高い能力とやる気が合わされば、パフォーマンスは掛け算的に向上するのか?

能力とモチベーションはどちらも高いパフォーマンスを発揮するために必要なもの。

  • 能力が高い人ほど、仕事のパフォーマンスは高い
  • モチベーションが高い人ほど、仕事のパフォーマンスが高い

と、まあ当たり前の関係があるわけです。

しかし、この2つを組み合わせるともう少し複雑になって

  • 能力が高い人でも、モチベーションが低いと、高いパフォーマンスを発揮してくれないかも
  • 能力もモチベーションも高ければ、相乗効果でものすごいパフォーマンスを発揮するかも

など、相互作用が発生する可能性がああります。

そこで本稿では、

  • 「仕事のパフォーマンス = 能力 × モチベーション」の掛け算の関係はあるのか?

について調べてくれた研究を見てみましょう。

能力とモチベーションの相乗効果はあるのか?

フロリダ州立大学らの研究では、能力とモチベーションがパフォーマンスに与える影響を調べた研究57件を集めて、それらの研究結果をメタ分析でまとめています。分析の着眼点としては

  • 能力の高さはどれだけ仕事のパフォーマンスを向上するのか?
  • モチベーションの高さはどれだけ仕事のパフォーマンスを向上するのか?
  • 能力とモチベーションの相乗効果で仕事のパフォーマンスはさらに伸びるのか?

で、57件の研究を合わせた11,283人のデータを用いてこれらの関係を検証しています。

結果:

分析の結果を見てみると、

  • 「能力の高さ単体」が、パフォーマンスの高さの60.1%を決めていた
  • 「モチベーションの高さ単体」が、パフォーマンスの高さの30.5%を決めていた
  • 「能力とモチベーションの相乗効果」はパフォーマンスの高さのわずか9.4%しか影響していなかった

ということ。

この結果からみると、能力単体とモチベーション単体でパフォーマンスの90.6%が決まっていて、能力とモチベーションの相乗効果はほとんどありません。つまり、パフォーマンスは能力とモチベーションの掛け算で決まるのでなく、能力とモチベーションの足し算で決まるという方が正しいわけですね。

そして、能力とモチベーションで影響力にも差があります。能力が60.1%に対してモチベーションが30.5%の影響力なので、能力の高さの方が2倍の影響力をパフォーマンスに与えています。なので、能力が高い人はモチベーションが低くてもそれなりに高いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

もちろん能力が高い人はモチベーションがいらないということではありません。能力の高さで60.1%のパフォーマンス向上を得ている人も、まだまだ残りの40%をモチベーションで高められるんですね。今回の研究で分かったのは、能力とモチベーションが合わさっても、パフォーマンスが2倍3倍に爆発的に伸びることはなくて、足し算的に30〜60%くらいは伸びるということですね。

まとめ

本稿では「能力とモチベーションが合わさればパフォーマンスは掛け算的に向上するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 能力とモチベーションの相乗効果はわずか9.4%の影響力しかない
  • パフォーマンスは能力とモチベーションの掛け算で決まるのではなく、足し算で決まっている
  • 能力の高さはモチベーションの2倍の影響力をパフォーマンスに与えている

ということ。

パフォーマンスを高めるためには、モチベーションを高めることも大切ですが、そもそもの能力を高めることも2倍重要です。気合いとか根性とか、モチベーション面だけではどうにもならないことも多いので、しっかりと能力の成長を考えていきましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : A Meta-Analysis of the Interactive, Additive, and Relative Effects of Cognitive Ability and Motivation on Performance

Naoto

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