ネガティブ感情に効くリアプレイザルも、上手くやらないと逆効果になってしまうという研究
不安や怒り、落ち込み、ストレスなどのネガティブな感情への対処方法として、リアプレイザルという方法が効果があることが知られています。リアプレイザルとは、簡単に言えば「ネガティブな感情をポジティブに捉え直そうと」いうもの。例えば
- 失敗して落ち込んでいるときに、失敗から学んだことに注目してポジティブに捉え直す
- 将来に不安があるときに、不安があるからこそ今行動するべきだと思えて、将来に向かって頑張るモチベーションになると考る
といった感じですね。
本稿ではこのリアプレイザルの効果について、
- 習慣的にリアプレイザルを行う人は、本当にストレスやうつに強いのか?
について調べてくれた研究を見ていきましょう。
リアプレイザルとストレス耐性
トロント大学らの研究では、219人を対象にして普段のネガティブ感情への対処方法を測定しています。この研究では7日間にわたって
- 今日一番ストレスを感じた出来事は何か?
- そのストレスはどのくらい強かったか?
- うつ症状(不安や悲しみ、落ち込みなど)をどれだけ感じたか?
- ストレスに対してどのような感情の対処をとったか?
- その対処方法はどれだけ成功したか?
といったことを測定しています。
そして、ストレスの対処方法について、リアプレイザルの実施頻度は
- ストレスを感じた出来事を、気分が良くなるように捉え直したか?
- ストレスが感じた出来事の、良い面について考えたか?
の2つの質問に同意した日数で調べられています。
これらの結果から、最終的には
- リアプレイザルを普段から頻繁に実施する人ほど、うつ症状を感じにくいのか?
が分析されているんですね。
結果:リアプレイザルの頻度とうつの低下
7日間のデータの分析結果を見てみると、
- 普段からリアプレイザルをよく実施する人ほど、リアプレイザルで気分を変えるのに成功していた
- リアプレイザルに成功する人は、リアプレイザルをすればするほど、ストレスの高い日でもうつの症状が低下していた
ということ。
リアプレイザルが上手い人から実施頻度が高いのか、実施頻度が高いからリアプレイザルが上手くなるのか、そのどちらかは分かりません。しかし、リアプレイザルをよくやる人ほど、上手く気分を変えるのに成功し、うつの症状を低下することに成功しています。
結果2:リアプレイザルが下手な人
基本的にはリアプレイザルを頻繁に実施する人ほと、リアプレイザルが上手いのですが、中にはリアプレイザルに失敗して気分をうまく変えられない人もいます。そうした人の結果を見てみると、
- リアプレイザルが下手な人は、リアプレイザルを実施すればするほど、うつの症状が増加してしまっていた
- この現象はストレスが強い日にのみ起こっていた
ということが分かっています。
なんと、リアプレイザルは下手にやると逆効果になってしまうよう。「ポジティブに考えよう!」はよく聞く言葉ですが、うまくできない人に無理にポジティブに考えさせても、逆にネガティブ感情を増長してしまう可能性があるわけです。なので、自分なりのリアプレイザルの上手いやり方を発見しておくことが大切なのかもしれませんね。
まとめ
本稿では「リアプレイザルを習慣的に行う人は、本当にネガティブ感情に強いのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- リアプレイザルを普段からよく行う人ほと、リアプレイザルが上手く、ストレスが強い日でもネガティブ感情を感じにくい
- しかし、リアプレイザルが下手な人は、リアプレイザルをやればやるほど、ネガティブ感情が強まってしまう
ということ。
リアプレイザルの方法は、以前の記事「感情をコントロールするリアプレイザルの8種の方法」で紹介をしています。この記事を参考に自分あったリアプレイザルの方法を身につけておくと、ストレスの耐性も向上するでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]