信頼されるリーダーの特徴ベスト3とは何か?の研究

チーム内に信頼関係を築くことは、チームを長く持続させ、チームに高いパフォーマンスを発揮させます。中でもリーダーと部下の信頼関係が重要だとわかっていて、信頼のあるリーダの元では

  • コミュニケーションや問題解決の質が向上する
  • 部下の主体的な努力が増える
  • チームに貢献する行動が増える
  • チームへのコミットメントが高まる
  • 離職率が低下する

と良い効果があることが確認されています。

自分の仕事を振り返ってみても、もっと一緒に働きたいと思えるリーダーもいれば、逆に気分が憂鬱になってしまうリーダーもいたのではないでしょうか。

そうすると気になるのが「信頼されるリーダーと信頼されないリーダーの違い」です。信頼されるリーダーがどんな行動をとっているのかが分かれば、チームをもっと良くすることができますよね。

そこで本稿では、メルボルン大学の研究(*1)を参考に、信頼されるリーダの特徴についてお話ししていきたいと思います。

信頼されるリーダーの特徴

メルボルン大学の研究では、研究開発を仕事にしている33チームを対象に、

  • リーダーの特徴
  • 部下からの信頼の強さ
  • 部下の満足度や努力量

を測定しています。これらの指標から、

  • どんなリーダが信頼が高いのか?
  • リーダーへの信頼が高いと、チームにどんな良い効果があるのか?

が分析できるわけですね。

研究開発を仕事にしているチームに絞ったのは、研究開発は異なる専門性を持ったメンバーが相互に協力することが必要で、特にチーム内の信頼関係が重要だからということです。

リーダの特徴

それで、この研究では次のように様々なリーダーの特徴を測定していて、それぞれの特徴とリーダーの信頼との相関を調べてくれています。

カリスマ性
部下がリーダーに自信や尊敬、プライドを感じている

理想の共有
チームの方針であったり目標を共有している

モチベーションの刺激
ヴィジョンの達成のために部下のモチベーションを鼓舞している

知的な刺激
古いやり方を疑問視して、部下に新しいやり方を推奨している

個々への配慮
メンバーを平等に扱いつつも、個々の部下に適した接し方をして、それぞれの部下にあった成長を支援している

報酬の提供
成果に対して報酬を与えることで目標の達成を推進している

積極的な間違いの指摘
部下のミスをしないように監視している

消極的な間違いの指摘
部下がミスが分かったときにのみ口を出す

自由放任
リーダーシップが欠けていてチームにあまり関与しない

部下に相談
チームや部下に関することを決断するときに部下に相談する

結果:信頼されるリーダーの特徴

そして、結果として得られた相関が次の通り。

リーダーの特徴信頼との相関
カリスマ性0.66
モチベーションの刺激0.48
理想の共有0.52
個々への配慮0.59
知的な刺激0.41
報酬の提示0.55
部下に相談0.69
積極的間違いの指摘−0.03
消極的間違いの指摘−0.39
自由放任−0.53

表の中から信頼との相関が大きいベスト3を抜き出してみると

  1. 部下に相談する(r=0.69)
  2. カリスマ性(r=0.66)
  3. 個々への配慮(r=0.59)

ということで、部下一人一人としっかりとコミュニケーションをとることが大切そうですね。

逆に信頼にとってマイナスだったのは

  1. 消極的間違いの指摘(r=−0.39)
  2. 自由放任(r=−0.53)

ということで、チームに対してリーダーの関与が少ないと信頼が低下してしまうようです。

結果:信頼できるリーダーの効果

次に。信頼の高いリーダーのチームでは、どのようなことが起こっていたのかというと、

  1. 部下のリーダーへの満足度が増える
  2. 部下とリーダーの人間関係が向上する
  3. 結果として部下の努力が増える

ということ。やはりリーダーの信頼が高ければ、チームの成果は向上するようですね。

結果:共通の価値観

最後にこの研究では、リーダーと部下が共通の価値観を持つことも信頼関係にとって大切なのではないか?ということも分析してくれていて

  • 共通の価値観と信頼は高い相関を示した(r=0.73)

という結果が得られています。先ほどのリーダーの特徴のどれよりも高い相関となっていますね。

この共通の価値観も考慮した上で、何がリーダーの信頼を予測するのかを回帰分析で分析した結果によると、最も大切なのは

  • 共通の価値観(27%)
  • 部下への相談(25%)
  • 個々への配慮(8%)

の3つということです。

これ以外の要素の影響度は2%以下となっていますので、これらの3つの要素があれば、他の要素はほとんど信頼への予測には影響しないという結果になっています。

まとめ

本稿では「信頼されるリーダーの特徴」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、リーダーが信頼を得る上で最も大切なことは

  • リーダーと部下の間で共通の価値観を持つこと
  • リーダーは決断をする前に部下に相談すること
  • リーダーは部下を平等に扱い、それぞれの部下にあった接し方や成長のサポートをすること

の3つということですね。逆に

  • 自由放任でチームへの関与が少ないリーダーは信頼を失ってしまう

ということも分かっていますので、チームに対してリーダーシップをしっかりとるようにしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Transformational leadership and shared values: The building blocks of trust

Naoto

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