学習効率を上げたいなら、運動と瞑想を組み合わせると良いという研究

本稿のテーマは「運動と瞑想の組み合わせで記憶力を向上する方法」についてです。

運動には脳の機能を向上する働きがあることが研究でわかっています。運動することで脳が覚醒したり、運動によりBDNF(脳由来神経栄養因子)という脳の成長を促進する物質が出ることで、記憶能力が向上するんですね。

一方で瞑想も脳にとって良いことで、瞑想中には集中であったり実行機能をつかさどる脳の部位が活性化します。

そうすると、「運動と瞑想を組み合わせたら、記憶力や学習能力がもっと向上するのではないか?」という考えが出てきて、それをミシシッピ大学の研究(*1)が実験で確認してくれていました。

そこで、本稿ではこの研究を参考に、運動と瞑想の組み合わせ効果についてお話ししていきたいと思います。

運動+瞑想の記憶向上効果とは?

この研究では20名の参加者を集めて、次の3つの方法で記憶テストの結果を比較しています。

  1. 運動のみのグループ
    記憶前に運動をするグループ
  2. 運動+瞑想グループ
    記憶前に運動して、記憶後に瞑想をするグループ
  3. コントロールグループ
    運動も瞑想もしないグループ(代わりに数独パズルをする)

各グループの実験手順は次のようなイメージとなっています。

記憶テストは単語の暗記となっていて、1秒毎に次々と現れる単語を暗記するような形式になっています。記憶の定着を確認するために、確認テストは記憶作業の直後ではなく、10分後に行うように設定されています。瞑想を行うグループは記憶作業と確認テストの間で瞑想をする形となっていますね。

結果①:記憶前の運動の効果

運動の有無で暗記時間中の記憶力がどのように変わったのかが次のグラフとなっています。

左の点が運動ありの結果(運動のみグループと運動+瞑想グループ)
右の点が運動なしの結果(コントロールグループ)
となっています。

このグラフから分かるように

  • 記憶作業の前に運動を行った方が、記憶力は向上した

ということがわかります。

結果②:記憶後の瞑想の効果

続いて、記憶作業後の瞑想の有無で最終的な記憶テストの結果がどのように変わったのかが次のグラフとなっています。

左の点が運動のみのグループの結果
真ん中の点が運動+瞑想のグループの結果
右の点がコントロールグループの結果となっています

グラフを見ると真ん中が一番高くなっていることから

  • 運動に加えて、記憶作業後に瞑想をした方が記憶力は向上する

ということが分かります。

暗記前の運動が新しい単語の学習を促進してくれて、暗記後の瞑想がその単語の記憶の定着を促進してくれているみたいですね。

まとめ

本稿では「運動+瞑想の組み合わせの記憶力向上効果」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 学習前には運動、学習後には瞑想を行うと、学習した内容の記憶が定着しやすくなる

ということですね。

運動→勉強→瞑想を一つのセットとして考えると実行しやすいと思います。例えば、25分集中→5分休憩を繰り返すポモドーロテクニックと合わせて

2分運動→25分勉強 →3分瞑想

を繰り返すようにすれば、集中力を維持しつつ記憶力の向上効果も得られるのではないでしょうか。この場合、運動はスクワットなどその場でできるもので大丈夫だと思います。

最後に、今回の研究では、運動と瞑想を学習の前後で単発的に行うだけでも効果があることが確認されています。しかし、運動と瞑想はどちらも習慣にすると良いものなので、単発的に行うだけでなく習慣として身につけることがおすすめです。そうすると、記憶力の向上だけでなく、健康やメンタルの改善などの運動と瞑想の良い効果をフルに得ることができると思います。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Acute exercise and mindfulness meditation on learning and memory: randomized controlled intervention.

Naoto

シェアする