どんな意識が時間を買いやすくしてくれるのか?の研究

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お金は物を買うために使うよりも、時間を買うために使った方が幸福感が向上しやすいことが分かっています。自分の自由な時間が増えれば、家族と過ごす時間を増やせたり、自分が本当にやりたい活動を進めることができて、こうした時間は物よりもずっと人生を豊かにしてくれるんですね。

しかし、実際にお金で時間を買う人は17%しかいないということ。最近ではシェアリング・エコノミーが進んでいて、家の掃除から犬の散歩まで様々なタスクを外注できるようになっています。これらをうまく活用できれば自由時間を増やして幸福感を向上できるのに、それを実践できている人はわずかというわけです。Uver Eatsで食事を買いに行く時間を節約できるのも、お金で時間を買うこと一例とも言えるでしょう。

そこで本稿では、

  • お金で時間を買う意欲を高めるには、どう考えることが良いのか?

について調べてくれたハーバードビジネススクールらの研究(*1)を見てみましょう。

実験:お金で時間を買いやすくなるメール

ハーバードビジネススクールの研究では、78,726人を対象に3種類のメールを送って、お金で時間を買うことに興味を持った人がどれだけメール内のリンクをクリックするかを実験しています。

3種類のメールがどのようなものかというと

  • 自由時間メール
    サービスを利用すれば自由時間が増えるとざっくりと説明するメール
    「もっと自由時間が欲しい?あなたの家の掃除を我が社に任せて、自分自身に時間をプレゼントしよう」的なメール
  • 具体的な期間のメール
    サービスを利用すれば、特定のタイミングで特定の時間だけ自由時間が増えると説明するメール
    「1週間後の火曜日に2時間の自由時間が増えたら何ができるか想像してみましょう。我が社に家の掃除を任せて、自分に時間をプレゼントしてみてはどうでしょう。」的なメール
  • 具体的な時間の使い方のメール
    家族や友達と過ごす時間が増えると用途を具体的にあげて説明するメール
    「家族や友人と過ごす時間が欲しい?我が社に掃除を任せて、トイレを磨く代わりに友達と過ごしてみてどうでしょう」的なメール

となっています。

これらの三つのメールで、どれだけ時間を買う人が増えるのかを比較したわけですね。

結果:

早速実験の結果を見てみると、

  • 自由時間メールでクリック率20.60%、サービス利用率3.18%
  • 具体的な期間のメールでクリック率26.96%、サービス利用率9.48%
  • 具体的な時間の使い方のメールでクリック率19.62%、サービス利用率3.26%

となっています。

具体的な期間のメールが一つ抜けて時間を買う人の割合が高いことがわかります。つまり、1週間後に2時間時間が増えるといったように、いつどれだけの時間が増えて、その時間に何ができるのかを想像させると良いわけです。ちょうど1週間後となると、来週の月曜も今日と同じように忙しそうだなと予測もしやすいので、時間が増えることのありがたみを想像しやすいんですね。

自分で時間を買う判断をするときも、その自由時間がもらえるときに自分がどんな状況にいて、どれだけその時間がありがたいのかを想像すると効果的に時間を変えるのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「どんな意識が時間を買いたくさせるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • いつどれだけの時間がもらえて、その時間に何ができるのかを想像すると時間を買いやすくなる
  • 特に自由時間がもらえるタイミングが今と同じで忙しい状況だと思えると、時間を買うことのありがたみが高まる
  • 家族と過ごす時間が増えるとか、ざっくりと自由時間が増えるだけでは効果は低い

ということ。

私たちは将来の時間はもっとたくさんあるはずだと甘く見積もってしまう傾向があります。今日は忙しいからまた明日やろうと先延ばししてしまうと、明日もまた忙しくてズルズルと先延ばしを続けてしまうわけですね。なので、未来も今と同じで忙しいと考えることが大切で、そうすると時間を買うことの大切さもより実感しやすくなるでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Overcoming barriers to time-saving: reminders of future busyness encourage consumers to buy time

Naoto

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