仕事でフロー状態を発揮するには、失敗から学ぶ風土も大切という話
フロー状態とは高い集中状態のことで、フロー状態に入ると余計なことが頭に思い浮かばなくなり、時間があっという間に感じるほど没頭ができます。何か一つのことに集中できることはスポーツや勉強、仕事など様々な場面で大切な能力です。
そこで、本稿ではフロー状態について
- 仕事でフローを発揮するには、失敗から学ぶ風土も大切なのでは?
ということを調べてくれたティルブルグ大学らの研究(*1)を見てみましょう。
仕事とフロー
フロー状態は集中状態なので、当然パフォーマンスが向上すること分かっています。例えば、本稿で注目する仕事におけるフローの効果としては、
- 仕事の生産性が向上する
- 仕事のモチベーションが向上する
- 仕事で感じる幸福感が向上する
という感じで、仕事に没頭することはパフォーマンス面だけでなく、幸福感といったメンタル面でも良い効果があるんですね。
フロー状態に入りやすくなる条件とは?
フロー状態に入りやすくなるにはいくつかの条件があって、
- 自分のスキルに対して、チャレンジレベルのちょうど良い難易度であること
- 明確なフィードバックがあること
- 達成基準が明確であること
などなどがあります。
もちろん他にも個人的な性格やメンタル面も関わってきて、さらには環境的な要因も関係してきます。環境的な要因とは、仲間がいて協力し合える環境とか、仕事のプレッシャーがあって義務感が生まれている環境とかですね。
本稿で注目するティルブルグ大学らの研究(*1)は、この環境的な要因として、
- 失敗から学ぶ風土も仕事のフローを高めてくれのか?
を調べてくれたわけです。
失敗から学ぶ風土と仕事のフロー
ティルブルグ大学の研究では、159人の社会人を対象に
- 失敗から学ぶ風土
- 成長マインドセット
- 仕事でのフロー
を時間間隔を開けて2回測定しています。
成長マインドセットとは、自分の能力は生まれつき固定されているようなものではなくて、努力次第でどんどん成長していけるという考えを持っていることです。
失敗から学ぶ風土や、成長を信じるマインドセットは、新しいことへのチャレンジを促進してくれるので、フロー状態を高めやすいと考えられるわけですね。
結果:
早速結果を見てみると、
- 失敗から学ぶ風土が強いほど、仕事でフローを多く経験していた(0.29)
- 成長マインドセットが強いほど、仕事でフローを多く経験していた(0.29)
ということで、失敗から学ぶ風土も成長マインドセットもフローを増やしてくれることがわかります。
さらに、これらの要素の関係をもう少し深く分析した結果を見てみると、
- 失敗から学ぶ風土は成長マインドセットを高める効果があり、この影響を考慮すると、失敗から学ぶ風土と仕事のフローの直接の関係は無くなった
ということ。つまり、失敗から学ぶ風土が成長マインドセットを高めて、成長マインドセットが仕事のフローを高めるという、2段階の経路でフローが高まっているというわけですね。
まとめ
本稿では「失敗から学ぶ風土と仕事のフロー」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 失敗から学ぶ風土があると、仕事でのフローも高まりやすい
- これは失敗から学ぶ風土が成長マインドセットを高めてくれて、成長マインドセットがフローを増やしてくれるから
ということ。
フロー体験を増やすには、適度な難易度の課題にチャレンジすることが大切になります。そのため、失敗を恐れずに挑戦する風土や、成長を大切にする風土など、チャレンジしやすい環境を整えることは間接的にフローを増やす効果が期待できるわけです。フロー体験が増えればパフォーマンスや幸福感が高まるので、是非チャレンジする風土を高めていきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]