自分が本当にやりたい目標に進捗があると、幸福感が向上するという研究

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目標を立てて、それを達成できると嬉しいもの。

ダイエットして5キロ痩せるでも、期末テストで90点以上とるでも、目標の達成は幸福感の向上につながります。そして、目標がまだ達成ができていなくても、進捗感があれば、それだけでも嬉しいものです。

これはもちろん仕事でも同じ。テレサアマビール博士の本「マネジャーの最も大切な仕事―95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」によると、小さな進捗でもいいから、毎日前進する感覚が仕事の幸福感にとって特に重要なことが分かります。

そして、本稿で注目するのは

  • 目標への進捗が幸福感をあげるけど、どんな目標でも効果があるのか?

で、この問題について調べてくれたミズーリ大学の研究(*1)を見ていきましょう。

目標と自分の一致

ミズーリ大学では、

  • 目標が幸福感を向上するのには、目標が自分にマッチしていること

が必要だと考えています。

例えば、医者から毎週5km走ること目標として課せられたら、それは他人から押し付けられた目標で、自分とマッチした目標とは言えません。どうせ目標を追うのであれば、自分がやりたいと思える目標を追う方が、当然幸福感の向上も大きいと考えられるわけです。

そして、この研究では目標と自分の一致度を4段階に分けています。

  1. 外発的な目標
    他人から課せられた目標だったり、やりたくないけど報酬のために仕方なくやる目標
  2. 無意識的な目標
    やらないと罪悪感や恥を感じてしまうなど、達成しなければいけないという感覚から課せられた目標
  3. 自分独自の目標
    自分にとって大切な意味を持った目標で、自ら達成したいと思える目標
  4. 内発的な目標
    純粋に楽しいや好きという気持ちから達成したい目標

下に行くほど自分にマッチした目標になって行きます。例えば、この4つのレベルを勉強で言い換えると、

  • 外発的な目標:次の試験で悪い点を取ると進学できないから勉強する
  • 無意識的な目標:勉強はしなければいけないと感じるから勉強する
  • 自分独自の目標:自分の将来のことを考えると、勉強した方が良いから勉強する
  • 内発的な目標:勉強が好きで楽しいから勉強する。

という感じですね。

自分とマッチした目標の方が幸福感が向上するのか?

ミズーリ大学の研究では、目標の種類と幸福感の向上を確かめるために、大学生90名を対象に、1学期間の目標の進捗と幸福感の変化を追跡調査しています。

目標の種類は、お金を貯めるでも、友達と仲直りするでも、良い成績を取るでも、自分の好きなものでOK。ただし、それらの目標が先程の4つの段階で自分にどれだけマッチしているのかが測定されています。

そして、目標への進捗と幸福感の変化が

  • 5日間の短期的な変化
  • 2ヶ月間の長期的な変化

の2つの期間で測定がされています。

結果:進捗と幸福感

結果として何が分かったのかというと、

  • 自分に合った目標を選んだ人は、目標への進捗があると幸福感が向上していた
  • 自分に合っていない目標を選んだ人は、目標への進捗があっても幸福感はあまり変化しなかった
  • この関係は短期間でも長期間でも同じだった

ということ。やはり、目標が自分に合ったものでないと、例え進捗していても幸福感はほとんど上がらないみたいです。

これをグラフで見てみると面白くて、

自分に合った目標を選んだ人は、進捗が高まると幸福感がグッと右肩上がりに向上しています。一方で、外発的な目標の人は進捗があっても、ちょこっとしか幸福感は向上していません。自分の好きな目標か義務的な目標かで、これだけの差が出るものなんですね。これは注意した方がよさそうです。

例えば、目標の捉え方次第でも自分とのマッチ感はだいぶ変わってくるのではないでしょうか。健康のために走らなければいけないと考えると義務感が強くなるし、走って健康になればもっと生き生きと過ごせると考えると自分に必要な目標だと捉えることもできますよね。

まとめ

本稿では「目標と自分のマッチが幸福感を高める」という話しをしました。

ポイントをまとめると

  • 目標への進捗があると幸福感が高まる
  • 自分に合った目標であるほど進捗から大きな幸福感が得られる
  • 目標が外発的なものになってしまうと、幸福感はほとんど得られない

ということ。

仕事でも目標を立てると働きがいが向上するといいますが、そもそも仕事自体がつまらないと、目標も義務的なものになって、幸福感はあまり向上しないかもしれません。なので、目標を追うときは、その目標をどうやったら楽しめるか、その目標は自分にどんな利益をもたらすのか、を考えて自分とのマッチ感を高めると良さそうですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Pursuing Personal Goals: Skills Enable Progress, but Not all Progress is Beneficial

Naoto

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