外発的モチベーションをアピールすると、評価が下がっちゃう問題

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モチベーションには2つの種類があります。

その活動自体が好きでやりたい気持ちから生まれる内発的モチベーションと、活動とは直接関係ない報酬や強制力から生まれる外発的モチベーションです。外発的モチベーションのわかりやすい例としては、お金のためとか、周りからよく思われるためとか、上司に監視されてやらざる終えないから、とかそういった類のものになります。

それで、内発的モチベーションがよりピュアなモチベーションなのに対して、外発的モチベーションは欲深い悪いモチベーションというイメージを持ってしまうことがあります。例えば、会社の面接に来た応募者が、

  • 「御社の仕事の内容の〇〇なところに惹かれて働きたいと思いました」と内発的モチベーションをアピールする
  • 「御社は福利厚生や給料が良いのに惹かれて働きたいと思いました」と外発的モチベーションをアピールする

のでは前者の方が良い応募者に見えるでしょう。

そこで本稿ではこの問題について詳しく分析してくれたメリーランド大学の研究を見ていきましょう。

外発的モチベーションのアピールはやってはいけないのか?

この研究では、仕事の応募者の志望動機に、内発的モチベーションのアピールが多く含まれる場合と、外発的モチベーションのアピールが多く含まれる場合で、面接者が受ける印象がどのように変わるのかを分析しています。

面接者の印象として測定されたのは

  • 応募者の外発的モチベーションはどれくらい高そうか?
  • 応募者の内発的モチベーションはどれくらい高そうか?
  • 応募者はどれだけ貪欲そうか?
  • 応募者にどのくらいの評価をつけるか?

といった感じのこと。

想定としては、内発的モチベーションをアピールする人ほど評価が高く、外発的モチベーションをアピールするほど評価は低下してしまうというわけですね。

結果:評価が高かった応募者とは?

実験の結果を見てみると、

  • 内発的モチベーションが高そうだと思われた人ほど、面接者の評価は高かった
  • 外発的モチベーションが高そうだと思われた人ほど、面接者の評価は低かった

ということ。

まさに想定通りの結果が得られています。なので面接で待遇や社会的ステータス面などを志望動機に挙げるのは厳禁で、その仕事に自分がどう興味を持っているのかをアピールすると良いでしょう。

結果2:外発的モチベーションをアピールしたときの影響とは?

次に外発的モチベーションをアピールしてしまった人が、面接官からどのように思われていたのかというと、

  • 外発的モチベーションをアピールした人は、内発的モチベーションが低そうだと思われた
  • 実際には内発的モチベーションが高い人でも、外発的モチベーションをアピールしてしまうと、内発的モチベーションが低い人に思われてしまっていた
  • 内発的モチベーションをアピールしたとしても、外発的モチベーションもアピールしてしまうと、内発的モチベーションは低い人に思われてしまった

ということ。

つまり、外発的モチベーションをアピールしてしまうと、どう足掻いても内発的モチベーションが低そうだと思われてしまうんですね。これが原因で面接者からの評価が低くなってしまうわけです。

まとめ

本稿では「外発的モチベーションをアピールすると評価は下がってしまうのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 内発的モチベーションをアピールすると、面接者からの評価は向上する
  • 外発的モチベーションをアピールすると、内発的モチベーションが低いと思われて、面接者からの評価は低下してしまう

ということ。

さすがに「給料が高いから志望しました」とアピールする人はいないと思いますが、「フレックスタイムで働きやすそうだから」とか、「福利厚生が充実していて社員を大切にしているから」とかも、外発的モチベーションのアピールと捉えられてしまう可能性があるので注意が必要ですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Motivation purity bias: Expression of extrinsic motivation undermines perceived intrinsic motivation and engenders bias in selection decisions

Naoto

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