運動は楽しまなければ幸福感は向上しないかもという研究

最終更新日

Comments: 0

運動をする習慣がある人ほど幸福感が高い!

この事実はこれまでの多くの研究で確かめれらているので間違い無いでしょう。

それでは、なぜ運動が幸福感を高めてくれるのかというと、これについても色々分かっていて

  • 運動が体の健康を高めてくれる
  • 運動はストレスを低下してくれる
  • 運動すると自信が高まる
  • 運動するとメンタルも改善する

と、幸せな人生に欠かせない色々な要素が運動によって改善されるからなんですね。

そこで本稿では、運動と幸福の関係について

  • 運動はストレスを防いで人生の満足感を高めてくれるけど、自発的に楽しんで運動してるかどうかで効果も変わってくるのでは?

を調べてくれたバーゼル大学の研究について見ていきましょう。

運動と内発的モチベーション

バーゼル大学の研究では、運動のストレス低減効果に内発的モチベーションが与える影響を調べています。

内発的モチベーションとは、自分の心の内側から運動が好きで進んでやりたいと思えるモチベーションになります。これと対比されるのが外発的モチベーションで、こちらは報酬がもらえるからとか、怒られたくないからといった、自分の外側の要因が源泉のモチベーションになります。どちらかといえば、自分で好きでやりたいと思える方が良いモチベーションと捉えられることが多いです。

それで、運動の内発的モチベーションが幸福感に与える影響を調べるために、バーゼル大学の研究では、思春期の学生864人を対象に、10ヶ月間に渡ってデータの測定を行っています。思春期は実はストレスが高まりやすい時期であることが分かっているので、そこに運動のストレス低減効果が活躍すると考えたわけですね。

測定したデータがどのようなものかというと、

  • 運動量
  • ストレスレベル
  • 人生満足感
  • 運動の内発的モチベーション

となっています。

想定としては運動量が多い人ほど、ストレスが低下して人生の満足度が向上するはずですが、そこに内発的モチベーションがどう影響するのかを分析しています。

結果:

早速分析の結果を見てみると、次のグラフが得られています。

このグラフは縦軸が人生の満足感を表していて、上に行くほど満足感が高いということになります。白塗りの□と◇は運動量が多い人のデータ、黒塗りの■と◆なは運動量が低い人のデータなので、運動量が高い人ほど人生満足感は高いことが分かります。

そして、横軸は左側がストレスが低い場合、右側がストレスが高い場合を表しています。直線の傾きを見ればわかるように、基本的にはストレスが高い右側にいくと人生満足感が低下してしまいます。まあ当然のことですね。

しかしよく見てみると、グラフの中で一つだけ下がり具合が小さい直線 (◇)があります。この直線が何かというと、運動量が高くて、かつ運動の内発的モチベーションも高い人のデータとなっています。運動量は多いけど運動の内発的モチベーションが低い直線(□)を見てみると、ストレスが低いときには人生満足感が高いけど、ストレスが高くなると人生満足度は運動量が低い人レベルまで低下してしまっていることも分かります。

つまり、結論としては、

  • 運動量が多かったとしても、運動を好きで楽しんでいなければ、高ストレス時に幸福感の向上は無くなってしまう

ということがこの研究で分かったわけですね。

まとめ

本稿では「運動の内発的モチベーションを幸福感」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 運動量が多いほど人生の満足度は向上する
  • しかし、高ストレス時には運動量が多くても、運動が好きで楽しむモチベーションがなければ、運動の幸福感向上効果がなくなってしまう

ということ。

運動なんか嫌いで楽しめないと思う人がいるかもしれませんが、その点は心配ありません。実は「自分に合った運動を選べば誰でも運動は楽しめる」という研究結果もあるんですね。チームスポーツでも、有酸素運動でも、筋トレでも、まずは自分が一番楽しめそうな種目を実践してみましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : No fun, no gain: The stress-buffering effect of physical activity on life satisfaction depends on adolescents’ intrinsic motivation

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする