クレアチンは頭のパフォーマンスも向上してくれるのか?
クレアチンは筋トレやスポーツをする人にとって定番のサプリメント。
クレアチンは筋肉の中でエネルギーを合成するのを助けるのに必要な物質なので、クレアチンを摂取すると運動のパフォーマンスや運動後の回復力が向上するんですね。
そして、クレアチンが必要なのは筋肉だけではありません。実はクレアチンは脳の中にも蓄えられていて、脳活動のエネルギーを作るのに使われているんですね。つまり、クレアチンが筋肉に作用して運動のパフォーマンスを高めてくれるなら、同じように脳にも作用して頭のパフォーマンスを高めてくれるかもしません。
そこで本稿では、
- クレアチンはどんな種類の脳機能に効果があるのか?
について調べてくれた研究を見てましょう。
クレアチンと認知能力の向上
今回注目する研究(*1)では、
- クレアチンを摂取したときに認知能力テストのパフォーマンスがどれだけ向上するのか?
をランダム化比較試験で実験した6件の研究結果を、システマティックレビューの形式でまとめています。
これらの研究では
- 記憶力
- 実行機能
- 注意力
- 反応の抑制
- 知性・論理思考
などの認知能力がクレアチンによりパフォーマンスアップするのかが調べられています。
結果1:記憶力の向上
レビューの結果を見てみると、
- 短期的な記憶力はクレアチンの摂取により向上していた
- 長期的な記憶力が向上していた研究結果もあるが、バイアスのリスクが高いので信頼度は低め
- 空間記憶や記憶の検索能力が向上していたが、ランニング記憶は向上していなかった
という感じ。
クレアチンを飲むことで確かに記憶力は向上するようです。しかし、記憶の種類によっても効果が異なるということ。記憶の検索能力が向上するので、物忘れの防止にも効果があるかもしれませんね。
結果2:知性・論理思考の向上
続いて、論理的に推論したり、知性を使って考える思考力の結果を見てみると、
- 2件の研究結果でクレアチンにより知性や論理思考の向上が確認された
ということ。
なので勉強とか仕事とかで考えることが多い人は、クレアチンの恩恵を得られるかもしれませんね。
結果3:その他、効果あるものないもの
その他の結果をざっくりとまとめると、まずクレアチンの効果があったものは
- 脳の反応時間が向上した
- 言葉の流暢性が向上した
- 心理的に疲労を感じにくくなった
ということ。クレアチンは筋肉の疲れの回復を早くする効果がありますが、脳の疲れにも効果があるのかもしれませんね。
次に効果がなかったものとしては
- 脳の実行機能(物事を計画して実行する能力)には効果はなかった
- 注意の維持力には効果がなかった
- 反応の抑制にも効果がなかった
ということです。
結果4:クレアチンの注意点?
続いて、クレアチンの効果に関する注意点として分かったことが
- クレアチンが不足していなければ効果はないかも
クレアチンはベジタリアンの人にのみ効果があったという研究もありました。クレアチンは肉や魚に含まれるので、食事で十分にクレアチンを摂取できていれば、サプリで摂取しても効果は得られないかもしれません。
- 年齢によって効果が違うかも
一部の研究では、子供にしか効果が見られなかったものや、逆に子供には効果がなかったものがあったということ。また、老化による認知能力の低下にクレアチンが効果を発揮する可能性もあります。まだ詳しくは分かりませんが、年齢により得られる効果が少し違う可能性があるということですね。
ということです。
まとめ
本稿では「クレアチンは頭のパフォーマンスも向上するのか?」についてお話ししました。
ポイントとしては
- クレアチンには、記憶力の向上、知性・論理思考の向上、脳の反応速度の向上、心理的疲労の軽減など、脳のパフォーマンスを高める効果がある
ということ。
クレアチンは悪い副作用もないので、とりあえず毎日摂取して調子を見てみるのも良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]