病気のリスクを最大限減らすには、野菜とフルーツをどれだけ食べればいいのか?

運動や睡眠、食事など健康のために気をつけなければいけないことは多くありますが、その中でも「野菜やフルーツを食べること」は基本中の基本です。

そこで気になるのが、野菜とフルーツをどれだけ食べればいいのか?という量の問題です。色々な機関が1日の野菜・フルーツの推奨量を提示してくれているものの、350gだったり500gだったりとばらつきがあって、どれを信じればいいのかがイマイチ分からないんですね。

そこで本稿では、この問題についてメタ分析で結論を出してくれた研究(*1)を参考に、病気のリスクを最大限減らすための1日の野菜・フルールの摂取量を見ていきましょう。

野菜とフルーツの最適量とは?

この研究では95件の研究をメタ分析でまとめてくれていて、

  • 冠動脈疾患、脳卒中、心血管疾患、がん、全死因死亡率の計5つのリスクが野菜・フルーツの量によってどれだけ低下するのか?
  • どの野菜やフルーツが効果があるのか?

を調べてくれています。

それでは、リスク別に結果を見ていきましょう。

結果1:冠動脈疾患

野菜・フルーツの摂取量と冠動脈疾患のリスクの低下の関係を示しているのが次のグラフです。

どのグラフも横軸が野菜・フルーツの摂取量、縦軸が病気のリスクで、野菜・フルーツの摂取量が増えるほど、リスクは低下しているのがわかります。

3つのグラフは左からそれぞれ、

  • 野菜とフルーツの両方を合わせた摂取量のグラフ
  • フルーツの摂取量のみのグラフ
  • 野菜の摂取量のみのグラフ

となっています。

右2つの野菜かフルーツのどちらか一方だけの場合には、300gあたりでグラフは横ばいになってしまってリスクが低下しなくなっていることがわかります。一方で野菜とフルーツを合わせた場合には、グラフ右端の1日800gまでリスクの低下効果が確認されて、最大24%のリスクが低減できたということです。

ちなみに、冠動脈疾患に効果がある野菜・フルーツは

りんご、柑橘類、フルーツジュース、緑葉野菜、ベータカロテンの豊富な野菜・フルーツ、ビタミンCの豊富な野菜・フルーツ、トマト

ということです。

結果2:脳卒中

続いて、脳卒中のリスクが野菜とフルーツでどれだけ低下するのかを見てみましょう。

脳卒中のグラフでも、

  • 野菜とフルーツを合わせた場合には1日に800gまでリスクは低下して、最大で33%のリスクが低減できた

ということが確認されています。グラフを見てみると、真ん中のフルーツのみのグラフは200g当たりで効果が上限に達してしまっているので、どちらかというと野菜の方が効果が大きいみたいですね。

脳卒中に効果がある野菜・フルーツとしては

りんご、なし、柑橘類、フルーツジュース、緑葉野菜、ピクルス、ぶどう、ビタミンCが豊富な野菜・フルーツ

が効果があるということです。

結果3:心血管疾患

続いて、心血管疾患のリスクと野菜・フルーツの量の関係は次の通り。

こちらも前の2つとほぼ同じ形のグラフとなっていて、

  • 野菜とフルーツを合わせて1日800g摂取することで、最大28%の心血管疾患のリスクを低減できた

という結果が得られています。

心血管疾患に良い食品としては

りんご、なし、柑橘類、ニンジン、非アブラナ科の野菜

が効果があるということです。

結果4:がん

がんのリスクと野菜・フルーツの摂取量の関係は次のグラフです。

このグラフは前の3つとは少し違っていて、

  • がんのリスク低下は野菜とフルートを合わせて600gで効果が上限に達した
  • そのときには最大で14%のリスクが低減できた

ということです。がんの場合は少し早めに効果の上限に達したみたいですね。

がんに効果のあった食品は

アブラナ科の野菜、緑葉野菜、トマト

ということです。

結果5:全死因死亡率

最後に全ての死因を合わせた死亡率と野菜・フルーツの関係は

と、他の病気のリスクとほぼ同じ形になっていて、

  • 全死因死亡率は野菜・フルーツを合わせて1日に800g摂取することで、最大31%のリスクを低減できた

ということ。

全死因死亡率に効果のある食品としては

りんご、なし、ベリー類、柑橘類、フルーツジュース、アブラナ科の野菜、じゃがいも、緑葉野菜

が良いみたいです。

まとめ

本稿では「病気のリスクを最大限減らすための野菜とフルーツの摂取量」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 野菜とフルーツは合わせて1日に400gまでは特に効果が高くて、それを超えても800gまでは効果がある(がんに対しては600gまで)
  • 野菜とフルーツのどちらかのみだと、効果が低下してしまうので、両方摂取するのが良い
  • 具体的な食品としては、りんご、柑橘類、緑葉野菜、トマトは多くのリスクに効果があるので食べるのがおすすめ(もちろんこれ以外にも幅広く食べるのがベター)

ということですね。

野菜のみで一日800gだとかなりキツそうですが、りんごが1個250gあることを考えると、フルーツもありで800gは意外と楽に達成できそうですね。ただし、フルーツよりも野菜のほうが効果が高い病気もあったので、800g食べても野菜が極端に少ないと効果が薄れてしまう可能性があるので注意です。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality—a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies

Naoto

シェアする