GRIT(やり抜く力)が高い人は、タスクを諦めずに続けやすいの落とし穴
GRITとは長期的な目標を忍耐強くやり抜く力のこと。
何千・何万もの失敗にも挫けず大発明をしてエジソンや、子供の頃から毎日練習を積み上げ続けたイチロー選手など、やり抜く力が高い人には憧れるものですよね。
それで、GRITは学業の成績から仕事の成功にも影響するもので、実は私たちの人生にとって大切な能力の一つであります。しかし、GRITにはメリットばかりでなく、デメリットもないのか?を調べた研究もあって、その中の一つでは
- GRITが高いほど忍耐強く続けるが、それが逆にやめるタイミングを見失わせることもあるのでは?
ということを実験しています。
GRITとタスクの継続
この研究では、忍耐力が必要なタスクとして
- アナグラム問題(文字を並び替えて単語を作る問題)
- マウスのクリックを連打するゲーム
- 数学の問題
の3つを使って、どれだけこれらのタスクを継続するのかの実験を行なっています。
これらの問題には非常に難易度が高いものも含まれていますが、GRITが高い人はやり抜く力が高いので、長時間タスクに取り組み続けることが想定できます。しかし、この問題の意地悪なところは、絶対に解けない問題も含まれているということ。なのでいくらGRITが高くても、全て達成することはできないんですね。
結果:GRITとタスクの成績
それでは実験の結果がどうなったのかというと、
- GRITが高い人ほど、難しいタスクにも長時間挑む続ける傾向があった
ということ。
まさにやり抜く力が発揮されているわけで、これは良い結果のように思えます。
しかし、GRITの悪い点も見つかっていて、それが
- GRITが低い人は難しい問題をすぐに諦めて、簡単な問題を多く解いていた
- GRITが高い人は難しい問題でも諦めずに時間をかけていた
- その結果として、解いた問題の数ではGRITが低い人の方が多くなることがあった
ということ。
つまり、「GRITが高い人は粘り強く続ける力がある反面、あまり考えずに努力し続けると、諦めどきを間違って無駄な努力を続けてしまうことがある」のに注意しなければいけません。GRITが高い人は、自分なら達成できるという見込みを強く持ちますが、それが仇になってしまうのでしょう。
まとめ
本稿では「GRITが高い人が忍耐強く続けることの落とし穴」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- GRITが高い人は、難しい課題にも忍耐強く挑戦し続ける強さがある
- しかし、GRITが高い人は、ひたすら挑戦し続けるあまり、諦めるタイミングを見誤ってしまうことがある
ということ。
GRITが高いことは勉強でも仕事でも成功につながるので、もちろん良いことです。今回の研究で分かった注意点は、「今やっていることが本当に成果につながるのか?」の客観的な視点を持って、努力の方向性をきちんとコントロールしなければいけないということ。努力にも時間やお金などのコストがかかることは忘れないようにしましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : When the going gets tough: Grit predicts costly perseverance