時間の管理に自信がつくと、心理的に疲れも感じにくくなるという研究
仕事には忙しい時期や困難な時期があるもので、仕事が山積みになって終わる見通しが立たないと、どっと疲労感を感じてしまうことがあると思います。要求される仕事の量や質が、その人のコントロールの範囲を超えてしまうと、疲労感やストレスが高まってしまうわけですね。
そして、この現象についてニューメキシコ大学の研究(*1)が注目していて
- 自分で時間をコントロールできる感覚があると、仕事の要求が高まっても疲労感やストレスを感じにくくなるのでは?
ということを実験してくれていました。本稿ではこの研究を参考に、困難な仕事や仕事が忙しいときでも、疲労感を感じにくいメンタルの保ち方について学んでいきましょう。
時間のコントロール感
なぜこの研究が時間のコントロール感に注目したのかというと、
- 仕事の要求が高まっても、優先順位を変えたり、集中時間を作ったりなど、自分でうまく時間を使って仕事をこなせる自信があれば、疲労感やストレスは感じにくくなるはず
と考えたからです。要するに時間を管理する自信で、自分で感じる仕事のキャパシティが増えるわけですね。
それでこの研究では週に20時間以上は働く社会人356名を対象に、時間のコントロール感が本当に効果があるのかを検証してくれていて、
- 仕事の要求の高さ
- 仕事の先延ばし
- 時間をコントロールしている感覚
- 心理的な疲労感
の4項目×356人分のデータが測定・分析されています。
結果
そして測定した各項目の相関からわかったことは
- 仕事の要求が高いと、心理的な疲労感が高まってしまう(r=0.491)
- 仕事の先延ばしが多いと、心理的な疲労感が高まってしまう(r=0.402)
- 時間のコントロール感が高いと、心理的な疲労感は軽減される(r=−0.702)
ということ。時間のコントロール感がr=−0.702といい感じに心理的な疲労感を軽減してくれていますね。
グラフで見ても、時間のコントロール感が高まると心理的疲労感が低下していることが分かります。ちなみにオレンジ色の直線が先延ばしが多い人の結果、青色の直線が先延ばしが少ない人の結果です。時間のコントロールがうまくて、かつ先延ばしも少ないと一番疲労感の低下が大きいということですね。
結果2
しかし、時間のコントロール感については
- 仕事の要求が高いと、時間のコントロール感が低下してしまう
- 時間のコントロール感が低いと、仕事の先延ばしが増えてしまう
ということも分かっています。
仕事の要求が高まって忙しくなるほど、自分で時間をコントロールしきれなくなって、コントロール感が低下してしまうみたいですね。なので、仕事の要求が高い中でも、いかに時間のコントロール感を高く保つかが重要になるのでしょう。
そのためには、色々な仕事で時間がぐちゃぐちゃにならないように
- 集中力のある午前中と午後で仕事の分配を変える
- 集中時間を決めて、その時間は仕事に割り込みが入らないようにする
- 曜日や日によって仕事の種類やプロジェクトを変える
- 仕事は細かく分割して、スモールステップで進捗してる感を出す
などの工夫をしてみると良いと思います。
まとめ
本稿では「時間のコントロール感と仕事の疲労感」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 時間のコントロール感が高いと、仕事の要求が高まっても疲労感を感じにくくなる
- しかし、仕事の要求が高まると時間のコントロール感も低下してしまうという相関もある
- なので仕事の要求が高い中でも、いかに時間のコントロール感を保つかが重要
ということですね。
考えてみると「時間が足りない」は多くの人が感じる仕事のストレス源の一つなので、時間をうまく対処できるという自信は、ビジネスマンのメンタルにとって結構大切なことなのかもしれませんね。忙しさのあまりに目先の仕事をこなすだけの受け身になってしまわないように、自分で時間の分配や優先順位を変更するなどの工夫をしていきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]