プチ断食ダイエットは体重の減少とは関係なしに健康に良いのか?
プチ断食ダイエットは私もお勧めするダイエットで、カロリー計算や糖質・脂質の管理などのめんどくさい作業が必要なくて続けやすい、それなのに健康効果も高いという優れものです。
どんな風にプチ断食ダイエットを行うのかというと、1日の中にカロリーのある食べ物を取らない断食時間を作るだけです(カロリーがない水やブラックコーヒーは飲んでもOK)。例えば、1日のうち8時間は食べていいけど、残りの16時間は断食するという感じですね。
それで、プチ断食ダイエットには様々な健康効果が確認されていて、
- 体重が減る
- 食欲が抑制される
- 血中脂質が改善する
- 炎症が改善する
- インスリンレベルが改善する
などなど、健康面でも非常に優秀です。
しかし、プチ断食には懐疑的な声もあって
- プチ断食で健康効果が得られるのは、体重が減少したからであって、プチ断食自体に強い効果はないのでは?
ということも言われているんですね。
そこで本稿では、この疑問を実験で確かめてくれた研究(*1)を見ていきましょう。
断食時間の作り方
この研究では、プチ断食の特に大切なポイントとして
- 断食時間の長さ
- 断食時間のタイミング
の2つを挙げています。
断食時間の長さは、16時間の断食で効果が得られている実験結果が多くあるようです。そこでこの研究でも、前にならって8時間の食事時間+16時間の断食時間を5週間毎日続ける実験デザインにしています。
断食のタイミングは2通り考えられます。
- 朝食と昼食を食べて、夕食を抜くタイプ(例:6時〜14時が食事時間)
- 朝食を抜いて、昼食と夕食を食べるタイプ(例:12時〜20時が食事時間)
朝食を抜くのか、夕食を抜くのか、悩みどころですね。
どちらが良いのかについては、意見が分かれるところで、
- 寝る前に食べると体内時計のリズムが乱れてしまうから、夕食を抜いた方がいいという考え
- 狩猟採集民族だった頃は、朝から食事にはありつけず、狩りをして昼と夜に食べていたんだから、朝食を抜いた方が自然だという考え
など、両方を支持する考えがあります。
この研究では、朝に高まるインスリン感受性や食事の体温上昇などのメリットを考え、夕食を抜くタイプの断食を採用しています。いくつかの先行研究でも、朝食を食べるタイプの方が断食ダイエットの効果は高かったという結果もあるようです。
体重は変わらなくても効果はあるのか?
この研究で確かめたい最大のポイントは
- 体重が減らなくても、プチ断食に健康効果があるのか?
です。そこで、食事内容は体重を維持するのに十分な量に設定して
- 朝食・昼食・夕食に分けた通常の1日3食グループ
- 朝食・(間食)・昼食で14時以降は断食するプチ断食グループ
の2グループの健康効果の差を測定しています。両者で違うのは食事のタイミングだけで、食事の内容は同じになっています。
結果
結果を見てみると
- 体重はどちらのグループもほぼ変わらなかった
- プチ断食でグルコースのレベルは特に改善しなかった
- プチ断食で炎症は改善しなかった
- プチ断食でインスリンレベルが平均3.4mU/L改善した
- プチ断食でβ細胞の反応が平均14U/mg改善し、インスリン抵抗性が平均36U/mg改善した
- プチ断食で最大血圧が平均11mmHg、最小血圧が10mmHg改善した
- プチ断食で酸化ストレスが14%改善した
- プチ断食で夕方の空腹感や食べたいという欲求が減少した
となっています。
まとめると、グルコースや炎症の改善など一部の健康効果は体重の減少無しでは得られない。しかし、大部分の健康効果は体重が減らずとも断食自体の効果として得られたということですね。
なので、体重を特に減らす必要がない人でも、健康目的で断食を取り入れてみるのはありでしょう。
まとめ
本稿では「断食の健康効果は、体重の減少がなくても残るのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- グルコースや炎症などの一部の健康効果は体重の減少がないと得られない
- しかし、インスリンレベルの改善や血圧の改善など大部分の健康効果は、体重の減少がなくても断食自体の効果として得られる
ということ。
この研究では、体内時計のリズムを乱さないように、朝食を食べて夕食は抜くタイプの断食をしています。朝食を抜くタイプの断食にも効果があるのかはわからないので、健康目的ならとりあえず夕食抜き断食をしてみるとよさそうですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]