運動を継続する人は、日々の疲労を感じにくくなるという研究

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運動と疲労感にどんな関係があるのかは、いまいち分からないもの。

運動は体を動かすので、基本的には運動をすれば疲れます。もちろん運動の種類などにもよると思いますが、運動の強度が強いほど運動後にはぐったりと疲れてしまうものでしょう。

一方で、運動が疲労感を軽減してくれる効果も考えられます。運動には気分のリフレッシュ効果があって、ストレスを低減してくれるので、運動後には気分がさっぱりして活力が湧いてくることもあり得ます。他にも、筋トレは体を丈夫にしてくれるので、運動自体が体を疲れにくい強いものに鍛えてくれる効果もあるかもしれません。

そこで本稿では、運動と疲労感の関係について

  • 習慣的に運動を継続すると、日々の疲労感の感じ方はどう変化するのか?

を調べてくれたジョージア大学の研究(*1)を見てみましょう。

運動と疲労感

ジョージア大学の研究では、運動と疲労感について調べた先行研究70件を集めて、メタ分析で結果をまとめてくれています。これらの研究の特徴としては

  • 総計で6,807人の実験データ
  • 運動の期間は6週間〜20週間で、単発の運動でなく長期的に継続した時の効果が対象
  • 運動の時間は大体30〜60分くらいで、週に1〜3回実施
  • 運動の強度は大体41%〜67%で、軽い運動〜適度な運動くらいのレベル
  • 運動の種類は筋トレも有酸素運動も両方含んでいる

ということ。

そして、これらの運動の効果として測定されているのが、

  • 体の疲労感
  • 体の活力感

の二つとなっています。

結果:習慣的な運動は疲労感を減らすのか?

早速結果を見てみると、

  • 習慣的に運動をした人は、体の活力感は高くて、体の疲労感は低い傾向があった
  • この効果量はd=0.37で中程度の効果であった

ということ。

運動自体は体を疲労させるものですが、運動を習慣的に継続することは、日々の疲労を感じにくくしてくれる効果があるようです。ちなみに、運動には様々な健康効果がありますが、脳の認知機能の改善効果が効果量d=〜0.30くらい、うつなどのメンタルの改善効果が効果量d=〜0.50くらいとなっています。疲労感の軽減効果もd=0.37で、これらと比べても同じくらいの効果量が得られていることが分かります。

結果2:運動の種類など

メタ分析では集められた研究からどんな運動で疲労感の軽減が大きかったのかなども分析がされています。その結果のポイントを見てみると、

  • 運動の種類は有酸素運動でも筋トレ系でも、あるいはその組み合わせでも効果があった
  • 運動の期間は長期的に続けるほど効果も高まるが、4〜6週間の短い期間でも効果は出始めていた
  • どの年齢でも効果は得られていた
  • メンタルの病気の人では効果が高かった(d=0.56)ので、運動によるメンタルの改善も疲労感の軽減に効いているのかも

ということ。

運動の種類は問わず、継続が大事ということなので、自分が好きで続けやすい運動を選べば良さそうですね。また、メンタルの病気の人に効果が高かったということなので、運動は体の疲労感だけでなく、心理的な疲労感も軽減しているのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「運動と疲労感」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 習慣的に運動を継続すると、活力感が増して疲れを感じにくくなる
  • 運動の種類はウォーキングでも筋トレでもなんでも良いが、継続することが大切

ということ。

長時間の会議でずっと座りっぱなしでいると、どっと疲労感を感じることってありますよね。なので、体は適度に動かすくらいが一番疲労感を感じにくくしてくれるのではないでしょうか。運動はストレスの軽減など心理的な疲労感にも効くので、運動はぜひ習慣として続けていきましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Effects of Chronic Exercise on Feelings of Energy and Fatigue: A Quantitative Synthesis

Naoto

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