働きがいを高めるためにリーダーシップに必要な2つのこと
本稿のテーマは
”仕事満足度を高めるリーダーシップ”
についてです。
仕事満足度は社員の幸福だけでなくパフォーマンスの向上にもつながる大切な要素です。
そこで本稿では、チームの人間関係に着目して、
リーダーとして働きがいを向上させるのに大切な2つの能力について説明したいと思います。
仕事の満足度とリーダーシップ
チームで働いていると、当然ですが他のメンバーとうまく関係を築けているかどうかで仕事の満足度は変わりますよね。
サポートしてくれる仲間が多ければ満足に仕事ができますし、
ムカつくメンバーがいれば満足度はガクッと下がってしまうわけです。
その中でも最も重要なのはやっぱりチームリーダーとメンバーの関係です。
リーダーが協力的で、ビジョンを明確に共有して、チームが共通のゴールを達成するのを支援してくれる、そんな強いリーダシップをとってくれればメンバーはモチベーションが高まりますし、仕事に対する満足度も高くなりますよね。
それでは、メンバーの働きがいを上げるリーダーシップの特徴はなんなのか?
経営学者の研究(*1)によると、
- チーム内の対立を解決する
- オープンなコミュニケーション
の2つが仕事満足度を上げるのに大切なリーダーシップの要素ということで、
その研究内容をもう少し詳しく見ていきましょう。
なぜこの2つの能力が重要か
この2つの要素はどちらもチームの人間関係と関わるものです。
実は最近ではチーム内の人間関係がメンバーの働きがいやチームのパフォーマンスに影響することが様々な研究からわかっているんですね。多様なメンバーのチームの方がいいアイデアが出てイノベーションが生まれやすいとかもよく聞きますよね。
それに伴って、リーダーの役割も業務をマネジメントすることから、人をマネジメントすることに変わってきているんですね。なのでリーダー自身がメンバーとオープンなコミュニケーションをとることはもちろん、メンバー間の対立を解決するなど、リーダーがメンバー同士の関係の改善をリードすることがより重要になってきているということです。
ちなみに意見をぶつけ合った方がいい結果に辿り着けることもあるように、対立自体は悪いことではありません。リーダーが対立の解決を促進し、みんなが納得する結論にたどり着くことが大切ということですね。
できるリーダーはチームの人間関係を築く
メンバーの目線から見て、この人はできると思うリーダーもいれば、ダメダメだと思われるリーダーもいるわけです。
先の研究ではメンバーはリーダーのパフォーマンスをどう評価しているのか?について調べていて、その結果は
- リーダーのチーム内の対立を解決する力に満足しているメンバーほどリーダーのパフォーマンスを高く評価した
- リーダーのオープンなコミュニケーションに満足しているメンバーほどリーダーのパフォーマンスを高く評価した
- この2つの要素がリーダーのパフォーマンスの評価を説明する割合は47%を占めていた
ということで、できるリーダーと思われるのにこの2つの要素は結構重要みたいですね。
できるリーダーは仕事満足度を上げる
さらにこの2つの要素と、リーダーのパフォーマンスが仕事満足度とどう関係するのかをこの研究は調べていて、その結果は
- 仕事満足度の59%はリーダーのパフォーマンス、オープンなコミュニケーション、対立の解決への3つへの満足度が占めていた
ということで、やっぱりチームの人間関係をうまく築けるリーダーシップは仕事満足度においてかなり重要な要素なんですね。
確かにリーダーがオープンで話しかけやすいと、相談もしやすくて仕事も進めやすいですし、メンバーから見るとオープンなコミュニケーションって結構重要ですよね。
メンバーの評価は意外と厳しい
最後にこの研究が面白いのは、
- メンバーから見たリーダーのパフォーマンスの評価
- リーダーが自分で思っている自分のパフォーマンスの評価
の2つの差を調べているんですね。その結果は
- チームの満足度、リーダーのパフォーマンス、リーダーの対立の解決への満足度の3つに対してリーダー自身が思っているよりもメンバーは低い評価をつけた
- オープンなコミュニケーションについてはリーダーもメンバーも同じくらいの評価だった
ということ。
悲しいことにメンバーの評価の方が厳しいようで、リーダーが自分で思っているほど評価はされていないようですね。
リーダーは自分の中のできているという感覚はあまり信用しないで、メンバーにチーム内でうまくいっていないことはないかなど確認した方が良いのかもしれないですね。
まとめ
本稿では仕事満足度を高めるリーダーシップとして
- チーム内の対立を解決する
- オープンなコミュニケーション
の大切さを説明しました。
このリーダーのこの2つの能力にメンバーが満足すると
- リーダーはパフォーマンスが高いと評価される
- メンバーの仕事満足度が向上する
という相関関係が研究により確認されました。
さらに
- メンバーのリーダーに対する評価は、リーダーが自分で思うよりも低い
ということなので、リーダーの独りよがりで判断せずにチームの意見をしっかりとヒヤリングすることが大切ということでした。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: The impact of team leader performance on team member satisfaction: the subordinate’s perspective