運動をする子供ほど学業成績も良いのか?の研究

運動は健康に良いのはもちろん、他にも様々なメリットがあることが分かっています。例えば、運動をするとBDNF(脳由来神経栄養因子)が増えて脳の成長が促進されたり、運動をしている人は不安や落ち込みなどネガティブなメンタルになりにくいといった効果もあります。

そこで本稿では、子供の運動習慣に注目して

  • 運動をする子供の方は運動をしない子よりも学業成績が良いのか?

を分析してくれたアムステルダム大学の研究(*1)を見てみましょう。

運動と学業成績、その他諸々の効果

アムステルダム大学の研究では、子供が運動することの効果について調べた57件の研究結果をメタ分析でまとめてくれています。これらの研究の特徴としては

  • 10歳〜21歳の子供(小学生〜大学生)が対象である
  • 運動を行うグループと、コントロールグループで効果の比較がされている
  • 運動の効果として、
    ①学業成績の向上、
    ②内面の問題(不安など)の軽減、
    ③問題行動の軽減 、
    ④自己概念(自信やポジティブなアイデンティティなど)の形成
    のどれかが測定されている

と言った感じになっています。

それでは研究の結果を見ていきましょう。

結果①:運動と学業成績

最初に運動をする子供の学業成績についてのメタ分析の結果を見てみると、

  • 運動をする子供の方が学業成績が高い傾向があった
  • 効果量は0.367で小〜中程度の効果であった

ということ。

運動は脳の成長を促進したり、運動後には一時的に脳機能を高めてくれる効果もあります。そうした運動の効果が子供の学業成績の向上につながっているのでしょう。

さらに、学業をいくつかの分野に分けた結果を見てみると、

  • 全体的な学業成績、言語的な学業成績、科学的な学業成績のどの分野でも、運動をする子供の方が学業成績が高い効果は同じくらいであった

ということ。つまり、運動はどんな教科の成績も高めてくれるということですね。

結果②:運動と内面の問題

続いて、運動が不安やうつといった内面の問題を減らしてくれる効果の分析結果を見てみると、

  • 運動をする子供の方が、内面の問題が少ない傾向があった
  • 効果量は0.316で小〜中程度の効果であった

ということ。

運動は子供に限らず不安やうつといったネガティブなメンタルを改善してくれる効果があるので、この結果も納得できるものです。ちなみに、運動の種類や頻度によらずこの効果は得られていたということです。

結果③:運動と問題行動

次に、運動が他人を攻撃したり、少年犯罪を犯したりといった問題行動をどれだけ減らしてくれるかの分析結果を見ると、

  • 運動をしている子供の方が、問題行動が少ない傾向があった
  • 効果量は0.320で小〜中程度の効果であった

ということ。

運動はストレスの発散になったりセルフコントロール能力を高めたりもするので、運動をしている子供は問題行動に走ることも少ないようです。こちらの効果も運動の種類や頻度によらず得られているので、不良少年はなんらかしらのスポーツを行わせてみると問題行動も減るかもしれません。

結果④:運動と自己概念の形成

最後に、運動が自信を高めたり、自分のアイデンティティをポジティブにしてれたりといった効果の分析結果として

  • 運動をする子供の方がポジティブな自己概念を形成していた
  • 効果量は0.297で小〜中程度の効果であった

ということ。

部活動など、運動をすることは自分の能力を高めて成長を実感できる機会でもあります。そのため、運動をする子供は自信が高まったり、自分をポジティブに見れるようになるようです。ちなみに、この効果にはスポーツのような運動よりも、有酸素運動などのエクササイズタイプの運動が良いということです。

まとめ

本稿では「運動が子供に与える良い影響」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 運動は子供の学業成績を向上してくれる
  • 運動は子供の問題行動を減らしてくれる
  • 運動は子供の内面の不安やうつを減らしてくれる
  • 運動は自信やポジティブなアイデンティティといった良い自己概念の形成を促してくれる

ということ。

やはり運動には健康だけでなく様々メリットがあるということですね。私も子供の頃から運動部に入っていたおかげで、今でも運動を継続できているので本当に良かったと思います。体育の授業だけでは物足りないのかもしれないので、子供にはもう少し運動を勧めてみましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : The effects of physical activity interventions on psychosocial outcomes in adolescents:
a meta-analytic review

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする