健康目的の筋トレは週に何回が良いのか?

運動は薬よりも役に立つ」と言われることもあるように、健康にとって運動は欠かせないものです。

しかし、運動にも様々な種類があり、大きく分けると

  • ジョギングやサイクリングといった有酸素運動系
  • 腕立てや腹筋、ウェイトトレーニングといった筋トレ系

の2種類に分けられます。

それで、有酸素運動系は特に多く研究されていて様々な病気のリスクを下げてくれることが分かっているのですが、筋トレについては有酸素運動ほど病気のリスク軽減などの健康効果については調べられていないということ。

そこで本稿では、「筋トレと死亡率の関係」を分析してくれた研究(*1)を参考に、

  • 筋トレには健康効果があるのか?
  • 週何回の筋トレが健康に最も良いのか?

についてお話ししていきたいと思います。

筋トレと死亡率の低下

この研究では、筋トレをしている人と筋トレを全くしない人で死亡率にどれだけ違いが出るのかを分析してくれています。分析方法としてはメタ分析を行なっていて、合計11件の研究に及ぶ370,256人ものデータをまとめて結論を導き出してくれています。

それでは早速、筋トレの健康効果の程を順番に結果を見ていきましょう。

筋トレで全死因死亡率が低下する

まず最初に、この研究では全ての死因を含む全死因死亡率について筋トレがどれだけ効果があるのかを算出してくれていて、

  • 筋トレをする人は全くしない人と比べて、全死因死亡率が21%低い

という結果が得られています。

つまり、いろんな病気のリスクを全部総合してみると、筋トレには体を健康に保って病気にかかりにくくしてくれる効果があることが分かったわけですね。筋トレの効果は筋肉が増えるだけではないということです。

それで、この研究では筋トレはどのくらいの頻度が効果的なのかも確かめてくれていて、

  • 筋トレの頻度は週に1〜2回が最も死亡率が低かった
  • 週に3回以上になると死亡率の低下効果は減少してしまった
  • 筋トレと有酸素運動を両方やっている人はもっと死亡率が減った

ということ。

健康目的の人であれば、有酸素運動にプラスして週1〜2回の筋トレを行うのがベストみたいですね。

筋トレは心血管の病気に良い

次にこの研究ではもう少し具体的にどのような死因に効果があるのかを分析してくれています。

その結果は

  • 筋トレをする人は心血管の死亡率が低かった
  • 筋トレはがんの死亡率とは関係なかった

ということです。

筋トレが心血管の病気のリスク軽減に良いのは間違いなさそうで、筋トレする人としない人を長期にわたって追跡したコホート研究でも

  • 週に30分以上の筋トレをする人は心筋梗塞のリスクが23%低下した

という結果が得られているということです。

ちなみに筋トレの心血管のリスク軽減に関しては、頻度によって効果に違いはなく、有酸素運動を組み合わせるとさらにリスクが軽減されるという結果が得られています。

筋トレはなぜ健康にいいのか?

それで筋トレがなぜ健康にいいのか?についてはいくつかの要因が考えられるようで、

  • 体を鍛えると体脂肪(特に内臓脂肪)を減らすことができるので、病気のリスクも減る
  • 筋トレで体の炎症を抑えることができる
  • 細胞のミドコンドリアの機能を向上できる
  • 心臓の血圧を改善できる

といったことが健康に良く作用しているのではないかということ。

一方で、筋トレにはテロメアを伸ばすようなアンチエイジングの効果はなかったり、やりすぎると逆に健康に悪い効果があったりもするということ。確かにハードな筋トレの後は免疫が低下して、病気になりやすかったりしますよね。

なので、健康な体を作るにはどちらかといえば有酸素運動のほうが効果的で、それに加えて筋トレも週1〜2回やれば効果がアップできるという感じで考えると良いと思います。

まとめ

本稿では「筋トレの健康効果」についてお話ししました

ポイントをまとめると

  • 筋トレをする人は全死因死亡率を21%低く、特に心血管系の病気が軽減できる!
  • 筋トレはやり過ぎると健康効果は下がってしまう
  • なので有酸素運動にプラスして週に1~2回の筋トレを行うのが健康的にはベスト!

ということですね。

健康目的の筋トレでは高重量は扱わないで良いということなので、腕立てや腹筋、スクワットといった自重トレーニングを週1〜2回やるくらいでも、健康効果は十分得られるのかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1: The Association of Resistance Training With Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis

Naoto

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