チームメンバーが理解しあって高いパフォーマンスを出すのに必要なこととは?

最終更新日

Comments: 0

チームで働く上では、チームメンバーがお互いの理解を深め合うことが大切です。

  • 他のチームメンバーはどんな考え方をするのか?
  • 他のチームメンバーはどんな仕事が得意なのか?
  • 他のチームメンバーは今どんな状況なのか?

チームメンバーで共有できていれば、チームの連携が良くなってパフォーマンスが向上することが期待できるわけですね。

しかし、現実にはそれぞれのメンバーが自分の仕事に集中してしまって、チーム間のコミュニケーションがうまく取れていないということも多いでしょう。

そこで、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究(*1)では

  • チームメンバーの相互理解は、チームのパフォーマンスや個人のパフォーマンスを向上してくれるのか?
  • チームメンバーがうまく相互理解できるチームはどんな考えを持っているのか?

について調べてくれていたので、本稿はその中身を見ていきましょう。

チームメンバーの相互理解とパフォーマンス

この研究では、163チーム(1チームの人数は3〜6人)に分けられた学生859人を対象に実験を行い、メンバー間の相互理解がパフォーマンスにどのように影響するのかを調べています。

この実験ではチームのタスクとして、Capstone Simulationというマネジメントの仕事をシミュレーションしたプログラムに取り組んでもらっています。このシミュレーションは結構本格的なもので、製造・財務・マーケティング・人事などに関わる複雑な決断を毎週チームで取り組んでもらって、合計で6週間一緒にチームで働いてもらっています。

そして、このプログラムに取り組む中で、

  • チーム全体のパフォーマンス
  • メンバー個人のパフォーマンス
  • チームの相互理解の深さ
  • チームの目的タイプ(成長志向・獲得志向・回避志向)

が測定されていて、これらの関係性が分析されています。

結果1:相互理解とパフォーマンス

この研究の結果として分かったことの一つ目は

  • メンバーの相互理解が深いほどチーム全体のパフォーマンスが高かった
  • メンバーの相互理解が深いほどメンバー個人のパフォーマンスも高かった

ということです。

やはり、メンバーの相互理解が深いと、仕事の連携や役割分担が上手くになって、チーム全体で最適なパフォーマンスが発揮できるようですね。そして、メンバー個人のパフォーマンスも高まっていたのは、メンバー間のコミュニケーションにより有益な情報がうまくシェアされたことで、個人の知識やスキルが向上したからだと考えられます。

結果2:チームのタイプと相互理解

次にチームが何を目的にするのかの志向タイプによる違いを見ていきましょう。この志向タイプには3タイプがあって

  • ①成長志向チーム
    結果よりもチームとして成長することを大切にするタイプ。このタイプは失敗してもそこから学ぶことを好むので、困難な課題にも挑戦していくことが多い。
  • ②獲得志向チーム
    成長よりも結果を出すことを優先するタイプ。学業でいえば勉強を楽しむというよりは、テストでいい点を取ることが大切と考えるタイプ。
  • ③回避志向チーム
    成長や結果を出したいという気持ちよりも、失敗を回避したいという気持ちが強いタイプ。このタイプは成長や結果を得たいというポジティブなモチベーションでなく、失敗したくないというネガティブなモチベーションが源泉になってしまっている。


それで、実験結果として3つのチームの志向と相互理解との関係で何が分かったのかというと、

  • 成長志向が強いチームは、メンバーの相互理解が強く、パフォーマンスも高かった
  • 獲得志向と回避志向が強いチームは、メンバーの相互理解が弱く、パフォーマンスは低下していた

ということ。

成長志向はチーム全体で成長していこうという志向なので、知識やスキルをシェアしたり、チームワークを向上させるようなコミュニケーションが生まれます。その中で相互理解が深まりチーム全体でパフォーマンスが高まったということですね。

一方で獲得志向になって結果を優先するようになると、どうしても個人で結果を出すという志向になりがちで、メンバー同士の相互理解は深まらないようです。また、回避志向は自分が判断されることを嫌うので、チームメンバーからのフィードバックを欲しがらなかったりと、メンバー同士のコミュニケーションが減ってしまうのでしょう。

結論をまとめると、チームで相互理解して高いパフォーマンスを発揮するには、

  • チーム全体で成長していこうという気持ちが大切

ということですね。周りの人が知識やスキルを積極的に教えてくれるようなチームでは、自分もそういった情報を積極的にシェアしていきたいと思いますし、そうした情報交換によりメンバーの強みや弱みなんかも分かり合えますよね。

まとめ

本稿では「チームメンバーの相互理解とパフォーマンス」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • チームメンバーの相互理解が深いチームは、チーム全体のパフォーマンスも個人のパフォーマンスも高い
  • 相互理解で高いパフォーマンスを発揮するチームには、チーム全体で成長していこうという成長志向が大切
  • チームの成長を蔑ろにして結果や失敗の回避を重視しすぎると、チームの相互理解は深まらずにパフォーマンスも向上しない

ということですね。

どんな人と一緒に働くのかはパフォーマンス面でも自分の成長面でも大切なことなので、やっぱりお互いに高め合っていけるような人たちとチームで働けるのが理想的ですな。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Getting to know you: motivating cross-understanding for improved team and individual performance

Naoto

シェアする