完璧主義な人ほどマラソンのパフォーマンスが良いのか?の実験

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完璧主義はメンタル的には良くないものに分類させることがあります。なぜなら完璧でないと気が済まないと、小さなミスが気になったり、ちょっとした失敗に過大に落ち込んでしまうことがあるからです。

しかし、完璧を目指すということはより高いレベルを目指すことでもあるので、自分の成長にとってプラスに働くことも考えられます。スポーツの世界で一流になる人は、練習で自分を追い込んだり、食事や睡眠などの生活習慣にもこだわったりと、ストイックで完璧主義的なイメージもありますよね。

そこで本稿では、

  • 完璧主義な人ほど、マラソンのパフォーマンスは高いのか?

について調べてくれた研究を見てみましょう。

完璧主義な人ほど粘り強いのか

ワルシャワ大学の研究では、

  • 322人を対象にした10kmマラソンの実験
  • 133人を対象にしたハーフマラソンの実験

の2つの実験を行い、完璧主義がマラソンのタイムに与える影響を分析しています。

このとき、各参加者の完璧主義の度合いが測定されるのですが、完璧主義は

  • 完璧主義的な努力
    より高い目標を達成するために、忍耐強く努力をするタイプの完璧主義
  • 完璧主義的な心配
    失敗してしまったことを何回も思い出してしまったり、失敗してしまうのではないかと心配したりするタイプの完璧主義

の2つの分類に分けて測定がされています。

結果:完璧主義はスポーツに必要なのか?

早速実験の結果を見てみると、

  • 完璧主義的な心配の傾向が強くても、マラソンのパフォーマンスを向上していなかった
  • 完璧主義的な努力の傾向が強いと、実際にマラソンのパフォーマンスが高かった
    (過去のベストタイム、今季のベストタイム、今回の実際のタイム、今回の予測のタイムの全てが高かった)

ということ。

完璧主義がミスの心配などのネガティブな方向に向いてしまうと、パフォーマンスは上がらないし、メンタルにとっても悪いものになってしまいます。しかし、完璧主義が高い目標の達成というポジティブな方向に向かえば、その目標達成への忍耐力が向上し、スポーツのパフォーマンスも向上するんですね。

ちなみに今回の実験ではビッグファイブ性格分析も行なっていて、性格がマラソンのパフォーマンスに与える影響も調べています。その分析の結果では、誠実性・外交性・同調性・開放性・神経性傾向の5つの性格要素はどれもマラソンのパフォーマンスには関係がなかったということ。なので、より高い完璧を目指すメンタルは、性格以上にスポーツのパフォーマンスアップに大切とも言えるわけですね。

まとめ

本稿では「完璧主義はスポーツ選手に有益なのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 完璧主義がミスの心配などのネガティブな方向に向いてしまうと、スポーツのパフォーマンスは向上しない
  • 完璧主義がより高い目標の達成といったポジティブな方向に向けば、スポーツのパフォーマンスは向上する

ということ。

完璧主義と幸福感の関係を調べた実験でも、「社会的プレッシャー(他人の期待など)に完璧に応えたい」タイプの完璧主義は幸福にとって悪いものですが、「仕事や勉強を完璧にこなしたい」といった自分に高い基準を設定するタイプの完璧主義は幸福感にとって良いものだとわかっています。なので、完璧主義は持ち方によって良いものにも悪いものにもなるという注意点は忘れないようにしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Personality and sport performance: The role of perfectionism, Big Five traits, and anticipated performance in predicting the results of distance running competitions

Naoto

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