先延ばしに悩みすぎないために、良い先延ばしと悪い先延ばしの違いとは?
本稿のテーマは「先延ばし」です。
やらなければいけないことがあるのについつい後回しにしてしまって、締め切りギリギリにならないと手が付かないという話はよくありますよね。
私も勉強をしなければいけないのに、なぜか机が散らかっていることが気になって掃除を始めてしまったりなど、先延ばしにはよく悩まされます。
そこで先延ばしについて調べてみると、先延ばしにも「良い先延ばし」と「悪い先延ばし」があるという研究(*1)がありましたので、本稿ではその内容について紹介したいと思います。
良い先延ばしと悪い先延ばし
良い先延ばしと悪い先延ばしの違いは、
- 良い先延ばしは意図的に物事を先に伸ばすのに対して、悪い先延ばしはだらけて先延ばしにする
という点です。
例えば、何かやらなければいけないことがある場合に、先延ばしせずにそれを締め切りの3日前に終わらせようが、締め切りギリギリで終わらせようが、締め切りを満たしていれば結果は変わりませんよね。なので、締め切りのプレッシャーをモチベーションにしたいという人は意図的に締め切りのギリギリに行うことも一つの作戦として有効です。この他にも優先順位の低いことを計画的に後回しにしたりなど、意図的に先延ばしを行うことが良い先延ばしです。
一方で悪い先延ばしは、だらけてしまって先延ばしをしてしまうことです。勉強しなければいけないのにテレビを見たりゲームをやってしまうなんてことですね。
良い先延ばしにはマイナスの効果がない
先延ばしをする人には様々な悪い特徴があることがわかっています。
- 先延ばしをする学生は成績が悪い
- 先延ばしをする人は不安やプレッシャーが大きくなってしまう
- 先延ばしにする人は課題に向き合わずに逃げやすい
- 先延ばしにする人は自己効力感が低い
これらはまさに先延ばしが悪いと考えられている原因ですね。
それでは、良い先延ばしにはこれらの悪い効果が本当にないのか?ということが気になると思います。
これを確認してくれたのが研究(*1)で、この研究では学生を対象にして
- 先延ばしをしない人
- 良い先延ばしをする人
- 悪い先延ばしをする人
のそれぞれがどんな特徴があるのかを調べています。
その結果として、悪い先延ばしをする人が悪い特徴を持っていたのはもちろんですが、良い先延ばしをする人にはそれらの悪い特徴が見られずに先延ばしをしない人と同じような特徴を持っているということが確認されました。
良い先延ばしをする人の特徴(先延ばしをしない人と同じ)
- 時間の管理やコントロールがうまいと感じている
- 自己効力感が高い
- ストレス対処として、ストレス源と向き合って解決を試みる傾向がある
- 良い成績をとっている
悪い先延ばしをする人の特徴
- 時間の管理やコントロールが下手
- 自己効力感が低い
- ストレス対処として、ストレス源から逃げたり、ストレス発散など感情面の対策を取りやすい
- 先延ばししない人と比べて成績が悪い
ということで、
- 意図的に先延ばしをすることは、だらけて先延ばしすることのようなマイナスの効果がない
ということがこの研究で確認されたということですね。
まとめ
本稿では良い先延ばしと悪い先延ばしについてお話をしました。
ポイントをまとめると
- 良い先延ばしとは計画的な先延ばし
- 良い先延ばしには先延ばしのマイナスの効果がない
ということですね。
先延ばしは全てが悪いというわけではないということが大切なことですね。何でもかんでもすぐに処理をする必要はなくて、締め切りに間に合うのなら計画的に先延ばしを取り入れてみるのも有効ということです。特に仕事の場面では急な仕事が入ってきて他の仕事を後回しにするなんてことはよくありますから、悪い先延ばしと良い先延ばしの違いを理解しておくといいかもしれませんね。
また、先延ばしに悩む人は多いと思いますが、もしかしたら良い先延ばしなのに悩んでしまっている人もいるかもしれないので、その点は見直してみると良いかもしれません。もちろん遊んで締め切りに間に合わないというのは反省する必要がありますが、締め切りに間に合うのなら途中でゲームをしてリラックスすることを計画的に入れるのも別に悪いことではありませんよね。なので、何でもかんでも先延ばしは悪いという考えで自分を責めすぎないように気をつけましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Rethinking Procrastination: Positive Effects of “Active” Procrastination Behavior on Attitudes and Performance