昼寝は何分を超えると健康に悪くなってしまうのか?
お昼ごはんの後はウトウトと眠くなってしまう時間帯。昼寝は午後の眠気を飛ばしたり、頭の集中力を回復するために効果的な方法です。コーヒーナップと言って、コーヒーを飲んで15〜20分ほどの昼寝をすることは、カフェインの効果と合わさって特に効果が大きくなることもわかっています。
昼寝の時間として20分がオススメされるのには理由があって、20分を超えると寝起きが辛くなって、逆に寝起きの集中力が低下してしまうんですね。これは睡眠慣性と呼ばれるもので、長く寝るほど寝起きがだるくなってしまう現象のことです。
これに加えて、東京大学の研究(*1)では
- 長時間の昼寝は健康面でも悪い効果があるのでは?
という、昼寝の健康面の影響を調べていました。夜の寝過ぎが健康に悪いように、昼寝も寝過ぎると健康に悪い可能性は十分にありますよね。本稿ではこの研究を参考に、どれだけ昼寝をすると健康に悪くなってしまうのかを見ていきましょう。
昼寝の時間と健康リスク
この研究では昼寝の時間と健康のリスクを調べた研究11件をメタ分析でまとめてくれています。これらの研究の特徴としては
- 合計で151,588人の大規模なデータが集められている
- コホート研究で、昼寝の時間の効果が6年〜20年にわたって追跡調査されている
と言った感じです。
これらのデータから
- 昼寝の時間が心血管疾患のリスクとどう関係しているのか?
- 昼寝の時間が全死因死亡率とどう関係しているのか?
の2点を分析してくれています。
結果:
早速結果を見てみると、基本的には
- 昼寝は長すぎると心血管疾患のリスクも全死因死亡率も増加させてしまうが、短い分には健康は悪化しない
という傾向が共通して得られています。
具体的にどれだけ昼寝をすると健康のリスクが高まってしまうのかは、グラフで見るとわかりやすくなっています。
これは横軸が昼寝の時間(分)で、縦軸が心血管疾患のリスクとなっています。見て取れるのは、
- 昼寝は30分までは、心血管疾患のリスクを低下していく
- 30分を超えると45分までは緩やかにリスクは上昇していく
- 45分を超えると、リスクの上昇が大きくなり、昼寝をしない場合よりも高くなってしまう
ということです。健康面で見ても昼寝は30分以内が望ましいようですね。
補足:年齢による効果の違いなど
ちなみに、この研究では他に分かったポイントとしては
- 高齢者(65歳以上)の方が長時間の昼寝の健康リスクの上昇が大きく、若者では長時間の昼寝をしていても健康のリスクは小さかった
ということ。健康リスクを抱えやすい高齢者ほど昼寝の時間には注意をした方が良さそうです。
なぜ長時間の昼寝が健康リスクと関係しているのかの理由としては
- 昼寝が長い人は、そもそも夜の睡眠が乱れてしまっている可能性がある
- 病気を抱えているなどで健康リスクが高い人ほど、長時間の昼寝をしやすい逆の関係の可能性がある
- 短時間の昼寝なら、夜の睡眠のリズムも乱すことなく、体内時計を整えてくれる作用がある可能性がある
という感じで、まだ不明確な部分も多いようです。
現状の分かる範囲では、夜の睡眠をしっかりと取ることが基本で、昼寝は20分程度というのが良さげですね。夜の睡眠不足を長時間の昼寝で補おうとすると、睡眠のリズムが乱れてしまって、健康には逆効果になってしまう可能性が高いので注意しましょう。
まとめ
本稿では「昼寝は何分を超えると健康に悪いのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 昼寝は30分までなら心血管疾患のリスクを低下する
- 45分を超えると心血管疾患のリスクが大きく高まってしまうので注意
- 夜の睡眠をしっかりと取ることが基本で、昼寝は20分程度にしとくのが良さげ
ということ。
睡眠慣性による頭のパフォーマンス低下を考えても、健康リスクの低下を考えても、昼寝は20分程度が良いということですね。夜の睡眠の影響しないように、長時間の昼寝や、遅い時間の昼寝は控えるようにしましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]