先延ばしを減らす方法を実験したら、リマインドの効果が一番だった件
先延ばしは成功を遠ざけてしまう悪い習慣の一つ。
学校の宿題をギリギリまでやらなかったり、得意でない仕事を後回しにしてしまったり、何歳になっても先延ばしには悩まさせるものですよね。
そこで本稿では、
- 先延ばしを減らすのに、アクティブリフレクション、スケジュールシート、警告メールのどれが一番効果があるのか?
について実験してくれた研究を見ていきましょう。
プログラミング課題と先延ばし
この研究では、コンピュータサイエンスを学んでいる学生を対象にして、1ヶ月程度を使ってプログラミングの課題に挑戦してもらっています。課題の提出が1ヶ月も先となると、そりゃ先延ばしもしたくなるものですよね。
そこで、この研究では生徒を4つのグループに分けて、それぞれ下記の方法で先延ばしが減るのかが実験されています。
- ①アクティブリフレクション
課題に取り組み始める前に、時間を有効に使うことの大切さを思い出させる方法。例えば、「ずるずると先延ばしをしてしまうとどんな悪いことがあるのか?」、「課題に早めに取り組み始めると、後々どれだけ楽になるのか?」などの事前に考えて、自分が思う時間の大切さを書き出してもらいます。
- ②スケジュールシート
この方法では、完了までにどのくらいの時間がかかるのかを見積もって、1ヶ月間のスケジュールを立ててもらいます。スケジュール通りに進まないこともあるので、途中でスケジュールの見直しも一度行われています。
- ③警告メール
課題の提出期限を事前に警告するメールを生徒に送ります。警告メールは課題提出の1週間前、4日前、2日前の3つのタイミングで送られます。
- ④何もしない
このグループのは何もしなかった場合にどれだけ課題の提出が遅れるのかを確かめるためもの。
最終的には、これらの4つのグループで
- 課題の提出がどれだけ早かったか?
- 自分が行った方法はどれだけ効果があったと思うか?
が測定されています。
結果:
早速結果を見てみると、それぞれのグループでの課題の提出タイミングは
期限より早め | 期限ちょうど | 期限切れ | |
警告メール | 51.5% | 19.6% | 28.9% |
スケジュールシート | 38.6% | 27.1% | 34.3% |
アクティブリフレクション | 45.3% | 18.4% | 36.3% |
何もしない | 36.3% | 23.3% | 40.1% |
となっています。
基本的にはどの方法も何もしないよりかは改善しているのですが、一番先延ばしに効果があったのは警告メールとなっています。
それではなぜ警告メールが一番効果が高かったのかというと、他の2つの方法には弱点が見つかっていて
- スケジュールシートの弱点
計画を立てるときに見積もった想定時間がかなり甘くて、そもそもスケジュール通りに行っても期限内に終わらなかった。そもそも人は計画を楽観的に立ててしまうものなので、正確に計画を立てられる人でないと効果がない。反対に時間を多めに見積もっていた人は課題の提出も早くなっていたので、何かあった時のマージンも込みで意図的に時間を長めにとるのはありかも。
- アクティブリフレクションの弱点
時間の大切さを思い出させると、確かに早めに課題に取り組もうというモチベーションは上がる。しかし、実際に課題を早めに提出できた人は少なかった。つまり、早めにやったほうが良いことはわざわざ思い出さなくても分かっていて、それを実践することの方が遥かに難しい。
ということなんですね。
なので先延ばしを減らすには、カレンダーアプリでリマインドを入れておくなどして、「やらなきゃ!」という気持ちを何回も刺激するようにしましょう。
まとめ
本稿では「先延ばしを減らすのにはどんな方法が効果があるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 先延ばしを減らすには、警告メールによる提出期限のリマインドが一番効果的だった
ということ。
ちなみにこの研究では、”提出が遅いほど課題の出来も悪かった”ということも分かっています。これは能力が高い人ほど課題を早く終えられるからでは?と思うかもしれませんが、「同じ人でも早く提出した課題は出来が良く、提出遅れた課題は出来が悪かった」ということ。なので、アウトプットの質を高めるという意味でも、先延ばしを対策して早めに行動していきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : The Effects of Procrastination Interventions on Programming Project Success