ポジティブな出来事は仕事の疲れを癒してくれのか?

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当たり前なことですが、仕事でネガティブな出来事が多いと疲れはどっと増えるものです。人間関係のいざこざや、残業、強いプレッシャー、ストレスなど、仕事の環境が悪ければ疲労はずっと大きくなります。メンタルにとっても悪いので、うつ病などにつながってしまう可能性ので注意が必要です。

一方でよく分かっていないのが、仕事のポジティブな出来事と疲労感の関係。ポジティブな出来事は、モチベーションを高めたり、仕事の楽しさを向上したりして、疲れを回復してくれそうな気がします。しかし、楽しい旅行でも疲れはどっと溜まるように、ポジティブな出来事でもエネルギーは消耗されてしまうもので疲労感は高まるという見方もあるんですね。

そこで本稿ではこの問題について

  • ポジティブな出来事が多い日は、1日の仕事の疲れを感じにくくなるのか?

を分析してくれたベルン大学らの研究(*1)を見ていきましょう。

ポジティブな出来事と仕事の疲労感

ベルン大学の研究では76人を対象に、6日間にわたって仕事の疲労感などの記録をとっています。この研究で測定がされたのは

  • その日にあったポジティブな出来事
  • その日にあったネガティブな出来事
  • 1日の疲労感
  • 普段から感じている人間関係のストレス

の4つになっています。これらのデータからポジティブな出来事が多かった日の疲労感が、ポジティブな出来事が少なかった日と比べてどう変わるのかが分析できるわけですね。

結果:ポジティブな出来事と疲労感

早速分析の結果を見てみると、

  • ネガティブな出来事が多かった日は、仕事の疲労感が強かった
  • ポジティブな出来事が多かった日は、仕事の疲労感が減る場合もあれば、変わらない場合もあった

ということ。つまり、ポジティブな出来事は状況によっては疲労感を軽減してくれるということ。

それではどのような状況でポジティブな出来事が効果があったのかというと、

  • ネガティブな出来事が多い日には、ポジティブな出来事があると疲労感が軽減した
  • 普段の人間関係のストレスが強い場合には、ポジティブな出来事があると疲労感が軽減した

ということ。

つまり、これらの研究結果から分かるのは、ポジティブな出来事は普段の疲労感を回復する効果はないけど、ネガティブな出来事による疲労感を防ぐ効果はあるということ。なので残業が多い職場やストレスが多い職場では、ポジティブな出来事が疲労を防ぐのに役立ってくれるかもしれません。もちろん、そうしたネガティブな原因を取り除く方が大切ですが、締め切り間近でどうしても負荷が高くなってしまう時などは、ポジティブな出来事も増やして乗り越えていくと良いでしょう。

まとめ

本稿では「ポジティブな出来事は疲労感を軽減するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • ポジティブな出来事は、普段の疲労感を回復する効果はないけど、ネガティブな出来事による疲労感を防ぐ効果はある
  • 普段からネガティブな出来事が多い人ほどポジティブな出来事の効果を強く得やすい

ということ。

普段からストレスもなく快適に働けている場合にはポジティブな出来事は特に効果はありません。しかし、注意点として、今回の研究が測定したのはポジティブな出来事があったその日の疲労感となっています。もしかしたらポジティブな出来事が翌日のモチベーションや良好な人間関係につながって、長期的にはもっと良い効果があることも期待できるので、ポジティブな出来事を軽視していいわけではありません。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : The Effect of Positive Events at Work on After-Work Fatigue: They Matter Most in Face of Adversity

Naoto

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