筋トレと有酸素運動を組み合わせたときのメリット・デメリット
本稿のテーマは筋トレと有酸素運動の組み合わせ効果です。
トレーニングには筋トレと有酸素運動の大きく2種類があって、それぞれ異なる効果があります。筋トレの効果は筋肉を発達させてパワーを伸ばすことで、有酸素運動の効果は持久力を伸ばしたり体脂肪を燃焼させることですね。
それでは、筋トレと有酸素運動を組み合わせれば、2つのトレーニングの効果を足し算でそのまま得られるのかというと実はそうでもないみたいで、組み合わせることで低下してしまう効果と相乗効果で高まる効果があるみたいなんですね。
筋トレと有酸素運動の組み合わせ効果
それでは筋トレと有酸素運動の組み合わせでどのようにトレーニングの効果が変わるのかを研究(*1)を参考に見ていきましょう。
この研究では筋トレと有酸素運動を組み合わせたときの効果量を測定した21件の研究をメタ分析でまとめていて、トータルの効果量の数は422個にもなるということです。
この研究では次の3つの場合の分けていて、
- 筋トレのみを行った場合
- 有酸素運動のみを行った場合
- 両方を組み合わせた場合
それぞれの場合で下記の値がどれだけ変化するかの違いを見ています。
- 筋肉量
- 筋力
- パワー
- VO2Max
- 体脂肪
結果としてわかったこと
この研究の結果が次のグラフとなっています。
黒い棒グラフが筋トレのみの場合
モザイク柄の棒グラフが有酸素運動のみの場合
横棒の入った棒グラフが両方の組み合わせの場合
となっていて、左から筋肉量、筋力、パワー、VO2Max、体脂肪の変化を比較しています。
このグラフから分かるのは
- 筋トレの筋量・筋力・パワーの向上効果は、有酸素運動を組み合わせると低下してしまった
- 有酸素運動のVO2Maxの向上効果は、筋トレを組み合わせても同じように得られた
- 体脂肪の減少は筋トレと有酸素運動を組み合わせたときに一番効果が高かった
ということです。
ちなみに有酸素運動をすると筋トレの効果が減少してしまうということですが、効果がなくなってしまうわけではないので筋肉はちゃんとつくと思います。なので、筋肉もそこそこ付けつつ、脂肪も減らしたいという人は組み合わせて行うのも十分にありだとは思います。
また、面白いことに筋トレの効果が減少したのは下半身の筋肉のみで、上半身の筋肉は普通に効果があったようです。有酸素運動で使用するのはほぼ下半身の筋肉なので、上半身の筋肉には影響がなかったということでしょうね。
まとめるとトレーニングの指針としては
- 筋肉を増やすことを優先したい人は、有酸素運動はやらない方が良い
- 脂肪を燃やすことを優先したい人は、両方組み合わせると良い
というですね。
有酸素運動の方法による違い
有酸素運動は筋トレの効果を低下させてしまうことがわかったわけです。
が、有酸素運動のやり方によってこの効果の低下は変わるのではないか?ということで、この研究は有酸素運動の頻度・時間・種類による効果の違いをもう少し詳しく分析をしています。
その結果わかったことは
- 有酸素運動の頻度が高いほど筋トレの効果の低下は大きくなる
- 有酸素運動の時間が長いほど筋トレの効果の低下は大きくなる
- 有酸素運動の種類によっても筋トレの効果の低下は変わる
ということで、やはり有酸素運動が増えるほど筋トレの効果は低下してしまうということですね。また、この研究で有酸素運動の種類による違いとしてランニングをした場合とサイクリングをした場合の効果の違いを分析していて、サイクリングの方が筋トレの効果低減は少なくて済むが、ランニングの方が体脂肪の減少は大きいという結果が得られています。
なので、やはり筋トレをする人は有酸素運動はしない方が良いとなってしまうのですが、研究者によると高強度で短時間の有酸素運動なら筋トレの効果低減を防ぎつつ有酸素運動の効果も得られるのではないかということが示唆されています。高強度で短時間の有酸素運動といえばHIITがオススメです。HIITは短時間で限界まで追い込む有酸素運動で、計4分ほどで終わるけれども持久系の能力向上や脂肪の燃焼効果もバツグンです。
まとめるとトレーニングの指針としては
- 筋トレをする人が有酸素運動をする場合はHIITをやるのがオススメ
ということですね。
まとめ
本稿では、筋トレと有酸素運動の組み合わせの効果について説明しました。
ポイントをまとめると
- 長時間の有酸素運動は筋トレの効果を低下させてしまう
- 筋トレと有酸素運動を組み合わせると脂肪が燃焼しやすくなる
- 筋トレをする人が有酸素運動をしたいならHIITがオススメ
ということで、筋肉をつけたいのか、脂肪を減らしたいのかの目的に応じて、有酸素運動の取り入れ方を変えてみてください。
以上、それでは良い筋トレライフを!
[参考文献]
*1: CONCURRENT TRAINING: A META-ANALYSIS EXAMINING INTERFERENCE OF AEROBIC AND RESISTANCE EXERCISES