感謝の気持ちはモチベーションアップにも効果があるのか?
母が毎日料理を作ってくれたり、父が働いて家庭を支えてくれていたり、普段は当たり前になってしまっていることも、ふと思い返すと感謝の気持ちが湧いてくることがあります。実はこの感謝の気持ちはとても大切で、感謝の気持ちが高い人ほど幸福感も高いことが分かっています。
そして、感謝の気持ちは生まれ持った性格で決まるものでなく、自分の意識次第で簡単に変えられるもの。実際、心理学の実験では、毎週感謝の手紙を書いてもらうだけ(実際に渡さなくても良い)で、感謝の気持ちと幸福感が高まっていくことが確認されているんですね。
そこで本稿では、この感謝の気持ちのさらなる効果として、
- 感謝の気持ちは、幸福感だけでなくモチベーションも高めてくれるのか?
について調べてくれた研究を見てみましょう。
感謝の気持ちとモチベーション
カリフォルニア大学の研究では、1000人の中学3年生〜高校1年生を対象にして、
- 毎週10分間だけ両親や先生、同級生など助けてもらって人に感謝の手紙を書いてもらう
ということをして、幸福感やモチベーション、学業のパフォーマンスがどのように変化するのかを測定しています。
中学〜高校はちょうど思春期で、学業のモチベーションが低下したり、自分のアイデンティティに悩んだりする時期。この時期に感謝の気持ちを高めることで、幸福感やモチベーションを向上できるのかを実験したわけですね。
結果:
実験の結果を見てみると、
- 感謝の手紙を書かなかった生徒は、幸福感や進歩するモチベーションが時間とともに低下してしまっていた
- 感謝の手紙を書いた生徒は、幸福感が向上していた(d=.33)
- 感謝の手紙を書いた生徒は、モチベーションも向上していた(d=.29)
ということ。
感謝の気持ちを思い出すことで、幸福感もモチベーションも向上しています。ここでいうモチベーションとは、良い人でいようとか、ちゃんと勉強しようとか、より良い方向を目指すモチベーションになります。
ただし、モチベーションは確かに高まったのですが
- 感謝の手紙を書くことで学業成績(GPA)までは向上していなかった
ということも分かっています。
結果2:なぜ感謝の手紙でモチベーションや幸福感が上がるのか?
続いて、この研究では、感謝の手紙を書いたときに心理的にどのような変化があって、モチベーション・幸福感が向上しているのかを分析しています。それによると、感謝の手紙を書いた人には、
- 「より良い人であろう」という気持ちが強くなっていた
- 「他者とのつながり」を強く感じるようになっていた
- 自分の弱さを受け入れる「謙虚さ」が強まっていた
- 他人に対して「恩」を強く感じるようになった
という変化が見られています。
これらの気持ちの変化が、幸福感やより良い行動を取ろうというモチベーションにつながったわけですね。
まとめ
本稿では「感謝の気持ちとモチベーション」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 感謝の気持ちを高めると、幸福感だけでなく、より良い行動を取ろうとするモチベーションも向上する
ということ。
毎週10分間を感謝の手紙を書くのは実践も簡単。それで、これらの効果が得られるのはすごいですね。他の研究でも、毎日良かった事を3つ書き出すと幸福感が向上したり、ネガティブな感情は細かく書き出すと和らいだりと、書く習慣って大切だなと思い知らされます。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Gratitude Fosters Life Satisfaction and Improvement Motivation in Youth