目標はあっても行動が起きないはなぜか?その原因にはいくつかのパターンがあるぞ
新年になって新しい目標を立てた人も多いと思います。運動の習慣だったり、英語の勉強だったり、仕事の成果だったり、一年もあると何かすごく大きな目標が達成できそうなものですよね。
しかし、ここで思い出して欲しいのが、去年の目標は実際に達成できたかどうかです。「年の初めにあんなに意気込んでいたのに、ほとんど実践しないまま終わってしまった」という目標もあるのではないでしょうか。
これは、年初には確かに強い意思があるなので、モチベーションの問題ではありません。どちらかというと、やりたいという意思があっても行動がついてきていないことが問題なんですね。実はこれまでの心理学の研究でも、意識を高めるのは割と簡単だけど、行動まで変えるのはなかなか難しいということがわかっています。
そこで、本稿では、
- 意思と行動のギャップはなぜ生まれてしまうのか?
- その対策に使えるテクニックは何か?
についてまとめてくれた論文(*1)を見ていきましょう。
意思と行動のギャップの失敗パターン
意思と行動のギャップが生まれてしまうのには、いくつかの失敗パターンがあります。そのため、行動を増やして目標を達成するには、自分がどの失敗パターンにはまっているのかを認識して、それを防ぐことが大切になります。
それでは、どんな失敗パターンがあるのかを順番に見ていきましょう。
失敗パターン①:間違った目標を立ててしまう
達成率が高くなる目標には次のような特徴があります。
- 成長や学習の要素がある(失敗の回避などではない)
- 主体的に本人が決めている
- 達成基準が明確である(例えば、ベストを尽くすは曖昧なのでだめ)
一方で失敗するパターンの目標としては
- 楽観的で高すぎる目標
(自分の実力や、時間やお金などのリソース、機会や必要な努力量を甘く見積り過ぎ) - 相性が悪い目標
(例えば、仕事を正確に行うことと、速く行うことはトレードオフの関係にあって両立することが難しい)
ということです。
私もやりたいことをあれこれ目標に入れてしまって、とてもこなしきれずに失敗することが多いです。目標が大きくなり過ぎないようするには、自分のこれまでの実績を省みて、具体的な行動ベースでどのくらいならできそうかを考えるようにすると良いでしょう。
失敗パターン②:意思が続かない
実際に行動を変えるには、意思の質を表す4つの要素、
- 意志の強さ
- 意志の思い出しやすいさ
- 意思が変わらないこと
- 意思が持続すること
が大切です。特に、意思が時間がたっても変わらずに持続することは、目標達成に大きく影響することが研究により分かっています。
それでは、意思が続かない失敗パターンにどんなタイプの人が多いのかというと
- すぐ目標を忘れて他のことをしてしまう人
- こまめに目標の進捗管理をしていない人
ということ。なので、目標は常に意識できるように目に見えるところに張り出すとか、毎週進捗ノートをつけるとかした方が良いでしょう。ダイエットなら体重を記録するなど、何かのデータで進捗をモニタするのも良いですね。
また、意思がなくても行動できるように、トリガーと行動をセットにするIf-Thenプランニングが効果が高いことがわかっています。これは「夜に歯を磨いたら日記を書く」みたいに、すでに習慣になっている行動をトリガーにして、その行動の後に新しい行動をくっつける方法です。
失敗パターン③:自制心が弱い
勉強しなければいけないのにスマホをいじってしまったり、ダイエット中なのにお菓子が我慢できなかったりと、誘惑に打ち勝てない人はやはり行動を変えるのが難しいです。やらなければいけないことを先延ばしにしてしまうのもこのタイプの人ですね。
自制心が弱い人の対策としては
- 誘惑に負けやすい状況を認識して避けるようにする
(例えば、誘惑となるものは目に見えないようにしまっておくとか) - If-Thenプランニングで目標の障害トリガに対して対策行動を決める
(例えば、お菓子が食べたくなったらナッツで我慢するとか) - 自制心は鍛えられるものなので、打ち勝てば自分はもっと誘惑に強くなると考える
などが有効です。
失敗パターン④:本来の目的を見失う
段々と行動が変わってきたときに、本来達成したい目標からずれていってしまうことがあります。例えば、
- 手段が目的になってしまう
知識を増やすために本を読むことを目標にしたら、本をたくさん読むことが目的になってしまって、すぐ読み終わる簡単な本ばかり読むようになってしまったなど、本来の目的からズレた目標になってしまう。 - 簡単な目標で満足してしまう
目標を決めると、その目標が達成できたらそれ以上は頑張らなくていいやという気持ちになって、目標がストッパーになってしまう。また、本来なら実力を少し超える目標に挑戦するのが望ましいのに、達成する満足感を得たいがために実力に対して余裕のある目標ばかり設定して自己満足に浸ってしまう。
ということが起こり得ます。
これらの失敗パターンを防ぐためにも、本来の目的に対してちゃんと自分は正しい努力ができているのかを、ときには振り返って考えるようにしましょう。
まとめ
本稿では「意思はあっても行動が起きない失敗パターン」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、失敗のパターンと対策は
- 間違った目標を立てている
→達成基準が明確で自分の実力にあった目標を立てる - 意思が続かない
→目標の進捗を記録・モニタする。 - 自制心が弱い
→自制心を鍛える。If-Thenプランニングで障害に備える。 - 本来の目的から外れてしまう
→簡単な目標満足していないか、正しい努力ができているのかを見直す
という感じですね。
意思があっても行動が起きないのにも様々な失敗パターンがあるということで、自分がどんな失敗パターンをしやすいのかに応じて、対策を実践してみると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : This is a repository copy of The Intention–Behavior Gap.