【If-thenプランニング】目標の達成には実行意図を高めるのが効果的という研究

ダイエットにしても勉強にしても目標を立てははいいものの、なかなか行動が伴わずに失敗に終わってしまうことも多くあると思います。それだけ新しい行動を習慣にすることは難しいということですね。

なぜこのような失敗に終わってしまうのかというと、その一つの原因は「目標を達成したいという意識」と「実際の行動」の間には大きなギャップがあるためです。

それではこのギャップをどうやって埋めたらいいのか?というと、ここで役に立つのが心理学で言う「実行意図」というものなんですね。

そこで本稿では、この実行意図がどのようなもので、目標達成にどれだけ効果があるのかについてお話ししていきたいと思います。

実行意図とは何か

実行意図が何かというと、目標達成のための行動を具体的にいつ、どこで、どのように行うのかを決めることで、行動への意図を高めることを言います。

なぜ実行意図が大切なのかというと、行動を習慣にするにはその行動を環境であったり状況と結びつけることがとても重要になるからなんですね。例えば、

朝起きたら着替えてすぐ30分のウォーキングをする
夜に歯を磨いたら20分の瞑想をする
勉強に集中したいときは図書館に行く

など、その行動を取りやすい環境を決めたり、いつその行動を取るのかのトリガーを決めることが大切です。習慣化した行動を意識しなくても自然とできるようなるので、意識と行動のギャップをうまく埋めることができて、目標の達成率が高めるわけですね。

If-thenプランニング

この実行意図を高めるための方法として高い効果があると言われているのが「If-thenプラニンング」です。この方法は前述したとおりに行動のトリガーを決めてあげる方法で、

(if) もしこうなったら、(then) この行動をする

とトリガーと行動をワンセットで結びつけてあげる方法です。

例えば、

(if) 通勤電車に乗ったら、(then) 英単語の勉強をする
(if) 昼ご飯を食べ終わったら、(then) 10分ウォーキングする
(if) 好きなテレビ番組が始まったら、(then) 見ながら筋トレする

といった感じですね。

ここでトリガーを決めるポイントとしては、既に習慣になっている行動をトリガーにすることが大切です。一から習慣を作るよりも既に習慣になっている行動に新しい行動をくっつけてあげる方が、ずっと楽に習慣化ができるということですね。

またトリガーと行動には相性の良し悪しがある場合もあるので、If-thenプランニングをやってみたけど行動が増えなかったという人は、トリガーを変えてまた試してみることをオススメします。

実行意図の効果とは

それでは実行意図を高めることはどれだけ行動や目標達成率の増加につながるのかをみていきましょう。

実行意図と目標達成率

実行意図がどれだけ目標達成率の向上に効果があるのかを調べてくれたのがニューヨーク大学らの研究(*1)になります。この研究では96件の独立した実験の結果をメタ分析でまとめてくれたもので、データの規模的に信頼度は高めの研究となっています。

この研究から分かったことは

  • 実行意図を高めることは実際に目標達成率を高めてくれる!
  • そして、その効果量はd=0.65である!

ということです。この効果量は0.65は結構高い値なので、実行意図が目標達成率高める効果は十分にあると言えると思います。

まとめ

本稿では「目標達成率を高めるには実行意図を高めよう」というお話をしました。

ポイントをまとめると

  • 意識と行動には大きなギャプがあって意識だけで行動を起こすのは難しい
  • 実行意図を高めることでギャップが埋まって行動が取りやすくなる
  • 実行意図を高めるにはIf-thenプランニングがオススメ
  • 実行意図には目標達成率を高める効果がメタ分析で確認されている

ということですね。

トリガーの種類によってはトリガーをやりながら新しい行動をできることもあります。例えば、好きなテレビ番組を見ながらエアロバイクを漕ぐとかですね。もちろん勉強などの集中力が必要なタスクではながら作業はやらない方がいいと思いますが、ちょっとした運動なら好きなことをしながらでもできるのでオススメです。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1: Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-Analysis of Effects and Processes

*2: How do implementation intentions promote goal attainment? A test of component processes

Naoto

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