怒りっぽい人ほど睡眠の質が悪いのか?の研究
怒りは結構強いネガティブな感情。怒りには色々と負の効果があって、怒りを感じると攻撃的になってしまったり、怒りのストレスが健康を阻害したりすることが分かっています。本稿で怒りの負の効果の一つとして、怒りが睡眠を阻害してしまうのではないかということに注目していきます。
怒りを感じた出来事は簡単に忘れることができず、長時間に渡って頭の中で繰り返し考えてしまいます。そうすると夜寝る時になっても頭の中が落ち着かずに寝付きにくくなってしまことが考えられるんですね。さらに、これとは逆の関係で、睡眠不足になると怒りっぽくなってしまうということも考えられます。そうなると怒りが睡眠を阻害して。睡眠不足が怒りを増長するという負のループになってしまう可能性もあるので要注意です。
そこで本稿では、
- 怒りの対処が上手い人ほど、睡眠の時間や睡眠の質が良いのか?
について分析してくれたアイオワ州立大学の研究(*1)を見ていきましょう。
怒りと睡眠の関係とは?
アイオワ州立大学の研究では、436人を対象に怒りと睡眠のデータを取得しています。
怒りのデータとしては
- どのくらい怒りっぽいのか?
- 特定の状況でどのくらい起こるか?
(他人から批判された時など) - 怒りを感じたときのどのように対応するか?
①うちに秘める
②外に吐き出す(暴言を吐くなど)
③コントロールする(冷静になる)
が測定されていて、睡眠のデータとしては
- トータルの睡眠時間
- ベットについてから寝付くまでの時間
- 夜中に何回くらい起きてしまうか?
- 夜中に何分くらい起きている時間があるか?
が測定されています。睡眠のデータは本人の感覚で答えてもらう主観的な測定と、腕に活動量計をつけて測定して客観的な測定の両方がされています。
結果:怒りのコントロールと睡眠
まず最初に怒りがどれだけ睡眠の影響していたのかというと、
- 客観的に測定した睡眠のばらつきの2%は怒りにより変動していた
- うちに秘める、外に吐き出す、コントロールするの3種類の怒りの対応の中で、怒りをコントロールすることが最も良い影響力があった
ということ。
2%というと影響度がとても小さいように見えますが、具体的にどのくらいの影響なのかを見てみると、
- 怒りをコントロールするタイプの人は、ベットに入ってから眠るまでの時間が9分短かった
- 怒りをコントロールするタイプの人は、夜中に目覚める回数が3回少なかった
- 怒りをコントロールするタイプの人は、夜中に起きてしまう時間が13分少なかった
ということ。
時間にすると10分程度の影響ということですが、これが毎日積み上がるとなると健康への影響もバカにならない可能性もあります。なので、怒りを感じたときには、寝る前だけでも冷静にコントロールすることを心がけていきましょう。
まとめ
本稿では「怒りっぽい人ほど睡眠の質が悪いのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 怒りはうちに秘めたり、外に吐き出したりせずに、冷静にコントロールすることが大切
- 怒りをコントロールする人ほど、夜中に起きてしまう時間や中々寝付けない時間が短くて、睡眠の質が良い傾向がある
ということ。
怒りをコントロールするには、自分が感じている怒りを詳細に日記に書き出してみるとか、瞑想をするとかの対応をすると良いでしょう。怒りのままに行動してしまうと、人間関係に響いたりもするので、怒りの対応で損しないように気をつけていきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]