子供の頃の食べ物のご褒美は、将来太る確率を上げてしまうという研究
野菜は残さずに食べること
お菓子は食べ過ぎないこと
食わず嫌いをせずに一回は食べてみること
など、親は子供に食べ物のルールを教えることがあります。子供が太らずに健康的な体でいてもらうためには、良い食生活を守ってもらう必要があるわけですね。
しかし、長期的にみると食べ物のルールが逆効果となってしまうこともあります。例えば、お菓子をあまり食べられなかった子供が、将来大人になったときに反動でお菓子を食べ過ぎてしまうことがありますよね。
そのため、食べ物のルールは子供のときの短期的な効果だけでなく、将来大人になったときの影響まで考えないとダメで、意外と奥が深いものなんですね。
そして、このような子供の頃の食べ物のルールと将来の食生活について調べたイェール大学の研究(*1)によると、
- 子供の頃にご褒美として食べ物をあげると、将来ドカ食いが増えてしまう
という結果となっていて面白かったので、本稿ではその中身を見ていきたいと思います。
食べ物のルールと将来の食生活
この研究では、122人の大人を対象にして、
- 子供の頃の食べ物のルールがどんなものだったのか?
- 大人になった今の食生活や体重がどうなっているのか?
を調べて、このときに食べ物のルールは次の3種類に分けて測定しています
- 良い食べ物を推進するルール
「野菜も残さず食べること」など - 悪い食べ物を制限するルール
「お菓子は決められた量を守ること」など - ご褒美/罰としての食べ物のルール
「宿題が終わったらお菓子をあげる」
「悪いことをしたから今日はおやつ抜き」など
これらの3つのルールが将来大人になったときの体重や食生活にどのように影響するのかを分析してくれたわけですね。
結果:大人になると太るのか?
まず最初に、子供の頃の体重と、大人になってからの体重で、どのように変化したのかの傾向を見てみると、
- 子供の頃に太っていたと答えたのは女性で16%、男性の24%のみだった
- 大人になってからでは女性の49%、男性の39%は現在の体重に不満があると答えた
- 女性の68%、男性の57%はダイエットの経験があると答えた
ということ。つまり、子供の頃は平均的な体重の人が多かったようですが、大人になると太ってしまったという人が多いようですね。この原因としては子供の頃と比べて運動量が減ってしまったなどの要因も考えられますが、大人になって自由に食べられるようになると過食が増えてしまったということも十分にあり得るでしょう。
結果:子供の頃のルールの影響は?
それで子供の頃の食べ物のルールが、大人になったときの体重や食生活にどのように関係しているのかの分析結果としては、
- ご褒美/罰の食べ物のルールが多かった人と、悪い食べ物の制限するルールが多かった人は、大人になってからの過食が増えた
- ご褒美/罰の食べ物のルールが多かった人だけは、ダイエット中であっても過食が増えてしまう傾向があった
ということが分かっています。
悪い食べ物の制限するルールは、子供の頃に食べられなかったものを大人になって反動で食べ過ぎてしまうという現象を引き起こしてしまうのでしょう。
面白いのはご褒美/罰の食べ物のルールで、子供の頃にご褒美として食べ物がもらえると、大人になってからもご褒美として過食に走ってしまう可能性が高まってしまうということ。例えば、宿題が終わったご褒美としてお菓子をもらっていた子供は、大人になったときにも仕事が終わったご褒美としてお酒やケーキなどを食べ過ぎてしまう傾向があるということですね。
子供の頃にご褒美/罰のルールが多かった人は、ダイエット中であっても過食が増えてしまったということで、もしかしたらジョギングを頑張ったご褒美にお菓子をちょっと食べるとかをやってしまっているのかもしませんね。
まとめ
本稿では「子供の頃の食べ物のルールの影響」について話をしました。
ポイントをまとめると
- 子供の頃の食べ物のルールは、大人になってからの食生活にまで影響する
- 健康に悪い食べ物を制限しすぎると、大人になってから反動で食べ過ぎてしまう可能性が高まってしまう
- ご褒美や罰として食べ物をあげると、大人になってからもご褒美として過食に走ってしまう可能性が高まってしまう
ということですね。
ご褒美として健康に悪い食べ物をあげると、それが習慣になってしまうようなのであまり得策ではないようですね。なのでご褒美をあげるなら、遊園地に連れて行くなど、健康に悪くないものにすると良いでしょう。
唯一、健康に良い食べ物を推進するルールは悪い効果は確認されていないので、「食わず嫌いをしないように1回は食べさせる」とか、「野菜を残さず食べること」とかのルールはあっても良いのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]