マインドフルネスが高まるときと低下するときとは
マインドフルネスとは「今ここに集中すること」で、マインドフルネスには「メタ認知」と「集中」の2つのポイントがあります。
- メタ認知:自分の感情や考えを客観的に捉えること
- 集中:今のタスクに意識を集中させること
要するに、自分を客観視することで、雑念や感情に捉われずに、今のタスクに100%集中するように自分をコントロールするわけですね。
マインドフルになることができれば、仕事や勉強に集中ができますし、食事でも料理を100%味わうことができるます。特に最近はこのような良い効果が注目されていて、マインドフルネスが仕事にも取り入れられたりと随分と広まってきていると思います。
しかし、疲れきっているとき集中力が持たないように、マインドフルネスに集中することが難しいときもあります。つまり、マインドフルになれるかどうかは、自分の努力の問題だけでなく、状況的な要因も強く受けることが考えられるわけですね。
そこで、本稿ではバージニア・コモンウェルス大学らの研究(*1)を参考に
- マインドフルネスはどれだけ状況の影響を受けるのか?
- マインドフルネスはどんな状況で高まるのか?
について見ていきましょう。
マインドフルネスと状況
バージニア・コモンウェルス大学らの研究では558人の学生、ナース、社会人を対象に、普段の生活とその中で状況によるマインドフルネスの変化を記録してもらっています。
マインドフルネスとともに次のような状況的な要因も測定しています。
- 心理的な疲労感
- 認知的リソース
- テクノロジーの使用
- ストレス源の強さ
- 能力とタスクの難易度のバランス
これらの要因を分析することで、マインドフルネスが高まる状況と低下する状況があるのかを調べてくれたわけですね。
結果①:マインドフルネスへの状況の影響
まず最初にわかったことは
- マインドフルな集中力の変動の67%は状況的な要因だった
(残り33%は状況によっては変わらずにその人の中で一貫していた) - メタ認知の変動の62%は状況的な要因だった
(残り38%は状況によっては変わらずにその人の中で一貫していた)
ということ。つまり、マインドフルネスが強い人・弱い人みたいな人による変動よりも、マインドフルになりやすい状況・なりにくい状況といった状況的な変動の方が倍近く影響が強いということですね。なので、状況の影響を受けずにどんなときでもマインドフルになれるという人はまれなのかもしれませんね。
結果②:マインドフルネスが低下してしまう状況とは?
それでこの研究ではどんなときにマインドフルネスが低下してしまうのかも分析してくれているので、その結果を見てみると
- 心理的に疲労感を感じているときには、マインドフルネスは低下してしまう
- ストレス源が多い状況では、マインドフルネスは低下してしまう
- 認知リソースが少ない状況で、チャレンジングな難易度のタスクの取り組むとマインドフルネスは低下してしまう
- メールやSNSなど注意を逸らすものが多いと、マインドフルネスは低下してしまう
ということ。なのでマインドフルネスを低下させないためには、注意を逸らすものやストレスになるものを排除することと、自分の疲労感や認知リソースに合わせてタスクの難易度を調整することが大切ということですね。
結果③:マインドフルネスを向上してくれる状況
逆にマインドフルネスを向上してくれる状況としては
- 認知リソースが十分にある状況では、チャレンジングな難易度はマインドフルネスを上げてくれる
- マインドフルな集中やメタ認知の大切さを信じる人、あるいは信じられる状況ほど、マインドフルネスは高かった。
ということ。
集中に必要な認知リソースが十分にあるだけではダメで、集中したいと思えるチェレンジングな状況や、集中できるという信じる心もマインドフルネスを上げるには大切ということですね。
まとめ
本稿では「マインドフルネスが高まるときと低下するとき」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- マインドフルネスの67%は状況的な要因で決まってしまう
- マインドフルネスは疲労感であったり認知リソースの不足で低下してしまう
- マインドフルネスはストレス源であったり集中を阻害する要因で低下してしまう
- マインドフルネスは適度な難易度のタスクで向上する
- マインドフルネスはその効果を信じるほど向上する
ということですね。要するにマインドフルになるには
①自己コントロールに必要な心のエネルギー
②マインドフルになろうとするモチベーション
③目標や難易度の設定などの集中を促進する要因
③スマホやストレス源などの集中を妨げる要因の排除
の4つが必要ということですね。結局は集中力を高めるのに必要な状況がマインドフルネスを高めるのにも必要ということなので、マインドフルネスもメタ認知を使うのが特徴的なだけで結局は自己コントロールの方法の一つということなのかもしれませんね。
以上本稿はここまで。