問題解決能力やクリティカル・シンキングは、社会学習の成果も向上してくれるという研究

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学校での学びには、勉強のような知識の学びもあれば、人間関係や道徳などの社会についての学びもあります。最近では学校なんて行かなくてもいいという考えを持つ人もいるようですが、やはり子供のうちから社会での生き方について学ぶことは、子供の将来にとって大切なことのようにも思えます。

そこで、本稿では子供の頃から社会学習を高めるために、

  • 子供の自己抑制能力、問題解決能力、クリティカルシンキング、社交能力はどのように社会学習に関係しているのか?

について調べた研究について見ていきましょう。

社会学習と4つの能力

まず最初に社会学習とそれぞれの能力がどのようなものか整理しておきましょう。

  • 社会学習
    他人とコミュニケーションをとるスキル、国や組織などのコミュニティの文化・ルールの理解力、社会で生きていくための問題解決の能力など、社会の一員としてよく生きるために必要な全般的なスキルの学習のこと
  • 自己抑制能力
    感情を抑えて冷静に行動することができたり、短期的な欲望に負けずに長期的な利益を取ったりと、自分をうまく抑制してコントロールする能力のこと
  • 問題解決能力
    問題に関する事実の確認や、考えられる原因の分析、それを改善するための解決案の提案など、問題を解決に導く能力のこと
  • クリティカル・シンキング
    他人の意見をそのまま鵜呑みにすることなく、間違っている部分はないか?など、批判的に意見を吟味することができる能力のこと
  • 社交能力
    他人とうまくコミュニケーションをとったり、チームやグループで協力したりと、他人とのうまく交流する能力のこと

これら4つの能力は社会で生きていくためには大切な能力ですが、子供のうちからこうした能力を高めておけば、より効果的に社会学習を進められる可能性があるわけですね。ジャカルタの研究では、これらの能力と社会学習の関係を250名の小学生を対象に分析してくれているので、それぞれの能力毎に結果を見ていきましょう。

結果1:自己抑制能力と社会学習

まず最初に自己抑制能力については

  • 自己抑制能力が高い生徒ほど、社会学習も高い傾向があった
  • 自己抑制能力が高い生徒ほど、問題解決能力も高い傾向があった
  • 自己抑制能力が高い生徒ほど、社交能力も高い傾向があった
  • 自己抑制能力が高い生徒ほど、クリティカル・シンキングも高い傾向があった

ということ。

自分をうまく抑制できる生徒は、まず感情をうまくコントロールできるので、他人ともうまく付き合うことができます。そして、自分をうまく抑制できるということは、自分の考えや他人の意見を客観的に見ることができるということでもあり、それが高い問題解決能力やクリティカル・シンキングにもつながっているんですね。これらの効果として、社会学習にもプラスになるということなので、子供のうちから自己抑制は高めるのが良さそうですね。

結果2:社交能力と社会学習

続いて社交能力の結果を見てみると、

  • 社交能力が高い生徒ほど、社会学習も高い傾向があった
  • 社交能力が高い生徒ほど、問題解決能力も高い傾向があった

ということ。

社交能力が高い人は、他人との交流を多くとることができます。そのため、他人の意見から学ぶ機会が多かったり、問題があった時も他人とうまく協力できて、社会学習や問題解決能力にプラスになるんですね。

結果3:クリティカル・シンキングと社会学習

クリティカル・シンキングに関する結果は、

  • クリティカル・シンキングが高い生徒ほど、社会学習も高い傾向があった
  • クリティカル・シンキングが高い生徒ほど、社交能力も高い傾向があった
  • クリティカル・シンキングが高い生徒ほど、問題解決能力も高い傾向があった

ということ。

クリティカル・シンキングは、情報を鵜呑みにせずに本当に正しい情報かどうかを考える能力になります。そのため、問題解決能力には直結していますし、他人の意見や考えに対して的確に質問する能力にもつながっていて、社交能力や社会学習にもプラスになるということです。

結果4:問題解決能力と社会学習

最後に問題解決能力の結果としては、

  • 自己抑制能力、社交能力、クリティカル・シンキングはどれも問題解決能力を高めていた
  • 問題解決能力が高いほど社会学習も高い傾向があった

ということが分かっています。

問題解決は、客観的に物事を分析したり、他人とうまく協力したり、色々な意見から批判的に意見を吟味したりと、色々な能力の総合力というイメージですね。問題解決能力が高いほど、学校での社会の学びも大きくなるということなので、子供のうちから自分で問題を解決するスキルを鍛えておくのも良いでしょう。

まとめ

本稿では「子供の4つの能力と社会学習」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 自己抑制能力、社交能力、クリティカル・シンキング、問題解決能力は、子供のうちから高めておけば、どれも社会学習も高めてくれる

ということ。

クラスや部活動などのグループで課題に取り組む経験が、社会でうまく生きていくためのスキルを伸ばしてくれます。学生時代にはまだこれらの4つの能力を意識することは少ないかもしませんが、将来仕事などでは必須のスキルになるので、早いうちから高めることを考えみると良さそうですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Path Analysis of Self-Regulation, Social Skills, Critical Thinking and Problem-Solving Ability on Social Studies Learning Outcomes

Naoto

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