長期間の断食にはどんな効果があるのかの観察研究
食べ過ぎが肥満につながって体に悪いのとは対照的に、断食は健康に良いもので
- 体重が減る
- 脂肪が燃えやすくなる
- 血圧が改善する
- アンチエイジングの効果がある
といった効果があると言われています。
それで、断食の健康効果は研究によっても確認されているのですが、それら研究の多くは短期間の断食の効果を調べているとのこと。
そこで、BuchingerWilhelmiクリニックらの研究(*1)が、4〜21日の長期間の断食の効果を調べてくれていましたので、本稿ではこの研究を参考に長期間の断食の効果についてお話ししたいと思います。
長期間の断食の効果とは?
この研究では、BuchingerWilhelmiクリニックで行われている断食コースの効果を調べています。
この断食コースの特徴としては
- 準備期間として前日は600kcalのベジタリアン食を食べる
- 断食期間中は1日に3Lの水またはハーブティーと、250ml野菜ジュースを1回、夕食に野菜スープを飲む
- 1日の摂取カロリーは200〜250kcalで炭水化物量は25g〜35g
- 断食期間中も軽い運動プログラムを行う
- 断食の期間は人それぞれで4日〜21日
という感じとなっています。
それでこの研究では、この断食コースの参加者1422名のデータを取得していて、断食の前後でどのような変化があるのかを確認してくれているんですね。
効果①:体重が減る
まず当たり前ではありますが確認された効果は、体重の減少とウエストが細くなる効果です。その結果が次のグラフとなっています。
左のグラフが体重の減少効果、右のグラフがウエストの減少効果となっていて
- 断食日数が長いほど体重も大きく減る
(5日で−3.2kgに対して、20日で−8.6kg) - 断食日数が長いほどウエストも細くなる
(5日で−4.6cmに対して、20日で−8.8cm)
ということが読み取れます。まあ食べていないのですから、そりゃ痩せるわけですね。
効果②:血圧が下がる
断食による血圧の変化の結果が次のグラフとなっています。
このグラフから分かるのは
- 断食日数が長いほど血圧も大きく低下した
ということです。長い断食日数を選んだ人ほど最初の血圧が高い傾向があったようですが、そういう人ほど血圧の低下も大きくなっていて、最終的には同じくらいの値に改善しています。
効果③:血中脂質の値が改善する
血中のコレステロール値の断食による変化が次のグラフとなっています。
このグラフから分かるのは
- 断食日数が長くなるほど血中のコレステロール値も低下する
ということ。断食を続けることで血液がサラサラになるということなので、血管系の病気のリスク軽減にも断食は良いみたいですね。
効果④:幸福感が向上する
この研究では断食の前後での幸福感の変化も測定していて、それが次のグラフになります。
左のグラフが感情面の幸福感、右のグラフが身体面の幸福感を表しています。
このグラフから分かるのは
- 断食によって幸福感が向上する
- 5日でも20日でも到達する幸福感は同じくらいだった
ということです。なので、幸福感を目的にするなら短期間の断食でも十分に効果は得られそうですね。
効果⑤:その他の効果と副作用
その他の効果として、
- 断食で体が脂肪燃焼モードに入って内臓脂肪が減った
- 抗酸化作用が促進されて炎症が減った
- 肝臓の機能が改善した
- 長期間の断食では空腹感を感じることも少なかった
といったことも確認されています。
また断食の副作用については
- 断食の最初の期間には、睡眠が妨げられたり、頭痛、筋肉痛といった症状が出る人もいたが、次第になくなった
- めまいなどの症状と診断された人は全体の0.7%で、断食による大きな危険性は確認されなかった
- 野菜ジュースや野菜スープを食べていて、完全な断食ではなかったのが、副作用を防いでくれたのかもしれない
ということ。特に危険な副作用は確認されていないようですが、今回の断食はクリニックでプロの指導のもとで断食を行っているので、自分で行う場合には注意が必要でしょう。
まとめ
本稿では「長期間の断食したときの効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 断食で体重が減ってウエストが細くなる
- 断食で血圧と血中脂質が改善する
- 断食で幸福感が向上する
- 断食で炎症が減ったり、内臓脂肪が減ったりもする
ということで、やっぱり断食には良い効果があるようですね。
長期間の断食に良い効果があるということでしたが、1日おきの断食や、1日のうち16時間は断食するみたいなプチ断食にも十分効果があることが確認されています。なので、断食をやってみたいという人は、自分の続けやすい断食方法を探ってみてはいかがでしょうか。
[参考文献]