多様性でクリエイティビティを向上するにはチームの学習思考が大切

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チームのクリエイティビティを上げるには多様性が重要だと言われています。同じような考え方やスキルを持った人が集まるのでなく、異なる考え方や異なるスキルを持った人同士が集まった方が、様々な角度から問題にアプローチできて、より良いアイデアが生まれるわけですね。

クリエイティビティにはもう一つ重要な要素があると言われていて、それは内発的モチベーションです。内発的モチベーションとは、その活動が好きだからやるというタイプのモチベーション。報酬のためにやるとか、他人に評価されるためにやるといった外発的なモチベーションは、視野を狭めてクリエイティビティを低下させてしまうんですね。

そこで本稿では、クリエイティビティと多様性・内発的モチベーションの関係について、

  • 多様性にはチームメンバーの内発的モチベーションを高める効果もあり、それがクリエイティビティの向上に関係しているのでは?

ということを調べてくれた研究を見ていきましょう。

多様性とクリエイティビティ

この研究では、35企業にわたる106組のチームを対象にデータを取得しています。対象となった業界は幅が広く、金融、製造、通信、サービス、建設、ハイテクなどとなっています。

そして、これらのチームからどのようなデータを測定したのかというと、

  • チームの多様性
  • チームのクリエイティビティ
  • チームの内発的モチベーション
  • 個人の内発的モチベーション
  • チームの学習思考

となっていて、これらのデータの関係から

  • 多様性が高いチームほど内発的モチベーションが高いのか?
  • この関係にチームの学習思考がどのように関係しているのか?

が分析されています。チームの学習思考とは、多様な人々がお互いに学び合う思考のことですね。

結果:多様性とクリエイティビティ

分析の結果を見てみると、

  • 学習思考が高いチームでは、多様性が高いほどチームの内発的モチベーションが向上していた
  • 学習思考が高いチームでは、多様性が高いほと個人の内発的モチベーションが向上していた
  • チームの内発的モチベーションが向上するほど、チームのクリエイティビティも向上していた
  • 個人の内発的モチベーションが向上するほど、個人のクリエイティビティも向上していた

ということ。

つまり、お互いに学び合うことを大切にするチームでは、様々なバックグラウンドの人が集まるほど、学び合いが楽しくなって内発的モチベーションが向上する。そして内発的モチベーションが向上すれば、視野が広くなってクリエイティビティも向上するということ。

つまり、チームの多様性には

  • 様々な考え方やスキルが持ち合わされることでチームのクリエイティビティが向上する効果
  • 多様な人との学び合いを楽しむモチベーションがクリエイティビティを向上する効果

のダブル効果でクリエイティビティを向上しているわけですね。

結果2:学習思考が大切

しかし、この研究からは注意点も分かっていて

  • 学習思考が低いチームでは、チームの多様性が向上すると、逆に内発的モチベーションやクリエイティビティは低下してしまった

ということ。なんと学習思考が高いか低いかで効果が全くの逆になってしまっています。

お互いに学び合うことを大切にしないチームでは、多様性が高まったとしても、意見の対立や衝突を増やしてしまったりとネガティブな効果が出てしまうんですね。なので、クリエイティビティの高いチームを作るには、まずはお互いを尊重して学び合う風土を作ることが大切にしましょう。

まとめ

本稿では「多様性とクリエイティビティ」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 学習思考が高いチームでは、多様性はスキルや考え方のバラエティを増やすだけでなく、メンバーの内発的モチベーションを高める効果によってもクリエイティビティを向上してくれる
  • 学習思考が低いチームでは、多様性が意見の対立などにつながってしまし、内発的モチベーションやクリエイティビティを低下してしまう

ということ。

多様性はクリエイティビティには欠かせませんが、うまくチームを作らないと逆効果にもなってしまいます。チームのクリエイティビティを高めるには、お互いに学び合うことができる人を大切にしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Perceived Cognitive Diversity and Creativity: A Multilevel Study of Motivational Mechanisms and Boundary Conditions

Naoto

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