ナルシストほど練習をサボるを防ぐには、二つのことが役立つという研究
ナルシストとは自分自身への愛や自信、プライドが高い人のことで、簡単に言えば「俺ってすごい」と思っているような人のこと。ナルシストの残念なところは、実際の実力が伴っていないのにプライドばかり高くなってしまことがあるところ。心理学の研究でも、競争や報酬がある環境ではナルシストの性格が競争力を上げれくれることもありますが、それ以外の環境ではナルシストな性格と特にメリットはないことが確認されています。
そして、ナルシストな性格のデメリットは、「俺はすごい」という思い込みのせいで、もう練習なんて必要ないと勘違いをしてしまうこと。スポーツにしろ、勉強にしろ、今の自分の実力に自惚れてしまっては、それ以上の努力ができないわけですね。
そこで本稿では、このナルシストの問題点について
- ナルシストな性格でも、ナルシストのタイプや目標設定が違えば、ちゃんと練習や努力をするのでは?
ということを調べてくれたバンガー大学らの研究を見てみましょう。
ナルシストなアスリートほど練習をサボるのか?
バンガー大学の研究では、321人のアスリートを対象にして、ナルシストな性格と練習量の関係を分析しています。アスリートは8種類のスポーツからバラバラに選ばれていて、これらのスポーツにはチーム競技も個人競技も含まれます。
そして、アスリートのナルシストを測定するときに、ナルシストは2種類の要素に分解して測定されています。
- 自己誇張的なナルシスト
自分は他の人よりも優秀だと思うタイプのナルシスト
このタイプのアスリートは、根拠もなく自分は優秀だと思い込むので、練習を蔑ろにしてしまうと考えられる
- 支配的なナルシスト
他人をコントロールしたり、他人の上に立ちたいと思うタイプのナルシスト
このタイプのアスリートは、自分が一番でないと気が済まず、勝ちに貪欲になるので、練習をサボるようなことはしないと考えられる
ナルシストもタイプによっては練習を貪欲に求める力になってくれるかもしれないわけですね。
最後に、スポーツの練習量には目標設定も大きく関係してきます。そのため、バンガー大学の研究では、上記の2種類のナルシストに”目標設定をしているか”を加えた三つの要素が、どのように練習量に関係しているのかを調べています。
結果
研究の結果を見てみると、まず最初に
- 自己誇張的なナルシストは練習量が少ない傾向があった
ということ。やはり自分の実力に自惚れてしまうと、練習は減ってしまうということですね。
しかし、この練習量の減少を防ぐ効果として
- 自己誇張的なナルシストでも、支配的なナルシストの傾向も強ければ練習量は減らなかった
- 自己誇張的なナルシストでも、目標設定をきちんとしていれば練習量は減らなかった
ということ。
練習をサボりがちな自己誇張的なナルシストに対して、支配的なナルシストは勝つために貪欲に練習を追求するようです。そのため、支配的なナルシストは目標設定がなくても練習量が減らなかったという結果も得られています。
支配的なナルシストは自己誇張的なナルシストの練習量の低下を防いでくれますが、この要素を高めるのは難しいかもしれません。ナルシストは性格的な要素で、性格はなかなか変えるのが難しいものですから。なので、自己誇張的なナルシストが練習をサボらないようにするには、目標設定をする方が手軽で良さそうですね。
まとめ
本稿では「ナルシストが練習をサボるのを防ぐ二つのこと」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 自分はすごいと思う自己誇張的なナルシストのアスリートは練習をサボりがち
- 自己誇張的なナルシストでも、支配的なナルシストの傾向も強くて勝ちにこだわるタイプなら練習量は減らなかった
- 自己誇張的なナルシストでも、目標設定をしていれば練習量は減らなかった
ということ。
自分の成長を止めないためには、自分の実力を謙虚に受け止めて、しっかりと鍛錬を積み重ねることが大切。知的謙遜というように、スポーツだけでなく勉強や仕事面でも謙遜は成長を促進してくれます。人は自分のことを高く評価してしまうバイアスもあるので、自分の能力を課題に評価しないように注意しましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Foresee the glory and train better: Narcissism, goal-setting and athlete training