褒めてプライドを伸ばすだけでもタスクの忍耐力が向上する
本稿のテーマは「プライドの良い効果」についてです。
スポーツの練習でも、勉強でも、あるいは仕事でも、困難な課題や辛い練習に忍耐強く取り組み続けないければいけないことがあります。これは結構難しいことで、よっぽどモチベーションの高くなければ、気持ちが続かずにすぐに諦めてしまいます。
これに対して、ノースイースタン大学が注目したのがプライドで、
- プライドの高い人であれば、辛いタスクにも根気強く取り組めるのでは?
ということを実験により調べてくれています。
そこで本稿では、この研究結果を参考にプライドの効果についてお話ししていきます。
プライドとはどんな感情か?
まず心理学者の間でプライドがどんな感情だと考えられているのかというと、
プライドとは自分に対する良い認識の一つで、自分で努力したり、自分の能力を発揮して達成した経験から得られる自信や誇りのような感情である
ということ。
プライドは自己効力感とも少し違っていて、自己効力感は「自分の努力次第で困難な課題でも達成できる」という成功への期待感なのに対して、プライドは「自分は高い能力を持っているんだという自信や誇り」という感じで、似た部分はありますが若干の違いがあります。
また、プライドは社会的な評価からも得られるもので、
- 他の人に自分の能力を認めてもらえたとき
- 能力の高いチームに所属しているとき
などにもプライドが高まることがあります。
プライドの良い効果
それでノースイースタン大学の研究では、
- 能力を褒めてプライドが高めることで、その後に忍耐力が必要なタスクをより長く続けられるのか?
を実験により調べています。
この実験の手順としては
- 最初に画像の中の赤い点を数えるタスクに取り組んでもらう
ただし1つの画像の制限時間は2秒で正確に答えるのは不可能になっている - 参加者を次の3つのグループに分ける
①プライドを高めるグループ
手順1のスコアを高く知らせて能力を称賛する
②成績だけ見せるグループ
手順1のスコアを知らせるだけ
③コントロールグループ
手順1のスコアを見せない - 忍耐力が必要なタスクに好きなだけ取り組んでもらう。
このときにどれだけタスクを継続できるのかを測定する
という内容になっています。
結果:プライドと忍耐力
まず3つのグループでプライドの高さを測定した結果は、最初のタスクの結果を褒めたグループだけが想定通りにプライドが向上していたということ
それでこれらの3つのグループで次のタスクの忍耐力がどう変わったのかの結果が次のグラフとなっています。
左がコントロールグループ
真ん中が成績だけ見せるグループ
右が褒めてプライドを伸ばしたグループです。
一番右のグラフが頭一つ飛び抜けていることから分かるように、
- プライドが高まると、辛いタスクや困難なタスクへの忍耐力が向上する
というプライドの良い効果が確認されています。
ポジティブな感情のせいでは?
それでこの研究では、褒められたグループのみ忍耐力が向上したのは、プライドだけでなく、褒められてポジティブな感情になったことも影響しているのでは?ということも調べてくれています。
実験方法は先ほどのものとほぼ一緒なのですが、3つのグループ分けを変えていて、
①プライドを高めるグループ
最初のタスクのスコアを見せて能力を称賛する
②ポジティブな感情を高めるグループ
プライドは高めないようにしてポジティブな感情のみを高める
③コントロールグループ
特に何もしない
としています。
そして実験の結果としては
- プライドを高めたグループと、ポジティブな感情を高めたグループの両方で、実際にポジティブな感情は高まっていた
- プライドが高まったのはプライドを高めたグループのみだった
- そして、忍耐力が向上したのもプライドを高めたグループのみだった
ということ
つまり忍耐力が向上したのはポジティブな感情のおかげではなく、プライドの効果ということが確認されたわけですね。
まとめ
本稿では「プライドの良い効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- プライドは達成経験だったり能力を認められたときに高まる!
- プライドが高まると困難な課題や辛いタスクへの忍耐力が向上する!
ということですね。
これらの研究結果からすると、仕事での上司と部下のコミュニケーションとか、学校での先生と生徒のコミュニケーションとかでも、褒めてあげることは思っているよりも大切なのかもしれませんね。
ただし、漠然と「自分はすごいやつ」と過度にプライドを持つことは逆効果にもなり得るので注意が必要です。正しくプライドと持つには、特定の能力に対して適度にプライドを感じることが大切ということですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]