マルチタスクによる心の疲労は、マインドフルネスで予防できるという研究

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複数の仕事をマルチタスクでこなさなければいけないことってありますよね。突発で対応しなければいけない仕事が発生したり、いくつかのプロジェクトを掛け持ちしたり、むしろ一つだけの仕事に専念できる人の方が少ないのではないでしょうか。

しかし残念なことにマルチタスクは仕事の生産性を低下させたり、心理的にも大きな疲労感を与えてしまうことが分かっています。

そこで本稿では、

  • マルチタスクによる心理的疲労は、マインドフルネスで予防できるのか?

について調べてくれた研究を見てみましょう。

マインドフルネスとマルチタスク

マインドフルネスとは簡単に言えば”今ここに集中すること”。頭の中でぼーっ関係ないことを考えてしまうのはマインドレスな状態で、しっかりと目の前の仕事の集中している状態がマインドフルな状態と言えます。

それでなぜマインドフルネスがマルチタスクの疲労感に有効なのかというと、

  • マルチタスクで複数の仕事を抱えると色々と他の仕事のことが気になってしまうもの。しかし、マインドフルネスで一つ一つの仕事に集中できれば、きっと疲労感も軽減できるはず

ということなんですね

実験:マインドフルネスで疲労感は軽減するのか?

実際にこれを検証してくれたのがテンプル大学の研究。この研究では合計で362人を対象に

  • 仕事のチャレンジストレス
    仕事の量が多すぎるなど、仕事を一生懸命やらないといけないことにストレスをどれだけ感じているか
  • 認知リソース
    IQテストのようなもので測る頭のリソースの多さ
  • 仕事のマルチタスクレベル
    実際に仕事でどれだけマルチタスクを行っているか
  • 心理的な疲労感
    仕事でどれだけ心理的に疲れを感じているか

を測定しています。

そして、マインドフルネスの効果を調べるために、

  • マインドフルネスのトレーニング
    週2回15分間の瞑想トレーニングを7週間続ける

を行ったとき、マルチタスクによる疲労感がどのように変わるのかを調べています。

結果1:心理的疲労を感じやすい人とは?

まず最初にどのような人が心理的疲労を感じやすかったのかというと、

  • 仕事のチャレンジストレスが強い人ほど、マルチタスクが多くなっていた
  • マルチタスクを多く行っている人ほど、心理的疲労感を感じやすかった
  • ただし、認知リソースが高い人はマルチタスクでも心理的疲労を感じやすくはならなかった

ということ。

つまり、仕事の量が増えてマルチタスクになると、頭のキャパシティが小さい人ほど疲労感を感じやすくなってしまうということですね。

結果2:マインドフルネストレーニングの効果

それではマインドフルネストレーニングの効果はどうかというと、

  • マインドフルネスのトレーニングをすると、認知リソースが少ない人でも、マルチタスクによる疲労感を感じにくくなった

という結果が得られています。

なんと、マインドフルネスのトレーニングをすると、認知リソースが少ない人でも、認知リソースが高い人と同等レベルまで疲労感が低減できていたんですね。

まとめ

本稿では「マインドフルネスでマルチタスクの疲労は軽減できるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 認知リソースが少ない人ほど、マルチタスクで疲労感を感じやすい
  • しかし、瞑想でマインドフルネスを鍛えると、認知リソースが少ない人でもマルチタスクの疲労感に強くなることができる

ということ。

元々認知リソースが多い人はマルチタスクでも疲労感を感じにくくてバリバリ働けるようなので、仕事が山積みになるとストレスや疲労を感じやすい人は、瞑想などでマインドフルネスを高めると良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Doing More With Less: Interactive Effects of Cognitive Resources and Mindfulness Training in Coping With Mental Fatigue From Multitasking

Naoto

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