの生産性も高めて、チーム全体として生産性が向上することも考えられます。

本稿では

  • 生産性が高い人がチームに加わると、その効果は他のチームメンバーの生産性にも波及するのか?

に注目したカリフォルニア大学の研究(*1)を参考に、個人の生産性のチームの生産性への波及効果を見ていきましょう。

生産性の高さは波及するのか?

生産性が高い人がチームに加わったときに、他のメンバーの生産性にどのような影響があるのかには2通りの結果が想定できます。

  • ①他のメンバーは生産性の高いメンバーを見て、自分ももっと頑張ろうという気持ちや、自分が足を引っ張りたくないという気持ちが高まって、他のメンバーの生産性も引き上げられる
  • ②フリーライダー(生産性の高い人に任せて、自分はできるだけ楽をしようと考える人)が出てしまって、他のメンバーの生産性は低下してしまう

両方とも十分にあり得そうな話ですよね。そこで、どちらの効果がより強いのかをカリフォルニア大学の研究が実験してくれたわけですね。

この研究では394人のスーパーマーケットのレジ係の生産性を2年間に渡って追跡調査をしています。生産性として各担当者のレジ打ちのスピードが測定されていて、各シフトで誰と誰が一緒に働いていたのかも記録がされています。そして、レジ係のシフトはある程度は固定的かもしれませんが、日によっては人が入れ替わって、いつもと違う生産性の高い人が割り当てられたりするので、そういったときの周りの人のレジ打ちのスピードの変化を分析することで、生産性が高い人が加わったときの周りの生産性の波及効果を測定しています。

結果

それでレジ係の生産性にどのような変化があったのかというと

  • 生産性が高い人がチームに加わると、他の人の生産性も向上する波及効果が確認された
  • 生産性が平均以下の一人を生産性が平均以上の人に置き換えたときには、他のメンバー全員の生産性が1%向上した(レジ係は7人なので、チーム全体では6%の向上になる)

ということ。生産性が高い人が加わったときには、他の人がサボってしまうフリーライダーの効果以上に、生産性の周りの人への波及効果の方が強いということで、これは嬉しい結果ですね。

そして、特に生産性の波及効果を受けやすい人がいることも分かっていて、

  • スキルの低い人ほど波及効果により生産性が向上しやすい
  • 生産性の高い人がより近くにいるほど生産性が向上しやすい
  • 生産性が高い人と頻繁にシフトが一緒になっている人ほど生産性が向上しやすい

ということです。

生産性の高い人の視界の中に入っている人は、生産性が向上しやすいということだったので、自分が足をひっぱていると思われたくないという気持ちが生産性の向上に役立っているのかもしれませんね。

この結果の逆を言えば

  • 生産性の高い人が距離的に目が届かないような遠くにいたり、今後も頻繁に一緒にならない人だとすると、生産性の波及効果が薄れて、フリーライダー効果による生産性が低下が勝ってしまう可能性がある

ので注意が必要です。

まとめ

本稿では「生産性が高い人の波及効果」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 生産性が高い人がチームに加わると、周りの人の生産性も引き上げてくれる
  • この波及効果を強く得るには、生産性の高いメンバーが距離的に近くにいることと、生産性の高いメンバーと他のメンバーがより頻繁に仕事をしていることが大切

ということです。

今回の研究の結果はレジ係というやることが明確に決まった仕事の生産性の効果を測定していますが、仕事にも色々な種類があるので、それによっても効果の程は違ってきそうですね。

自分の生産性を高めたいという人は、とりあえず生産性の高い人を見つけて、その人に近づいてみたり、その人と一緒に仕事をする機会を増やしてみるといいと思います。いわゆる目標となる先輩を見つけよう的なことですね。


[参考文献]

*1 : Peers at Work

Naoto

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