心臓血管病のリスクを下げるフラボノイドが多い食べ物は何か?
野菜やフルーツなどの植物性の食品を食べるのが健康に良い理由の一つとして、ポリフェノールが多く含まれることが挙げられます。ポリフェノールは植物の色素の総称を意味していて、ブルーベリーに多く含まれるアントシアニンや、大豆に多く含まれるイソフラボンなど様々な種類があります。
そこで、イーストアングリア大学の研究(*1)が
- フラボノイド系のポリフェノールはどれだけ心臓血管病のリスクに効くのか?
をまとめてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、血圧や血中脂質の改善に効く食べ物が何かを見ていきましょう。
フラボノイドの種類と食べ物
最初にフラボノイド系のポリフェノールにはどんな種類があるのかを見てみましょう。
- フラボノール
玉ねぎやブロッコリー、フルーツなどに多く含まれる - フラボン
ハーブやセロリ、カモミールティーなどに多く含まれる - フラバノン
オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系の果物に多く含まれる - フラバン-3-オール
ココアやダークチョコレート、りんご、ぶどう、赤ワイン、緑茶などに多く含まれる - アントシアジニン
ベリー類(特にブルーベリーやブラックベリー)に多く含まれる - イソフラボン
大豆製品に多く含まれる
チョコレートのパッケージにポリフェノール〇〇mgと書かれているのをよく見かけますし、イソフラボンやアントシアニンも健康に良い成分としてよく聞くもので、どれも健康によさそうな食品ばかりですよね。
どのフラボノイドが心臓血管に良いのか?
それで、イーストアングリア大学の研究(*1)では、どのフラボノイドが心臓血管系の健康リスクの軽減に効果があるのかをメタ分析しています。メタ分析の対象となったのは、フラボノイドを摂取したときの健康効果として、
- FMD
- 血圧
- 血中脂質
が改善するかどうかを調べた研究170件で、対象者数は合計で6557人になります。
結果1:FMDの改善
最初にFMD(血管の拡張を示す指標で、動脈硬化の検査などで使われる)の改善効果のメタ分析では、
- 大豆プロテインでFMDは1.77%増加した
- 紅茶でFMDは3.4%増加した
- チョコレートとココアでFMDは1.45%増加した
- 赤ワインやブドウでFMDは改善しなかった
となっています。ちなみにこれらは長期的に食品の摂取を続けた場合の効果になっています。
食品の摂取直後の短期的なFMDの改善としては
- チョコレートとココアは短期的な効果としてもFMDを増加した
という結果が得られています。チョコレートとココアのみが長期的にも短期的にも効果ありということで、なかなかいい結果になっていますね。
結果2:血圧の改善
続いて血圧の改善効果を見てみると、
- チョコレートとココアは最大血圧と最小血圧の両方を5.88mm Hgほど改善した
- 紅茶、赤ワイン、グレープには有意な血圧の改善効果は見られなかった
- 大豆製品はものによって効果が変わっていて、ソイプロテインは最小血圧を1.99mm Hg改善、他の大豆製品は最大血圧と最小血圧を改善する傾向があるが統計的に優位なレベルではなかった。
- 紅茶はカフェインを含んでいるので、一時的に血圧を上げる効果があった
ということ。
FMDに続いて血圧の改善でもチョコレートとココアが効果的ということで、チョコの優秀さが改めて実感できますね。
結果3:血中脂質の改善
最後に血中脂質の改善効果を見てみると、
- 大豆タンパク質はLDLを−0.19mmol/Lほど改善する効果があった
- 緑茶はLDLを−0.23mmol/Lほど改善する効果があった
- アントアジニン(ベリー類)、紅茶、チョコレート、ココア、赤ワイン、ブドウには血中脂質の改善効果は見られなかった
ということ。
残念ながらチョコレートには血中脂質の改善効果はないということで、血中脂質を改善するなら緑茶が手軽そうですね。
まとめ
本稿では「心臓血管病に効くフラボノイドは何か?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- FMDや血圧の改善にはチョコレートやココアが良い
- 血中脂質の改善には大豆タンパク質か緑茶が良い
ということです。
個人的にはチョコレートの優秀さを改めて発見できたので、これから毎日チョコレートを食べていこうと思いました。ミルクチョコレートなどの甘いチョコには砂糖が多く含まれてしまっていますし、カカオの含有率も低いので、選ぶならブラックチョコレートがよさそうですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]