留学経験は短い期間でも自己効力感を高めてくれるという研究

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自己効力感とは、自分が将来ある状況になったときに上手く行動できるという自信のこと。

  • ダイエットなら、自分なら様々な誘惑に打ち勝ってダイエットを継続できるはずだという自信
  • 仕事なら、困難な課題が発生しても、自分なら努力してうまく対処できるはずだという自信

といった感じで、自分がうまく行動できる可能性を信じる気持ちになります。

自己効力感は結構大切なもので、自己効力感がないと初めの一歩がなかなか踏み出せなかったり、少しつまずいただけで諦めてしまったりします。そのため、自己効力感は高く持ちたいものなのですが、どうすれば自己効力感が高められるのか?が問題として残ります。

そこで本稿では、

  • 留学経験は短い期間でも自己効力感を向上してくれるのでは?

ということを調べたカリフォルニア州立大学の研究を見ていきましょう。

留学経験と自己効力感

留学には様々なメリットがあることはすでに確認されていて

  • コミュニケーションスキルが高まる
  • 異文化へのオープンさが高まる
  • 自律心が高まる
  • 学業のパフォーマンスも向上する
  • 仕事のオファーも良くなる
  • 柔軟性やクリティカルシンキングも高まる
  • 偏見が少なくなる

と良い効果が満載です。

しかし、一般的に留学というと1年とかの長期的なものをイメージすることが多く、短期的な留学でどこまで効果があるのかは良くわかりません。そこでカリフォルニア州立大学の研究では

  • 5週間の短期的な留学でも、自己効力感と文化的知能は向上するのか?

を分析してくれています。

実験:5週間の留学の効果とは?

カリフォルニア州立大学の研究では、プエルトリコへ5週間留学するプログラム参加した79名が対象になっています。

79名の各参加者の

  • 自己効力感
  • 文化的知能
  • 文化的バックグラウンド

を留学の前後で測定して、5週間の留学で自己効力感や文化的知能がどれだけ向上するかを分析したんですね。

文化的知能とは、異なる文化の人との交流を楽しんだり、文化の違いを意識したりする知能のこと。留学を経験すれば当然文化的知能も向上することが期待できるわけですね。

文化的バックグラウンドとは、他の国から移住をしてきた人などで複数の文化的バックグラウンドを持つ人か、一つの文化的なバックグランドしか持たない人かを切り分けるもの。複数の文化的バックグラウンドを持つ人は、すでに留学に近い文化的経験をしているため、留学の効果に影響する可能性があるわけですね。

結果:自己効力感と文化的知能の伸び

早速5週間の留学の効果を見てみると

  • 5週間の留学でも自己効力感はそこそこ向上していた(r=0.29)
  • 5週間の留学でも文化的知能は少し〜そこそこ向上していた (r=0.21)

ということ。

参加者のインタビューを見てみると、自分と違う文化を目の当たりにしたり、文化の違いで差別的な経験をしたりと、留学経験は短いものの結構なインパクトがあった模様。そのため、5週間だけの期間でも自己効力感や文化的知能はそこそこ向上できています。

結果2:文化的バックグラウンドの違い

続いて参加者の文化的なバックグラウンドの違いの影響を見てみると、

  • 複数の文化的なバックグラウンドを持つ参加者は、留学の前後ともに文化的知能が高い傾向があった
  • しかし、留学での文化的知能の伸びは、一つの文化的バックグラウンドの参加者の方が大きかった

ということ。

つまり、まだ異文化の経験が少ない人の方が、留学で文化的知能が大きく伸びやすいということですね。日本では異文化と接する機会が少ないと思うので、留学は非常に貴重で良い経験になるかもしれませんね。

まとめ

本稿では、「留学と自己効力感の向上」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 5週間の短い留学であっても、自己効力感と文化的知能はそこそこ向上する
  • 文化的知能の伸びは、まだ異文化の経験が少ない人の方が大きい

ということ。

異文化に飛び込んでいく貴重な経験が自己効力感を高めてくれるということで、留学に限らずに、海外転勤や海外旅行など、異文化と接する機会を増やしてみてはいかがでしょうか。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Short term, big impact? Changes in self-efficacy and cultural intelligence, and the adjustment of multicultural and monocultural students abroad

Naoto

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