仕事の意義を高めるには、ジョブ・クラフティングが有効だという話

仕事に意義を感じられるかどうかは大切なことです。

仕事に意義を感じている従業員は、仕事へのコミットメントやモチベーションが高く、結果として仕事のパフォーマンスも高くなります。また、仕事に意義を感じられれば、本人の仕事への満足度や幸福感も高まるので、会社と従業員の両方にWin-Winの効果があるわけですね。

そこで気になるのが、「どうすれば仕事の意義を高めることができるのか?」ということです。

エラスムス・ロッテルダム大学らの研究(*1)によると、「仕事の意義を高めるにはジョブ・クラフティングが有効だよ」という結果になっていましたので、本稿では、ジョブ・クラフティングで仕事の意義を高める方法についてお話ししていきたいと思います。

ジョブ・クラフティング

ジョブ・クラフティングとは従業員が自ら仕事を作ったり、仕事の形を変えたりすることを言います。ただ決められた通りに仕事を行うのでなく、自分に合った形に仕事の内容や進め方をアレンジするということですね。

それで、アレンジの仕方は大きく4つに分類されて

①仕事の構造を変える
仕事の進め方を自分に合った形に変えたり、自分の強みを活かしてみたり、仕事に必要な知識を習得する機会を自ら作ったりという、仕事の内容ややり方に関するアレンジ。

②仕事で関わる人間関係を変える
信頼できる人にサポートしてもらえるようにしたり、上司とコミュニケーションを多く取るようにして、フィードバックをたくさんもらうようにしたり、という人間関係に関するアレンジ。

③仕事の難易度を変える
仕事の目標を自分で決めたり、少し上の仕事に自分から挑戦してみたりという、仕事にチャレンジを生むような難易度のアレンジ。

④仕事の要求を減らす
仕事の時間をフレックスにしたり、テレワークにしたりして身体的な負荷を減らしたり、嫌いな人と距離を置いたり、苦手な仕事を他の人に任せるなどして精神的な負荷を減らしたりと、自分にとって仕事の負荷となっている要因を減らすアレンジ方法。

と、4種類のジョブ・クラフティングの方法があります。

ジョブ・クラフティングは仕事の意義を向上してくれる

それで、エラスムス・ロッテルダム大学の研究が調べてくれたのは

  • ジョブ・クラフティングは仕事の意義を向上してくれるのか?
  • 向上してくれるならそれはなぜなのか?

ということです。

それで、この研究ではジョブ・クラフティングが仕事のフィット感を向上させてくれるのが、仕事の働きがいにつながるのではないか?ということに注目していて、2種類の仕事のフィット感を中間要素として分析してくれています。

  1. 能力のフィット感
    自分の能力と仕事があっているというフィット感
  2. 要求のフィット感
    自分がやりたい仕事の要求と実際の仕事があっているというフィット感

つまりこの研究では、①ジョブ・クラフティング、②2種類にフィット感、③仕事の意義を測定して、それらの関係を分析してくれたわけですね。

ジョブ・クラフティングの効果とは?

分析の結果として分かったことは

  • ジョブ・クラフティングが多いほど、能力のフィット感も高くなる
  • ジョブ・クラフティングが多いほど、要求のフィット感も高くなる
  • さらに、ジョブ・クラフティングが多いほど、仕事の意義も高くなる

ということ。やはりジョブ・クラフティングには仕事の意義を高めてくれる効果があることが確認されていますね。

さらに、仕事のフィット感と仕事の意義の関係を分析してみると

  • 能力のフィット感が高いと、仕事の意義が高まった
  • 要求のフィット感が高くても、仕事の意義は変わらなかった

ということ。

つまり、ジョブクラフティングで仕事の意義が高まるのは

  • ジョブ・クラフティングで自分に合った形に仕事を変える
    →仕事で自分の能力が発揮できていると感じる
    →仕事の意義が高まる

という経路があることが分かったんですね。

要求のフィット感の方は仕事の意義を高めなかったということなので、自分のやりたいように仕事をアレンジするというよりは、自分の能力を高めたり、十分に能力を発揮できるように仕事をアレンジするというのがいいのかもしれませんね、。

まとめ

本稿では「ジョブ・クラフティングで仕事の意義を高める方法」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • ジョブ・クラフティングは仕事の意義を高めてくれる
  • ジョブクラフティングには4つの方法がある
    ①仕事の内容や進め方を変える
    ②仕事の人間関係を変える
    ③仕事の難易度を変える
    ④仕事の要求を減らす
  • 仕事の意義を高めたい場合には、自分の能力あった形に仕事を変えるのが良い!

ということですね。

先の研究でもう一つ分かったことは、ジョブ・クラフティングが多い人は、時間とともにジョブ・クラフティングが増えていって、仕事のフィット感も増していくということです。なので、ジョブ・クラフティングでチャレンジングな仕事にする→能力を向上する→その能力を発揮してさらに高い仕事に挑む、というような成長ループを作れればいいですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Job crafting and its relationships with person–job fit and meaningfulness: A three-wave study

Naoto

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