自然のストレス低減や幸福感の向上効果は、自然の質が良いほと高まるのか?

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自然にはリラックス効果があり、疲れたときや落ち込んだときに人の心を回復させる効果があることが分かっています。晴れた日に自然の豊かな公園を散歩するのがとても気持ち良いように、自然に触れるだけでストレスホルモンのレベルが低下したり、幸福感が向上したりもするんですね。

それで、どのくらい自然に触れれば良いのかには色々とレベルがあって、自然の写真を見るだけでも確かに効果はありますし、自然の中でがっつりと運動するグリーンエクササイズでもストレスの低減効果は確認されています。

そこで本稿では、

  • 自然は広さとか大きさとかでなく、やっぱり質の良い自然に触れることがリラックス効果を高めてくれるのでは?

ということを実験してくれたリーズ大学らの研究(*1)に注目してみたいと思います。この研究を参考に自然のリラックス効果を高める方法について学んでいきましょう。

自然の質と心理的回復効果

リーズ大学らの研究では都会にある12個の公園を対象に、

  • 自然の質の高さ
  • 心理的な回復効果

の2つの関係を測定しています。

この研究でいう自然の質の高さには2つの基準があって、

  1. 施設面の多様性
    ベンチが豊富に整備されていたり、ライトが整備されていたりと、安心して公園を過ごせる設備が整っていること
  2. 自然の多様性
    植物の種類や鳥の種類、蝶々や蜂の種類、芝生エリアや森林エリアなどのエリア種類など、様々な種類の自然が公園内にあること

となっています。

リーズ大学の研究では上記の2つの基準で、12個の公園にどんな鳥がいるのかや、どんな植物があるのかといった多様性を測定したわけですね。公園を使う身になって考えてみても、だだっ広い芝生だけの公園と比べて、川があったり木々があったりと自然の種類が豊富な方が、自然を満喫できてリラックス効果も高そうです。そう考えるとなかなか面白い研究結果が期待できるのではないでしょうか。

結果:

それで研究の結果を見てみると、

  • 自然の多様性が豊かな公園は、施設の多様性も高い傾向があった
  • 心理的な回復効果は、自然の多様性が高い公園の方が高かった
    (心理的な回復効果の43%は自然の多様性で予測された)
  • 施設の多様性は豊かであっても特に心理的回復効果は高まらなかった
  • 年齢や性別、人種によらず、自然の回復効果はみんなが得ることができた

ということ。

想定通り、自然が多様で豊かな公園の方が、心理的な回復効果も高いという結果になっています。逆を言えば、自然のリラックス効果を高めたければ、自然の多様性を高めると良いということですね。

もちろん、部屋に観葉植物を取り入れたり、自然の写真を見るとかでも確かに効果は得られます。しかし、それだけだと効果も小さめなようなので、がっつりとリラックスしたいときは、自然豊かな場所にウォーキングにでも出かけるのが良さそうですね。

まとめ

本稿では「自然の多様性とリラックス効果」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 植物の種類や動物の種類、川や森といった自然の種類など、多様な自然に触れ合える公園の方が、心理的な回復効果は高く得られる

ということ。

植物の多様性や動物の多様性などは、どの公園が高いのかがいまいち分かりづらいかもしれません。しかし、他の研究によると、実際の自然の多様性よりも、自分の主観で多様だと感じていることが、心理的なリラックス効果には大切だということも分かっています。なので、自分で自然豊かだと思える場所を自分のリラックスゾーンにすれば良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Not All Green Space Is Created Equal: Biodiversity Predicts Psychological Restorative Benefits From Urban Green Space

Naoto

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