昼休みに疲れを回復させるには、自主性が必要という研究
昼休みは仕事の疲れを回復させてくれる大切な時間です。
昼休みに何をするのかは人それぞれで、同僚と食事に出かけたり、昼寝をしたり、スマホをいじったりなどなど、休み時間なので自由に使っていいわけです。
しかし、中には忙しすぎてろくに昼休みもとれずに、デスクで仕事をしながら軽食をつまむだけだったり、昼休みはあるけど先輩に付き合わなければいけなくて自由を感じられないという人もいると思います。
そこで、トロント大学らの研究(*1)が
- 昼休みに疲労を回復させるには、昼休みの使い方を自主的に決められることが大切なのでは?
ということを調べてくれていますので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
昼休みと自主性
この研究では103人の従業員に調査に協力してもらって
- 昼休みに何をしているのか?
- 昼休みに自主性がどれだけあるのか?
- 仕事の終わり時点で他人から見た疲労感がどれだけか?
といったことを測定しています。
このときに昼休みに行う活動は3つに分類されていて
- 社交的な昼休み
同僚や先輩、取引先の人などとの交流を行う昼休み - 仕事の昼休み
休憩中だけど仕事に関連したことを行ってしまっている昼休み - リラックスの昼休み
昼寝などリラックスして体を休める昼休み
となっています。
これらの測定結果から、
- 昼休みの活動内容で疲労感は変わるのか?
- 主体性の有無で疲労感は変わるのか?
を分析してくれています。
結果①:社交的な昼休み
社交的な昼休みの人の1日の終わりの疲労感が次のグラフのようになっています。
縦軸が疲労感で、横軸には社交活動の度合い、
そして、点線が自主性が高い場合で実践が自主性が低い場合です。
このグラフからわかることは
- 自主性が高い場合には、昼休みに社交的な活動を増やすことは、疲労感を軽減してくれる
- 自主性が低い場合には、昼休みに社交的な活動を増やしても、逆に疲労感が溜まってしまう
ということです。つまり、好きでもないのに先輩に付き合わなければいけなかったりすると、逆に疲労感は溜まってしまうということですね。
結果②:仕事の昼休み
同様に仕事の昼休みがどうだったのかというと
仕事の昼休みも、先ほどの社交の昼休みと同様のパターンになっていて
- 自主性が高い場合には、昼休みに仕事に関する活動を増やすことは、疲労感を軽減してくれる
- 自主性が低い場合には、昼休みに仕事に関する活動を増やすと、疲労感が溜まってしまう
ということです。
昼休みにも仕事をすると疲労感は溜まってしまいそうですが、自主性がある場合には例外で疲労感は軽減されるということです。これがどんな状況かというと、仕事を強制されているわけではなく、自分が好きだから昼休みにも仕事をやっているという状況ですね。確かに没頭できる仕事をしているときよりも、気の進まない仕事をしているときの方がどっと疲労感はありますよね。
結果③:リラックスの昼休み
最後はリラックスの昼休みです。
この結果だけパターンが変わっていて、
- 自主性が低い場合に、リラックスの活動は疲労感を軽減してくれる
- 自主性が高い場合には、リラックスの活動で疲労感は変わらない
という結果が得られています。
これの説明としては、自主性が低い場合には疲労感が大きく溜まってしまうので、リラックスの活動を増やした方が良い。しかし、自主性が高い場合には、他の活動でも疲労感の軽減効果が得られるので、リラックスの活動でなくても良いということだと思います。
まとめ
本稿では「効果的な昼休みための活動と自主性」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 昼休みの社交的な活動や仕事の活動は、自主性が高い状態でないと疲労感を増やしてしまう
- リラックスの活動は自主性が低い状態でも疲労感を軽減してくれる
ということですね。
基本的には昼休みには自主性を持たせてあげることが大切で、どうしても自由にできないときにはリラックスの休憩を取るのが良いということですね。昼休みを取る時間も自分の裁量で決められたりしたほうが、より自主性が高まって良いのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : LUNCH BREAKS UNPACKED: THE ROLE OF AUTONOMY AS A MODERATOR OF RECOVERY DURING LUNCH